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悔しいが帰ってきたら
「いやー、すいません。でもこれが事実なんで」
到底納得できない説明に、次の言葉を失っていた。
不自然な長さの自分の沈黙に、慌てて上司が間を埋めてくれる。
今までやってきたことは何やったんや。
めっちゃ悔しい。
その案件自体は丁寧に進めてきたつもりだが、最後の見積もりの段になって相手先に梯子を外された。
ただうちにもその根拠を覆す知見はなく、そのまま飲まざるを得ない状態になった。
悔しい。
ピコン。と軽い音でチャットの着信に気がつく。
「この資料はこうした方が良いと思います」
と自分は手を動かさない人が言う。それはまぁいい、俺が納得いくようにやるんだ。
相手が悪いのではない。自分の処理速度の遅さに今度は腹が立つ。
「じゃあ私は抜けさせてもらいます。」
と次は会議での揚げ足を取って、勝手に怒ってしまっているお局に捕まる。
一旦息を吐く。悪くない状況なはずだ。
自分が後ろめたいことをしていないときに、こうやって不快なことがどんどん降りかかってくるのは、成果が出る直前。もしくは自分が楽しそうにしてたり、充実していることを妬んだ当たり屋に捕まっているだけだ。
悔しいということを思うこともできなかった去年を思い出すと、仕事で四苦八苦できること自体がずいぶんと幸せに思えてくる。
悔しいが帰ってきたら、あと一歩なのだ。
そう言い聞かせている今日この頃です。
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