「告白水平線」毎週ショートショートnote

 墓地は小高い丘の上にあったから、御影石の並ぶ前に来る頃には汗だくになってしまった。線香をあげてから、煙草に火をつける。
 よく晴れていた。見下ろす街は白と灰色に輝く。
 そういえば、彼女の家にはピアノがあったな。ピアノがあるぐらいの家だから、立派な場所に墓が立てられるんだな。

 俺の家はどこだろう。西の方だから、あのショッピングモールの、もう少し向こう、ありゃ、ここからでは見えそうにはない。

 地球は丸いらしい。平坦だったら、きっとここからでも俺の家が見えてくれただろうな。寂しいじゃねえか。お前はここにしか居ないんだろ。

「好きだったんだ」

 背中をつけた墓石に向かって、ぼそりと呟いた。煙は乱れながら飛んでいく。

 ここにも居ないのかもしれないな。

 家に帰って、時計が日付を跨いでも、寝つけずにいた。
 とうとう観念して煙草に火をつけた午前五時の頃、カラスが騒ぎ始めた。

 東の方角、浅く輝く太陽が水平線から顔を出していた。


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田原にかさんの毎週ショートショートnoteですわね。参加させてもらいます。

なんか素敵なお題やなあ思って書かせてもらったんですけどね。
そういえば水平線ってなんなんやろって調べるところからスタートですわ。ウィキペディアによりますと、水平線とか地平線ていうのは4.4キロ先に見えるそうですわ。案外近いもんなんですわね。

バツイチなりましたもんで告白したくなるぐらいの素敵キュートグレイト女性と巡り合いたいと思います。おわり!

#毎週ショートショートnote


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