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ワクチン異物混入のニュースを読む

ロイター通信英語版によると、モデルナワクチンを日本で供給する武田薬品が問題を把握したのは8月16日でした。政府への報告は25日になってからです。株の空売りを疑われる遅さです(本日も武田株は続落でした)。これだけ発注者への報告が遅れるのは正直理解に苦しみます。

モデルナワクチンは、主にスペインのロビという会社で製造されています。米国向け以外のワクチンはここから世界に供給されています。特にEU圏では、ファイザーとモデルナのシェアはほぼ拮抗しており、現状では異物混入の問題は、日本だけで表面化しているとも言えます。

また、7月末にもモデルナ製ワクチンは「検査工程上の問題」で供給が一時ストップしました。供給の遅れは米国以外に限定されたため、スペイン工場でのトラブルであったようです。毎日新聞の報道によると、問題のあったワクチンは7月下旬以降に日本に供給されています。

つまり元々製造工程に何らかの不備があり、それが発覚したものの改善されないまま製造を再開し、異物混入につながったことになります。

健康被害は確認されていない、ということですが、16日に発覚した後すみやかに接種を止めていたら、被害の確認も少規模で済んだはずです。接種が止まったのは26日になってからで、この間、関係する接触者はさらに増えたことになります。滋賀県内では2,660人が混入が発覚したのと同じ製造ロットのワクチン接種を受けています。

あまり報道されていませんが、武田薬品の隠蔽体質の方が大きな問題であると思います。特にワクチンの個体番号と製造ラインの照合はすぐに出来るので、情報収集をしてから9日目に報告をする、というのは大変な悪手であったと思います。

接触者に異常があったとして、それが異物混入の健康被害なのか元々の副反応なのかは本人にも判断しえないことです。そのため、異変を感じたら医師に相談して欲しい、という厚労省の呼び掛けは接触者に困惑を与えるだけです。今回はワクチンに問題があり、それを仲介する会社にも問題があり、より大きな問題になったと思います。河野太郎は武田に怒らないといけません。

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