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大学卒業後に中国深圳で就職した話

你好(こんにちは)。今中国の深圳という都市で働いていますので、その体験について書いていきます。大学を卒業してすぐに海外(中国)で働きたいと思っている方に参考にしていただきたいです。

深圳って

まず深圳という都市についてですが、広東省の中の都市で、香港のすぐ隣です。地図を見るとわかるのですが、日本の沖縄県と比べてもかなり南にあるので、気候は蒸し暑く、冬はけっこう短いです。

深圳地図

かなりIT化の進んだ都市ですので、スマホ1台で生活していけるといっても過言ではないでしょう。日本と違って、ほとんどの店が基本的にQRコード決済ですので、スマホがないと不便です。1970年代後半以降の「改革開放」政策により、莫大な資本が流入し、一気に大経済都市に成長したので、歴史的な場所は少ないですが、生活する上では外国人的にも住みやすいと思います。また、他の都市から仕事のために深圳に来ている方が多いので、基本的に普通話という標準的な中国語を話せる方が多いです。これは中国語を勉強している自分のような外国人にとって結構ありがたいことです。日本からですと、関空と成田から直行便があり、関空からだと4時間ほどで到着です。一風堂、吉野家、すき家など日本の外食チェーンもわりと進出しているので、日本食が食べたいときに便利です、早くミスタードーナツも進出してほしいところです。
さらに、お隣は香港ですので、コロナが流行る前は週末に香港に行って日帰り観光したり、一泊泊まって観光や買い物を楽しむことも数ヶ月に1度ありました。香港には深圳以上に多くの日本の外食やお店が進出しています(一蘭ラーメンや山崎製パンもありますよ)。
(深圳の中心部の写真)

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語学留学

大学卒業後すぐに深圳で仕事を始めたのですが、大学4年生のときに深圳大学に1年間交換留学をしていました。留学の詳細についてはこちらの記事で書いていますので、よければご覧ください。

就職活動 - 情報収集

大学卒業後に中国で就職して生活していくと決めていたので、まず留学して中国語をある程度学習してから、留学期間のラスト2か月前くらいから就職活動を始めました。中国では主にいくつかのアプリを使い、就職活動をしていくのですが、自分も2、3個のアプリをダウンロードして、履歴書をアップロードしました。企業側から連絡してくださることもありますし、自分が気になった企業にいいねマークのようなものを送ると、反応してくれることもあります。正直、この時期は留学期間がもうすぐ終わりそうで、かなり焦っており、とりあえずオファーをくれたところに就職することになりました。その会社は電子タバコを海外に向けて販売している会社で、英語が話せる人材を探していたとのことで、僕に興味を持ってくれたそうです。ただし、実際に働き始めてみると、だんだんこの会社、またはこの業界がけっこうグレーなことをしている(海外の有名メーカーのパクリの販売)のではと疑うようなこともあり、大丈夫かなと思うようになりました。結果的には1か月ほどでこの会社を辞めることにしましたが、辞めようと決断したのはある工場の従業員が逮捕されたのではという噂が会社で流れたことでした。この会社について簡単にまとめておくと、創立してから5年以内で、従業員は僕が入社した時で10人以下でした。給料は月5,000元(日本円で8万円)程度でしたが、中国での新卒の初任給としては5,000元~7、8,000元の場合が多いかと思います。
(この2つのアプリを使っていたのを覚えています。)

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ということで、1か月で次の仕事を探すことになりましたが、この経験のおかげで、次の就職活動はより時間をかけてじっくりと行いました。まず、現地にある日本企業についても知りたかったので、色々調べてみると、日本人を現地採用しようとしている企業があったので、早速アプリでメッセージを送ってみました。すると面接に招待していただきました。また、中国の人材紹介サービスも利用したのですが、何社か日本の企業を推薦していただき、1社の面接に参加させていただきました。また、自分の強みは何か考えたところ、一番の強みは日本語のネイティブであること、そして留学経験があり英語が話せること、さらに中国に留学したことがあり、ある程度中国語が話せることであると自己分析しました。アプリで日本語のネイティブを募集している会社に絞って検索してみると、ドローン製造大手のDJIなどけっこう多くの企業が見つかりましたので、その企業の知名度や信頼性を彼女(中国人)に聞いたり、自分で調べてみて、良さそうなところにメッセージを送りました。
今回は1か月ほど時間をかけて、情報を集め、4社ほど面接を受けました。日系企業3社(物流系、精密機械系)と現地企業1社(スマホアクセサリーの製造販売)でした。

就職活動 – 面接

ここで簡単に上記の企業の面接に参加した時の感想をまとめておきます。これはあくまで面接してくださった方の印象や企業の中をちらっと見て個人的に感じたことについてです。

