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本音をさらけ出す(自己開示)、自分らしさの根っこの表現方法をプロが教える

この記事の元となる音源「Morning House」は、音声SNSアプリClubhouseで毎朝6:50から配信しています。一週間で一人の人生が「劇的」に変わる、新感覚のライフチェンジング番組です。
https://www.clubhouse.com/club/morning-house

Before-Afterのような「劇的な変化」を起こすプロデュースで、一人の人の生き方を変える「Morning House」、今週のライフチェンジャーはあべなるみさんだ。彼女は、「愛のある食」の魅力、また、その豊かさで生き方さえ変わるという「食の力」を広く伝えたいと活動している。ここでは、きのう今日で起きた彼女の変化、特に彼女が苦手な「自己開示」への一歩、軌跡をお伝えしたい。

プロセスエコノミーという昨今の鉄板

昨日は、多くの人たちから「Morning House」に意見を募り、「今後なるみさんが取り組んでいったら面白いのでは」というコンテンツ案を集めた。彼女はいま、「メディアと売り場と"飛び道具"」をつくろうと思っている(詳細については今後の彼女の活躍を追ってほしい)。

これを考慮した上で、なるみさんは語る。

「まずは仲間と一緒にInstagramを充実させようってあらためて思いました。また、まだきちんと決めたわけではないですけど、クラウドファンディングも年末か年始にかけて、(「食を豊かにして、ごきげんになる」なるみさんメソッドの)レクチャーもその後に展開できればって思っています。レクチャーはある意味いつでもスタートを切れるので、それ以外の取り組みが落ち着いた時に始められればなって考えています。来年の春ごろでしょうか。私は、自分のペースで、それこそ高速道路で走る車であっても『時速60キロ』くらいの経営のペースで準備していこうと思います」(「なるみさんのペースを『それでいいんだよ』と肯定する、そんな回が前々回だった」)

その上で今日は、発信について彼女のアップデートを試みていく。具体的には、なるみさんの「自己開示」をうながす。今回、プロフェッショナルとしてたずさわっていただくのは、「誰しもが安心しておっぴろげ(自己開示)出来る世界を創る」というビジョンを掲げた株式会社ふたつぶCEOの福田基広さんだ。福田さんは「自分をさらけだす」ことで、すでにコモディティ化した業界で大手企業やさまざまな会社からマーケティングの案件を獲得してきたという。その極意の一端を伝授してもらった。

苦悩のプロセスさらけ出してみる……難しそう

なるみさんには、やや自己開示を苦手とする側面がある。自己開示をする上で彼女は何をハードルに感じていたのだろう。まずはそこを伺った。

「私には、珍しい野菜ちゃんがかわいく見えてしょうがないっていう性格があるんですね。その『かわいい野菜ちゃん』を広めたくて『yasaicco』っていう八百屋を始めたんですけど、その時に『野菜ちゃんがかわいく見えている』という自分を開示するのがすごく怖かったんです。変な人ってことを世に広めてしまうようで、サービスリリースの2週間前から寝込みました。あの時わたしはすごくハードルを感じていたし、今になって『じゃあそのハードルを超えられるようになっているか』というと、そうでもないんです」

思いの丈を述べるなるみさんの声に真剣に耳を傾ける福田さんが、口を開く。

「完成するまでの過程を一つのエンタメとして発信しつづけて、応援してくれる人を増やすことを『プロセスエコノミー』って呼ぶと思うんですけど、じゃあどんな過程を発信すればいいかというと、苦悩していることだと思うんです。苦悩を経験して、何を得たか。どうなったか。それがわかる発信をすれば、支援してくれる人は増えます。ただの失敗談ではなく、失敗をつうじて何を得たかまで出すんです。みんな(あるいは「意外にも多くの人は」)心の奥底で『そんなに順調にうまくいくはずがない』って思っているんです。だからこそ、苦悩を出した方がいい」

最初の一歩は「夢を語る」ことから

最初から想定外の言葉がつむがれた。彼は「過程を露出していく、特に苦悩するなるみさんを露出していくのがいい」というのだ。言葉は続く。

「ただ、それにはパワーが必要です。おそらく、なるみさんみたいに『怖い』っていう気持ちを抱く人は多いでしょう。二の足を踏むかもしれない。そんな場合、まずやりやすいのは、『自分の夢を語る』ことです。夢を宣言する。これも勇気が要りますけど、人って感情の生き物ですから、大々的な夢を掲げてしまえば感化されて応援したくなるんですね。苦悩の開示もそうですが、夢の開示だって『変な人だと思われないかな』と不安になることはあります。でも、他人って、人のことはすぐ忘れちゃうんですよ(笑)。そんなに夢を語る人のことを覚えていないっていうか。『他人は自分が思っているほど自分に興味がない』って考えれば、夢や目標を公言できるようになります。で、『言った以上は頑張ろう』って自分のマインドがセットされれば、さらに行動できるようになります。僕は、自分の夢については周りに言って言って、自分で自分を逃げられないようにします(笑)。すぐにやれなくなっちゃう性格なんで。で、周りに言って本気で行動しだすと、周りがだんだん応援してくれるようになるんですね」

