見出し画像

【Some Flowers制作日記 その9】

■Chapter8 エレキギター&Harbor Lights

何日か前にCarry Onのオケにエレキギターを入れた。
先日アコギを弾いたばかりで左手の指先が痛いのだが、そこに更にエレキを弾いて痛さの上書きをしました達郎(笑)。

エレキを入れたことで、オケがぐっと引き締まった。いい感じ。これでCarry Onのオケはほぼ完成。

そして新曲「冬のダイヤモンド」という曲にもエレキギターを入れた。
この曲はアルバムのボーナストラックとして収録しようと思っている新曲で、当たり前だがまだ誰も聴いたことがない。アップテンポの軽快な曲だ。

その曲にエレキギターを4本ぐらい録音した。
バッキングのトラックとして2本。あとは間奏とエンディングのソロと、途中のブリッジの部分にも2本。
またまた指の痛さ倍増、かと思いきやアラ不思議、あんまり痛くならない。

なぜかと言うと、エレキはアコギに比べて弦が細いのと、テンションがさほどキツくない。
出た!またもテンション(笑)。
あと弦高が低いので、圧倒的にアコギよりも弾きやすいのである。

それと、ここ連日アコギだ、エレキだ、とギターばかり弾いているので、だんだんと指先が硬くなって来て、前ほど痛く感じ無くなってきたというのが、最大の理由なのである。

それにしても本職ではない楽器を弾くのは本当に大変だ。
ぼくはギターが大好きなので、弾くこと自体は全然苦ではないのだが、いかんせんスキルに乏しいため、なかなか自分の頭の中で鳴っているイメージのプレイと音になってくれないのが、なんとももどかしい。

自分ではジョージ・ハリスンや、キース・リチャーズみたいに弾いているつもりなのだが、実際録音したプレイを聴いては、「全然違うじゃん!」と、毎回ガックリ肩を落としながら弾いている。
う〜ん、もっと上手くなりたいなぁ。

ぼくは先に挙げたジョージ・ハリスンやキース・リチャーズは勿論のこと、残念ながら先日旅立ってしまったデヴィッド・リンドレーや、オーリンズのジョン・ホール、リトル・フィートのロウエル・ジョージ、イーグルスのドン・フェルダー、ブライアン・アダムスバンドのキース・スコット等々、超絶速弾きやトリッキーなプレイが売りのギタリストよりも、印象的なフレーズやメロディックなソロを弾くギタリストのほうが好きだ。

今すぐに思いついたギタリスト達は、どちらかと言うとギブソンのギターよりも、フェンダーのギターをメインにプレイする人達である。

ぼくもフェンダーストラトキャスターや、テレキャスターは大好きなギターだ。自分で所有しているのもストラトだし。

ギターの録音ばかりしているわけでなくて、Harbor Lightsのトラック作りも進行中である。
浜田省吾さんのClub Surfboundに収録されているHarbor Lightsは、さすがに今聴くと音数も多くてちょっとオーバープロデュース気味な感じもするので、今回のバージョンは少しシンプルにまとめてみた。

そしてまたもエレキギターは自分で弾いたのだが、これが死ぬほど難しかった。
誰かが言ってたけど、Harbor Lightsには46種類のコードが使われているとかいないとか…。

しかもこの曲で使用しているコードは、分数コードがすごく多いのである。分数コードとは、なんか数学みたいな響きの言葉であるが、読んで字の如し、分母と分子に分かれているコードのことで、分母の部分がベース音、分子の部分がコードの和音を示している。

要するにピアノの左手で分母のベース音を弾き、右手でコードの和音を弾くということである。
この分数コードというコードは、何ともアカデミックな響きのするコードで、勿論ぼくも大好きだ。

しかしながらこの分数コードというヤツはギターで弾こうとすると、まるでサーカスの曲芸のような手の押さえ方をしなくてはならなくて非常にムズい。というかぼくにはほぼ押さえられない。

レコーディングでスタジオミュージシャンのギタリストなんかに、この分数コードだらけの譜面を渡しても、彼らは何事も無かったかのように涼しい顔でスラスラと弾くのである。きっとおそらく彼らは人間ではないのであろう(笑)。

Harbor Lightsという曲は、以前から公言しているが当時敬愛していた(今はそれほどでもないが)デヴィッド・フォスターからの影響を強く受けている曲である。
1980年代中頃のぼくは、何かに取り憑かれたようにデヴィッド・フォスターばかり聴いていた。
勿論浜田さんのツアーに出ている時も、寝ても覚めてもデヴィッド・フォスターという時があった。

横須賀の観音崎マリンスタジオというところで、Club Surfboundのレコーディングをしている時に、ちょうど東京でデヴィッド・フォスターの来日公演が行われていて、ぼくはレコーディング中にもかかわらず、観音崎から京浜急行に乗って観に行ったぐらいだ。

Harbor Lightsはそんな時期に作った曲なので、モロにデヴィッド・フォスターみたいなアプローチをしているのが、今聴くと気恥ずかしくもある。

逆に今のぼくには絶対に作れない曲なので、そんなことも含めて今回のアルバムに入れようと思った。

ギターの話に戻るが、この曲のギターもコマドリ姉妹方式で録った(笑)。
ぼくの中にはこの曲のエレキギターのイメージがはっきりとあって、それはLAの敏腕ギタリストであるマイケル・ランドウなんかが弾く、バッキングのパターンみたいなプレイなのである。

いわゆる単音をミュート気味に、16ビートのカッティングで弾く奏法なのだが、そんな難しいもんをぼくがスラスラと弾けるわけがない。エレキギターひとすじ数十年、熟成された大人のプレイ、なんて言うギタリストでもなかなか上手く弾ける人が少ない奏法なのに、ぼくが弾けたら今頃プロの売れっ子ギタリストになっているに違いない(笑)。

それでもなんとか数日かけて頑張って弾いた。
そんなところもアルバムを聴いていただく時の、楽しみの一つに加えていただけると幸いである。

続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?