日系物流企業
物流会社ということで港に近い方がいいので、福田口岸という港の近くに会社があります。この企業だけでなく、周辺には他の日系物流企業や他国の物流企業も集中していました。会社の建物は5階建くらいで、そこまで新しくありませんでした。面接に関してですが、まず英語でのメールの返信についての簡単なテストがあり、その後人事部の方との面接でした。面接官は2人で、お一方は英語での質問、もう一方は中国語での質問でした。質問内容は、大学時代のこと、留学経験、中国語の勉強、前職(1か月で辞めた仕事)などについてでした。日系企業ですが、日本人の方との面接や日本語での面接は、1次面接ではありませんでした。ちなみに募集していた職種は日本人の営業職でした。
1週間後に2次面接のお知らせをいただき、すぐに2次面接に参加しました。今回は前回とは異なり、もっと豪華な部屋に通していただき、現地深圳の営業所長と営業部の方が面接してくれました。お二方とも日本人の方で今回は日本語のみでの面接でした。最初に営業所長の方から2分で自己紹介をしてくださいと言われ、その後は志望動機、なぜ中国で働きたいのか、そんな仕事をしたいのかなど質問されました。一通り質問が終わったら、会社の事業について動画を見ながら説明してくれました。その後、会社についていくつか質問させていただき、面接は終了しました。一番印象的だったのが営業所長からの質問で、「大学生と社会人の一番の違いは何か」という問いで、僕は責任感の違いではと答えましたが、営業所長は「不条理さ」だと彼なりの答えを教えていただきました。この時は今ほど社会の不条理さについて感じたことはありませんでしたが、今となっては営業所長の言っていたことが結構分かる気がします。
また、給料はだいたい10,000元(日本円で約16万円)で、残業はたまにあり、仕事上深圳以外の都市に行くことが多いとのことでした。

日系精密機械企業1
この企業からは品質管理に関する仕事でオファーをいただきました。工場が集中している場所に会社があるため、深圳の市内からはかなり遠く、地下鉄とバスの乗り継ぎ、さらに徒歩で家を出てから会社に着くまでに2時間くらいかかりました。普段生活しているエリアとはかなり雰囲気が違い、正直ここも深圳かと思うような場所でした。
会社の建物や環境についてですが、建物は外から見るとそれほどきれいではありませんでしたが、中に入って見ると、かなりの清潔感があり、驚きました。面接は中国人で英語と日本語が話せる方が一人、日本人の方が数人という感じでした。面接に来て下さった方々は笑顔でかなりいい印象でした。なんでわざわざ中国で働きたいの、こんな仕事内容だけど興味はある、など色々と聞いていただき、終始和やかな時間でした。またその会社の系列がテニスのトーナメントのスポンサーをしていることを話してみると、企業の方も興味を持ってくださり、チャンスがあればその試合を見に行けるかもなど色々と教えていただきました。面接は1回だけでした。そういえば、どこに住んでいるの、と聞かれ南山区ですと答えると、それはかなり遠いということで、面接が1回で済むように品質管理部の担当者の方も面接の途中で呼んでくださりました。
給料はだいたい5,000~6,000元(日本円で約9万円)で、交通の便が悪いので会社の近くに寮があるとのことでした。

日系精密機械企業2
この企業も精密機械企業(中国の人材紹介サービスから推薦していただきました)でしたが、会社はかなり都市部にあり、面接に行くのもそれほど大変ではありませんでした。会社について見ると、かなり小さいオフィスで、話を聞いてみると、数か月前に深圳の事務所を開設したばかりとのことでした。面接は日本人の方と中国人の方で、最初に簡単に中国語で挨拶した後は、日本語で自己紹介をし、いくつか質問の受け答えをしました。それから会社の歴史や事業について教えていただきました。日本人の方はかなり親切で、すごく好印象でした。
ただし、自分で直接連絡した企業ではなかったため、事前にどのような職種の人を募集しているのかわからず、相手方が募集している人材と僕の予想はけっこう違いました。車に乗って、工場地帯を回り、企業の精密機械の営業をしてくれる人材を探されていたようで、深圳のオフィスで働きたい自分には合っていませんでした。
給料はだいたい8,000元(日本円で約13万円)とのことでした。

現地企業(スマホアクセサリー)
この会社は日本語のネイティブで英語または中国語がある程度できる人(仕事内容は日本語の翻訳)を募集していたので、まさに自分の長所にぴったりでした。深圳の空港の近くで、家から50分ほどかかりましたが、オフィスのある場所は植物や湖があるきれいな環境で、思ったよりもいい感じだなと思いました。オフィスのビルもけっこう新しく、わりと清潔感がありました。
面接ですが、翻訳部門のアメリカ人のリーダーの方に最初に面接をしていただきました。第一印象としては、まさか中国でアメリカ人と働けるなんてめっちゃ国際的!!って感じでした。英語で自己紹介をした後に、仕事内容を説明していただき、テストとしてこの商品の翻訳をして、メールで送ってほしいと頼まれました。まさかアメリカ人と英語で面接するとは思っていなかったので最初は驚きましたが、穏やかな感じの方でしたので、気楽に面接に臨めました。その後に、人事の方から給料などについて説明していただき、最後に人事部長の方と少し話して面接終了でした。社内をぱっと見回した感じでは、自分とほぼ同じくらいか少し年上の人がほとんどでかなり若いなと思いました。
給料はだいたい10,000元(日本円で約16万円)で、土日は休みとのことでした。

