いくつもの大切に囲まれて

おはようございます。
先週は出張のため、東京へ行きました。
約1週間のホテル暮らしです。
少しでも居心地良くいられるよう、好きな画家の絵の切り抜き、植物の写真、気に入ってるポストカード、ちびちゃんが描いてくれた絵や手紙を、マスキングテープを使って部屋の壁に飾ります。

ひとつひとつをじっくり見る訳ではなく、それらは背景として、なんとなく視界に入るといった程度のものですが、これだけのことで気分は変わるものです。

気分が変わると考えることも変わるし、物事の受けとめ方が柔らかくなる。
好きなものに囲まれる、守られているって、大事なことですね。

さて、出張から帰ってきて、妻とちびちゃんに会えることほどうれしいことはありません。
家に着いたのは夜中だったので、ちびちゃんと顔を合わせたのは翌朝です。

目覚めたちびちゃんの気配を感じ、ぼくも目を開けました。
寝転がったままなにも言わず、ちびちゃんはじっとこちらを見ています。
なにも言わないまま、ぼくに手を振りました。
黙って、ぼくも振り返します。
すると、ちびちゃんはにこっと笑い、おかえりと言ってくれました。

ゆっくりと3人で食事をし、あれやこれやとお互いの話を聞いたり、話したり。
家の掃除をするのも、洗濯した服を干すのも、うれしいこと。
いつもやっていることができるって、日常ってなんて良いんだろう。

あがたの森公園の図書館へ本を返しに行く、中町通りを歩く、女鳥羽川を見下ろす、いつものチーズケーキのお店に行く。

たった1週間、この町を離れていただけなのに。
松本のひとつひとつに感動してしまいます。

帰ってきた翌日、近所でお祭りがありました。
妻とちびちゃんと出かけると、思っていたよりも遥かに大勢のひとが集まっていて、歩くのも大変です。
そんな中、ちびちゃんは幼稚園のともだちを見つけました。
手を振り合います。
それだけ。
たったそれだけのことに、ちびちゃんは心底うれしそうな顔をしていました。

妻とぼくが気がついていないところで、その後もちびちゃんはともだちを発見したそうです。
あの子もいた、あの子もいたと興奮した様子で話してくれました。
ちびちゃんの見間違えかもしれません、断言はできませんが、おそらく。
でも、ちびちゃんのうれしそうな、ちょっぴりドキドキした顔を見ると、こちらまでうれしくなるのです。

ちびちゃんが心を込めて手を振る姿、大切な存在に対しての彼の態度は素敵で、ずっと忘れずにいたい姿でした。

出張先の百貨店にぼくを訪ねてきてくれたお客さんがいました。
慣れないところで緊張していましたから、その方に会えたとき、全身の力がほどけて、ほっとしました。
短い時間でした。
いくつかの言葉を交わし、手を上げて、彼は去りました。
ぼくにたくさんの力を与えたということを、どれだけ大きなことであったかを、彼は知らないでしょう。

大切なひとを大切にするって、簡単なことではないときもあるけれど、難しいことではないのかな。
だれかを大切に思う気持ちを大切にできたら、それはきっと。

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