「役職定年」 - 肩書がなくなる日 - (著)河村佳朗, 竹内三保子
そもそも「役職定年」とは
さて、まずこの「役職定年」という言葉ですが、「ああ、あれね」とすんなり理解できる方もいれば、「なにそれ食えるの?」といった方もいるかと思います。
なぜそんな反応に別れるかといいますと、この「役職定年」、ものすごーく平たくいいますと、「大企業だけに見られる特別な人事制度」のことなんですね。もちろん例外はありますが、ざっくりいうとそんな制度です。
何歳まで雇わないといけないという「定年」は法律で定められていますが、この「役職定年」というのは法律に基づくものではなく、企業が自主的に設定している人事制度の1つなんですね。
ではなぜ大企業で「役職定年」という制度があるかというと、組織の新陳代謝を測るためですね。法律で「定年」は定められていて、その定年の期間は法改正によってどんどん長期化していますので、どこかで役職を解任する時を設定しないといつまでもポストが空かず、若い人たちが昇給できなくなってしまいます。なので、「役職定年」という「役職を強制的に解くタイミング」を設定して、組織の新陳代謝を図るわけです。
と、ここまで読んでいただければ、なぜ「大企業特有の制度」なのかが分かるかと思います。
「下が仕えているから役職を解かないといけない」ということは、それだけ人材が豊富ということになります。
ということは、人不足の中小企業には関係ない話になります(もちろん例外はあると思いますが)。
人不足の企業の場合は、優秀な年配の役職者がいても任を解くことなくそのまま役職を続けることになりますので、役職定年という概念はありません。
ということで「役職定年」にまつわる悩みというのは、ざっくり言いますと「大企業に勤める人固有の悩み」ということになります。
「役職定年」にまつわる悩みとは
では「役職定年」にまつわる悩みというのはどんな悩みなのでしょうか。
1つは金銭的な悩みがあります。役職を解かれて「ただの社員」になりますので、役職手当を失うことになります。これはこれで結構大変です。
そしてもう1つの問題は、働くモチベーションです。
このお金とモチベーションの2つ問題。
この本にも書かれていますが、問題の大きさでいうと圧倒的に「モチベーション」のほうが大きいんですね。
役職を解かれて「ただの人」になるわけですから、責任は軽くなる一方、業務内容は現場サポートのような地味なもの、言葉を選ばずに言えば「つまらなく感じるもの」になります。
また、「どの部署で『ただの人』になるか」も結構問題でして、元の部署に配属されたら昔の部下が上司になってお互いやりづらくてしゃーないですし、他部署に行ったら「しらないおじさん・おばさん」扱いで邪険に扱われてむかついたり、そんなこんなで何かと上手く行かないことが多いです。
ということですごく簡単にいうと「プライドとの兼ね合い」で苦しみ、モチベーションを大きく落としてしまうわけですね。そこで「マイ・インターン」のロバート・デ・ニーロのように「ナイスシニア」な振る舞いができればいいんですけど、それができたら苦労しませんし、それが簡単にできるのならそもそも映画化されません(笑)。
「役職定年」は絶好のチャンス
そしてそんな悩める「役職定年」を迎える方へのアドバイスとして本書ではいろいろ書かれているわけですが、その内容は私がライフシフト塾で常々お伝えしていることとほぼ一致しています。
つまるところ、「ライフシフトに向けた準備、していきましょう!」ということです。
ライフシフトを支援している私からするとですね、「役職定年」はむっちゃオイシイ制度としか思えません(・∀・)
一定の収入が得られている環境で、役職から離れるので仕事のプレッシャーは劇的に減りますし、会社から拘束される時間も減るので、仕事以外の時間でライフシフトの準備を進めるのには絶好の期間です。
給与も減るとはいえ、同じ水準の仕事内容と給与を求めて転職をしようとするとまず見つからないほど、労働条件としては恵まれた環境だと思います。さらには、転職と比べても、社内ルールを新たに覚える必要はありませんし、使っている社内システムも慣れたものですし、社内の人間関係もゼロから作り上げる必要もありませんし、それらのことを考慮すると楽チン極まりない環境です。
そしてモチベーションだけが問題なのであれば、それを今後は自分の人生にフォーカスしていきましょう!ということですね。
さいごに
ということでできればですね、役職定年になる前にライフシフト塾にご参加いただいて、ライフシフトの軸となるコア・コンセプト(自分軸)を明確にして、「役職定年になったらこういうことを始めよう」という準備を整えておくことをオススメします!
というポジショントークを言いたいところですが、別にライフシフト塾じゃなくてもいいです。
ライフシフトに向けた一丁目一番地である「コア・コンセプト」、言い換えると自分の大切にする価値観である「自分軸」、まずはこれをどこかでしっかりと見つけてください。
それが見つかって、その先にある目指したい未来が描くところまで到達した状態で役職定年を迎えることができれば、「ひゃっほーい!」という感じで最高のスタートが切れますし、モチベーションがどうこうとか、ウダウダ悩んでいる暇なんてそもそも出てこなくなります 笑
ということでこれから役職定年を迎えられる方は、人生100年時代を迎えるにあたってのライフシフトの準備に目を向けていただいて、役職定年が来るのをむしろ心待ちにする、そんなメンタリティでぜひ進んでいきましょう!応援しています!
今日も読んでいただきありがとうございます。
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