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手仕事の現場は「モノを売り込みたい」のだろうか

鳥取に行ってきました。日本最後の「ゆるい秘境」だと勝手に思っている、あんまり知られたくない素敵な穴場です。

役所の方のご厚意で、鳥取市河原という、工芸の作り手さんが集住する地区をご案内していただきました。
…写真を一枚も撮らないのは、さすがの私クオリティですね…話をしだすと、他のことに頭が回らなくなってしまいます…

町の役員さんや作り手さんにお話を伺ってきたのですが、異口同音に出た言葉が、

「忙しくて手が足りない」。

民芸(鳥取版の伝統工芸の活動です)の現場では、
知ってほしい・見に来てほしい > 作品を売り込みたい
というのが、課題のようでした。

耳にしてしまえば、あたりまえのことです。手仕事は生産量に限りがあるのだから、機械制工業と同じ仕事では成り立たない。
増産が難しい以上、作品づくりの背景を知ってもらうことで「短期的に大量の購入者」ではない「長期的で継続的なサポーター」を増やしていきたい、ということだと。実作者さんの声を聞くと、あらためて切実に感じたのでした。

伝統工芸って、量や価格で100均など機械モノと張り合うことはできない。それらと別物として世に送り出すためには、手仕事の作品が生まれるまでの風土・歴史や、作者のこだわりを、どれだけお話として広めることができるか。そこに命運がかかっているのだな、と。

つまりは、伝統工芸は、モノを売るよりお話を広めたい。

全国一律に当てはまるものでもないのでしょうが、九谷焼の小規模窯元さんや個人の作家さんからも聞かれていたことでもあり、ある程度は共通の課題なのかなあ、と意を深くしたのでした。

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