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借りっぱなし、貸しっぱなし

本棚をふと整理していると、自分で購入していない本が結構あった。
私が借りっぱなしにしている本だ。それを手に取ると、記憶の底からその本来の持ち主との交流の記憶が蘇ってくる。

部活の先輩、一度だけドライブに行った女の子、離れて暮らす親友、職場の先輩、姉、などいろんな人から借りっぱなしの本から、自分は一人じゃないなと勝手に感じたりしている。本を貸し借りできる仲って、結構温かい関係性だと思う。

持ち主には申し訳ないけれど、今すぐ連絡を取る口実もないし、相手も驚くだろうと思って、そのままになっている借りっぱなしの本たち。

せめて、と思い、本棚の見えやすいところを並べていく。

そういえば、代わりに自分が貸しっぱなしの本もある。
そういう本は今どこにあるのだろう。願わくば捨てられたり売られたりしていないといい。
そして運が良ければ誰かが自分のことを、ふと思い出してくれているかもしれない。
少し心強いような気持ちになる。

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