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犬の逆くしゃみ。原因は?

逆くしゃみは、犬が動物病院にかかる理由としてメジャーな症状です。
多くの犬が逆くしゃみで受診することがありますが、その原因は不明なことが多々あります。

逆くしゃみで受診される患者さんが多いけど、ホントに原因や治療法はないの?
と思い調べてみました。

今回はこちらの論文を参考にしています。

Veterinary Sciences | Free Full-Text | Reverse Sneezing in Dogs: Observational Study in 30 Cases (mdpi.com)

定義

逆くしゃみは鼻咽頭刺激による機械感受性の誤嚥反射と定義されています。
つまり、苦しい呼吸努力を伴う大きな吸気音の発作です。
発作は通常数秒持続し、首を伸ばし、肘を張りながら逆くしゃみをする傾向があります。
呼吸機能を妨げたり、生命に危険を及ぼすことのない良性の発作と考えられています。
多くの犬でみられており、ある報告だと逆くしゃみの有病率は52.9%と言われています。

原因

興奮、異物、腫瘤、鼻ダニ、ウイルス感染、軟口蓋の喉頭蓋嵌頓などがあります。
特発性で、非進行性、小型犬トイ犬種に多いとされています。
ほとんどの犬で身体的な異常はみられません。
稀に、咽喉頭触診の反応性亢進、鼻汁など、身体検査所見から上気道疾患を疑う症例もみられています。

検査

血液検査やレントゲン検査では異常はみられません。
ただ、鼻腔や鼻咽頭の内視鏡検査所見で最も多かったのは、咽喉頭(上咽頭を含む)の浮腫と炎症でした。

咽喉頭の浮腫と炎症

*咽頭は鼻部と喉頭部に分けられ、内視鏡の画像は咽頭鼻部の部位です。

https://www.koinuno-heya.com/byouki/kokyuuki/intouen.htmlから改変して引用

この咽頭/鼻咽頭からブラシによる細胞の検査をしてみると、
炎症性リンパ球形質細胞浸潤と診断されています。
つまり、鼻咽頭で炎症が起きているということです。

治療

ステロイド抗生剤の投与です。

上記のように鼻咽頭に炎症があり逆くしゃみが出ているケースが少なからずありますので、抗炎症薬であるステロイドの投与は必要かもしれません。

また、鼻咽頭粘膜から細菌が検出された場合は抗生剤の投与が必要です。
ただ、鼻咽頭粘膜をブラシするので、全身麻酔をかけて鼻咽頭の内視鏡検査をする必要があります。

しかし、これらの治療を施しても逆くしゃみが改善しなかった犬たちもいるようです。
そういう犬たちは鼻咽頭の構造上の問題なのかもしれませんね。

まとめ

  • 逆くしゃみは息を吸い込む様な良性の発作で、命にかかわるようなことはない

  • 小型犬やトイ犬種に多い

  • レントゲン検査では異常がないが、鼻腔内視鏡検査では炎症を起こしている犬もいる

  • 炎症がある場合はステロイドなどで症状が改善することもある
    細菌感染がみられたら抗生剤が必要

以上です。
多くの犬は無治療でも生活に問題はないと思いますが、中には治療することで症状が改善する犬もいるようですね。
みんなが麻酔をかけて鼻腔内視鏡検査をできるわけではないので、試験的に治療することになるかもしれません。

みなさんのお役に立てれば幸いです。


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