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やっぱり、本屋をはじめたい。その②

今日、前回ご紹介した薬剤師の瀬迫さんからおすすめいただいた本を読みました。

『新聞記者、本屋になる』(落合博 / 光文社新書)です。

落合さんは、台東区にある書店"Reading' Writin' BOOKSTOREの店主兼従業員。新聞記者を30年以上勤められ、定年目前の58歳に書店を開業されました。その奮闘記をまとめられたものです。

「書店をはじめたい」そう思う方に届くように、記者経験で磨き上げた文章力で、内容豊かに、とても読みやすく書いてくださっています。遅読家の私でさえ、2日で読めてしまいました。

とても参考になったのは、品揃えについてです。落合さんは堂々と、「自分が読みたい本」「気になる本」を仕入れている、と書いています。それがお店のカラーとなり、お客さまを惹きつけるのだと。

私は、自分がやりたいと思う店は、「読書家が唸るような品揃え」を目指したくないな、と思っていました。読書家だけをお客さまとして想定していたら、地域のお客さまにそっぽを向かれるだろうな、と思ったからです。

しかし、それは裏を返すと「自分の貧弱な読書体験を悟られたくない」という見栄があったのかもしれません。

何もかもは置けない、何を置くか。その判断基準は意外と自分の好みが中心になってもいいじゃないか、と感じたのです。そう思うと、自分はこれまで、いろんなことに興味を持ち、いろんな啓蒙的な本を読んできました。

それは「広く、浅く」でした。良い意味にでも、悪い意味にでもとれます。

「広く、浅く」それは、私の考える「街の本屋さん」の、ひとつのキーワードかもしれません。いろんな知識探求のための「狭く、深く」に導くための扉となる本屋さんです。

今まで、無駄としか思えなかった自分の幅広い、浅はかな知識は、細い飲み口に水を入れるための漏斗のような役割を果たすことができるのです。

そんな事を感じさせてもらえました。

そして、先日、落合さんご本人にお会いすることができました。

本の発刊イベントで、大阪に来られていたのです。

落合さんは、文章からはとても想像できないお茶目な方でした。「本屋をやりたい」という思いだけを伝えるので精一杯でした。しかしながら、落合さんのお話からは色々と参考にできる考え方がありました。

「出会える人たちに、出会える本を置いていく」

印象的な言葉のひとつでした。

色々課題はありますが、できることをひとつずつ、あまり考えずぎないでやっていきます。


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