あなたがくれた春

こんにちは。
先日、ちびちゃんがいいました。
パパがはたらいてるところ、いってみたい。
ちょうど休日だったので、ふたりでお店へ行ってみることにしました。
スタッフみんなに歓迎され、ご機嫌なちびちゃん。こんなにいっぱい、と沢山の椅子に座って、おりて。
とってもたのしかったみたい。
いいところではたらいてるね、といってくれました。
仕事について、子どもにいいねっていわれることがこんなにうれしいことだなんて、知りませんでした。

さて、日に日に暖かくなる松本です。
極寒の冬を越えて迎える春って、これまでとは一味違うものです。
ちいさな庭に緑が広がり、毎朝、窓を開けるのが楽しみ。
秋に植えたチューリップの花が開きました。
菜園にした一画には、ルッコラ、ラディッシュ、水菜、ニンジン、ホウレンソウが背を伸ばしています。
そんななか、ぼくたちの前に暮らしていた住人の植えた植物が次々に姿を現しています。
スイセンがずらり、紫陽花がぐんぐん葉を広げ、ザクロの木からは新芽が、そこらじゅうからムスカリ、オルレア、名前のわからない白い花、ピンクの花、ハーブはタイム、セージ、レモンバーム、ミント。
春になるまで、知りませんでした。

会ったことのないひとが作った風景がぼくたちの作りはじめた景色と重なり、毎日を楽しませ、支えてくれることが、うれしいです。

女性がおひとりで暮していたということは聞いています。その方はいま、軽井沢にお住まいだということも。
でも、ぼくが知っていることはそれだけ。

毎朝、ぼくが庭を目にして、どんな気持ちになるのか、彼女は知りません。
彼女の植えたハーブを料理に使ったり、お茶にしていることを、彼女は知りません。

そんなことなのかも、しれないなと思いました。

いつか、ぼくがこの世界を去った後、ぼくの知らない誰かが、ぼくのやったことで、ほんの少しでも、明るくなっていたらいいな。

でも、それはぼくにはわからないこと、ですね。

前の住人の残してくれた庭を見ながら、ぼくのわからないところでまわる世界のことを、楽しみだな、と思いながら、次はなんの種を播こうかなと考えています。




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