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人材版ふるさと納税と地域おこし協力隊マネージャー

7月31日の長谷川岳総務副大臣の記者会見では、来年度から「人材版ふるさと納税」と「地域おこし協力隊マネージャー」制度がスタートすることが発表されました。

それ以降、今日(9月12日)まで特に追加で情報は上がってこないので、これは副大臣の発案で始まったプロジェクトに内部で肉付けをしている段階であると想像します。

いずれにしても、この二つの制度が都市部への一極集中が続いている人口動態に、「都会から田舎へ」という逆の流れを加速化させる政策であることは間違いないと思います。今回は二つの制度について今わかっている詳細をまとめたいと思います。


1.人材版ふるさと納税とは


すでにある「企業版ふるさと納税」を利用した制度です。これは企業が地域で行われている町おこし事業に寄付をした場合、税額控除するというものです。通常の寄付は3割控除ですが、それに控除額が増額となり、少ない負担で地域活性化事業に貢献できる仕組みです。今年度から控除割合は最大で9割まで引き上げられています。

人材版ふるさと納税もこの仕組みがベースとなっています。人件費を含めた金額を寄付することで、人材を地方に派遣する制度です。想定されている人材は、地方創生に興味がある社員や、地方に実家がありUターンで地元で働きたい社員などです。派遣先としては地方の役所などが考えられているようです。

ただ、すべての地方官庁に人を送れるわけではなく、政府が認定した自治体プロジェクトに対し、人材を派遣したい企業を募る公募型となるようです。


2.地域おこし協力隊マネージャーとは

長谷川副大臣の発表では、上記の制度と合わせて地域おこし協力隊マネージャーの創設が発表されました。内容については地域おこし協力隊制度を拡充するもので、地方の自治体が独自に隊員の公募をおこなう形は同様のようです。

日経新聞の記事を参考にすると以下の要点にまとめられます。

・活動内容
 商店街の再生や空き家の利活用、地場産品の開発や販路拡大、移住者受け入れ等を行う。

・期待される役割
 上記の活動に参加するというより、自治体や住民との調整役、隊員のまとめ役として前線でリーダーシップを発揮すること。

・想定される人材
 空き家の利活用では、不動産の営業経験や知識が豊富な人材を求める。空き家バンクの整備や、空き家を所有者と協議した上で民泊用に改修する事業を立ち上げるなど。任期中の一般の地域おこし協力隊員から一定の実績や人脈がある活動中の隊員を任命するケースを想定する。報酬は現行の年440万円(活動費を含む)から引き上げも検討。

つまり、地域おこし協力隊のなかでキャリアを積んだ人、すでにスキルがある人を地方創生の現場監督として昇進させる制度、ということのようです。総務省の公式HPにはこれについて詳細は上がっていないので、今後内容は変更になる可能性があります。今のところ既存の隊員が出世するシステムというイメージでいればいいのではないかと思います。しかし活動内容は、プレーヤーとして現場で体を動かすというより、公民連携の緩衝材となること、現場で悩む隊員の相談役になる、ということなので非常に激務であると思います。

3.地方創生の3つの制度

来年度から、人材版ふるさと納税、地域おこし協力隊マネージャー、地域おこし協力隊の3制度が同時並行で行われることになります。これらは主に総務省が所管する事業になりますが、基本的には都市から地方に人を移動させる人口移動政策としての側面をもっています。すでに東京では人口減少が始まっていますが、これから加速するポストコロナの一極集中の是正のため、有効に活用される制度となることを期待します。

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