これに対し、なるみさんは「さっそくTwitterのプロフィールを書き換えようかなって思いました」と返した。さすがの反応力である(彼女のTwitterアカウントは2021日10月18日現在、以下のようにプロフが書き換えられた)。

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その上で苦悩を具体的につぶやいてみよう

なるみさんはここで、自身を振り返る。

「Twitterを始めた当初は、まさに『夢に向かって、わーい!』っていうテンションで投稿をしていて、当時はフォロワーさんもどんどん増えていったんです。でも、ママになってからは『ゆっくりしか走れない』ことに負い目を感じて、『どうせ大きな夢を語ってもね……』という気持ちになっちゃったんですね。『時速60キロ経営』ということを自信を持ってやっていけていたら良かったのですけど、私はむしろゆっくりしかできないと思ってブレーキばかり踏んでいたんです。でも、今回の『Morning House』で『"ママ速度"だったっていいじゃん!』って思えたし、今だからこそ語れる夢を言葉にしていこうって思いました。その上でお聞きしたいのですが、『夢』を語るというのはわかるんです。一方で『過程』や『苦悩』を発信することにはまだイメージがわいていなくて。これって具体的にどういうことなんでしょう」

なるみさんと福田さんの会話が過熱していく。

「まず、投稿にはバラエティがあった方がいいという前提を確認させてください。夢や希望を投稿すること自体、素晴らしいのですが、一方でそれだけでは(Twitterの場合)読んでいる人は飽きちゃうんですね。たとえばそこに苦労話やニュース的なものを挟んでいくと、それが変わってくるんです。過程ということでいえば、固有名詞は出さないものの『業者と喧嘩しちゃった……』であるとか、読んでくれている皆が怒りの感情を共有できるようなものを投稿するなんていうのもアリです。"何となーく"でいいです。喜怒哀楽の感情を揺さぶるような発信を心がけると、やがて自己開示自体を楽しめる自分にも出会えます」

「チャンネルをつくるイメージですか?」

「おっしゃるとおりです。それを継続していくと、過程をさらすこと、『おっぴろげること』が苦にならなくなっていきます。失敗してしまったことだって一つのネタとして『エンタメなんだ』って思えれば、楽しく投稿することさえできます。ちなみに、これは傾向的な話ですけど、キラキラ投稿が減るとファンって増えるんです。フォロワー数は見なくていいです。ファンを増やす、エンゲージメントを増やすことの方が大事で。投稿の内容に起伏がある人ってファンが増えるので、投稿に喜怒哀楽の緩急をつけるといいと思います。喜怒哀楽の枠に内容を合わせるようにして緩急をつける」

「そうやって考えると冷静になれる自分が出てきて、さらけ出してもそんなに傷つかないでいられるかもしれませんね」

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喜怒哀楽すべてのことが投稿のネタになる

「それこそ、今週は『喜』はコレ、『怒』はコレ、『哀』はコレ、『楽』はこの投稿って分けて投稿するんです。で、その過程で『あ、「喜」の投稿のあとに発信した「怒」の投稿は、みんなの反応がすごいな!』といった発見をしていくと、Twitterの投稿にも工夫のしどころが出てきます。『おっぴろげ』を続けつつ、冷静に自身を見るんですね。それができるようになってくると、『あ、今週は「怒」の投稿がない! 何か失敗しなきゃ』ってネタ探しすらするようになります(笑)。悔しいことや悲しいこと、腹立つことって、フォロワーさんなどから反応がたくさんあるんです。楽しい・嬉しいの投稿のあとにそれらが来ると、ツイートってめちゃ飛びます。だから『失敗したい!』なんて発想するようになります(笑)」

「なんか、私が想像していたマーケティングと全然ちがう!(笑)」

義務感で投稿していた部分がある?

「ときめきって大事なんです。人はときめくものに惹かれるから。そのときめきが起こるきっかけは何かといえば、感情を揺さぶられることなんですね。喜怒哀楽を個人が発信できるようになったら、テレビ番組とは違うところで力を持つことができるようになります」

「発想に驚きです。実は、ぶっちゃけ、自身の投稿にマンネリを感じていたんです。『投稿しなきゃ』みたいな気分にすらなっていました。そんなことを言ったら、いま見て下さってる方々に申し訳ないのですが、投稿するたびに『ふぅ』ってなっちゃって」

「それこそ、そんななるみさんが『Twitterでつぶやくの、めっちゃ面倒くさい』ってツイートしたら、すごいですよ(笑)。めちゃくちゃ反応ありますよ」

悲しみや苦しみの投稿は"良きスパイス"になる

これは驚きの提案だが、なるみさんには竹を割ったような明るさがある。その明るい感じが「なるみさんって、ネガティブな感情って抱くのかな」といった感触を聞き手・読み手に与える面があるのは事実だ。そこに『疲れた……』といった、ちょっとした『いつもと違う面』を出すと、人はむしろ共感してくれるかもしれない。なるみさんは言う。

「失敗は無限にしてきました。そのネタはあるんですけど、ネガティブな側面に関しては、自分が『食を通じてごきげんな人を増やす』を目標に掲げて『ご機嫌』で売っているのに、ネガティブになっていいのかなっていう思いがあったんですね」

「わかります。その上で、ご機嫌になるには、そこまでにプロセスがあると思うんです。プロセスには、苦しいことや悲しいことがあるかもしれない。先ほども言ったように、見ている人たちは『そんなにうまく行くわけがない』と思っているので、そこに苦悩めいた"スパイス投稿"をすると、やはりファンが増えるんですよ』

「えーっ! 苦悩、スパイス!? 苦悩って、投稿のスパイスになるんですか?」

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「感じた痛みなんかを共有すると、やがて『この人のコンテンツおもしろいな』って人はなります。発信側も楽しくなってきますよ」

「なんか、私、いま『これなら発信、楽しくなりそう』って思いました」

最良のコンテンツはいつも自分自身の中にある

「自己開示って、印象に残るし、自分がいないところでも噂される自分にもなれるんですよね。この大切さを語っている人って世の中に意外といないんですけど、僕は個の時代といわれる今だからこそ、自己開示は大事だと思っています。その際にしてほしいのが、自分を掘り下げることです。内省するというか、最良のコンテンツって基本、自分自身の中にしかないので」

「自己開示というと、どこか『痛みを伴う』イメージがあるのですが、それって思い込みだったんだって思いました。ぜんぶエンタメに消化できるものだったんですね。もちろん冷静に捉え返すという作業はあるとは思いますが、そこを楽しめたらいいですよね」

「もちろんテクニックとか向き合い方とか細かい話はありますが、端的に言えば『ありのまま、おっぴろげていればいいですよ』って話なんです。『そうすれば、誰か助けてくれますよ』って」

「正直、発信する喜びを忘れていた」とも語ったなるみさんは、「Morning House」のあと、さっそく自身の本音をTwitterで吐露した。

「ご機嫌」でブランディングしているなるみさんだからこそ、「ご機嫌ではない」時の気持ちを投稿することに価値がでてくる。よく考えてみれば、なるみさんだって四六時中ご機嫌なわけではないのだ。むしろご機嫌でない時を知っているからこそ、ご機嫌の価値を彼女は思い知っているはずである。なるみさんは思わず、本音を語った。

「そうなんですよね。笑顔を貼りつけているような時が私にもあります……。ほんとうはワクワクしていないのに、無理矢理ニコニコしてた、みたいな。でも、今日思ったんです。苦しいことも悲しいことも、それこそ今までだったら『これは投稿しないでおこう』って決めてたことさえ、実はネタの種だったんだなって。コンテンツ、わたし全然つくれてないじゃん! 活かせてないじゃん! って感じました。『両想いになりたいと思える人と長くご一緒したい』って思っていたからこそ、逆に投稿できなかったのかな」

このつぶやきに福田さんがピリッと一言を添える。

「いま、なるみさんはすごく大事なことを仰ったと思います。『両想いになる』って話です。両想いになるには、本音をさらけ出す必要がありますよね。本音が出せないようなら、真の両想いではないというか。表面的な両想いなら、肩書きとビジュアルに惹かれてとかってあると思うんですけど、それでは長続きしないです」

ありのままをさらけ出すのは難しい。だが、ありのままにこそ人は共感する。なるみさんは今日で、SNS投稿において無意識的に自身に課していた「であるべきだ」「であらねばならない」を一つ取り除けたかもしれない。これからの彼女の発信の飛躍が楽しみである。

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