面接の履歴書について

以上4社の面接に参加し、最終的にはスマホアクセサリーを作っている現地企業に就職することにしました。この企業にした理由を主に4つです。まず会社への通勤のしやすさです。毎日会社に通勤することを考えると、日系物流企業や精密機械企業は自宅から遠すぎて大変だと思いました。次に、自分が今やりたいこと(簿記1級など会計の勉強)と両立しやすい仕事がいいと思い、残業の少なさからこの企業にしました。そして、この企業は当時アメリカ人2人、マダガスカル人1人、スペイン人1人、イタリア人1人とかなり国際的で、日本語が話せる人が誰もいないので、英語または中国語を使ってコミュニケーションを取るしかないので、外国語の能力をさらに伸ばすには最高の環境だと思ったからです。また、日本語のネイティブは自分一人なので、日本語に関しては全て自分に頼ってもらえるので、その分責任はありますが、けっこうやりがいがあるのではと考えました。
この会社で働き始めてから今年の6月末で2年になります。オフィスが移動したことでより通勤が楽になりましたし、自分の効率が良ければ残業はないですし、比較的自由に時間を使えるので、その点はかなり満足しています。また、仕事と簿記1級の勉強を両立させることができ、昨年の11月に簿記1級に合格できたのでよかったです。今はUSCPAの勉強中で、全科目合格次第、監査法人に転職しようと思っています。

仕事

ここで簡単に仕事内容を説明しておきます。僕が務めている会社は、スマホケース、保護フィルム、充電器などを製造し、中国国内と、国外のAmazonなどのプラットフォームで販売しています。僕の主な仕事はAmazonに掲載する商品情報を英語から日本語に翻訳することです。業務の流れは、まず製品に関する全体的な説明を英語担当者が英語にする→英語の文章を自分たち英語以外の翻訳者がそれぞれの言語に翻訳する、という感じです。その他にもカスタマーサポートの日本語のテンプレートを作ったり、日本語の電話対応をしたりすることもためにあります。
仕事で気をつけていることは、英語から翻訳するときに、この商品を使ったことがない人でもわかるように日本語にすることです。新商品以外の場合は競合他社がどのような言葉を使っているのか参考にさせてもらうことができますが、まだ競合他社が販売していない商品を販売し始める際は、参考にできるものがないので、この言葉はわかりやすいのかなと考えながら翻訳しています。
いつも利用しているAmazonの裏側(販売者側)がどのようになっているのか、この仕事を通してある程度わかったのでよかったです。

就労ビザ取得

ここまで就職活動や仕事内容について書いてきましたが、現地で就職する際に最も面倒なのが就労ビザの取得です。日本からの駐在員の方の場合は、会社がビザ取得を支援してくれるので、そこまで面倒ではないかもしれません。僕も今の会社に転職して時はビザの取得に詳しい方が人事部門にいらっしゃったので、スムーズに取得できました。でも、初めの1か月だけ働いた会社に就職した時は誰もビザ取得の方法を知らなかったので、最初は自分でネットで色々調べて必要な資料(無犯罪証明書や公印確認済みの大学の卒業証明書など)を日本で準備し、中国の深圳に戻りましたが、いくつかの資料を中国語に翻訳する必要があると判明し、自分では手に負えないとわかったので、ビザ取得代行サービスを利用することにしました。彼女が知り合いを通してビザ取得代行サービスを見つけてくれたのですが、そのビザ取得代行サービスは日本人の方が運営されている会社のもので、全て日本語で対応してくれたのですごく助かりました。その方はビザ取得代行サービスを専門にされているので非常に詳しく信頼できました。ただその方に、日本の大学卒業後に仕事経験なしで就職する人のビザ取得を支援するのは初めてだと言われました。ここで僕が超ラッキーだったのは、就職した都市が深圳であることと、出身大学が大阪市立大学であったことです。というのも外国人の就労条件は都市によって異なるようで、深圳市の場合はある一定ランク以上の大学を卒業していれば、仕事経験がなくても、就労ビザが下りるとのことです。このランクに母校の大阪市立大学が入っていたので、僕の場合は仕事経験がなくても就労ビザの取得ができました。
以上簡単にビザ取得についてもまとめてみましたが、これはあくまでも2019年5月時点でのことであり、今は変わっているかもしれませんので、ご注意ください。

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週末

仕事以外の時間をどのように過ごしているのかについて書いてみます。仕事は月曜日から金曜日までの5日間で、土日は完全に休みです。金曜日の夜は外食をして、少し遅めに寝るので、土曜日の朝は10時くらいに起きることが多いです、それから家で簡単にご飯を食べて、昼過ぎに彼女とショッピングモールに行って買い物をしたり、テニスに行ったりしています。少し大きめの駅周辺にはショッピングモールがあることが多いので、家から一番近いショッピングモールにはほぼ毎週行きますが、土日は人がかなり多いので、人気のレストランでは1時間以上待つこともありますね。だいたい二人で外食すると、2人で200元(日本円で3,000円くらい)なので、日本に比べてかなり安いかなと思っています。また、大き目のショッピングモールには無印良品やUNIQLOなど日本のブランドがけっこうあるので、便利です。たまにスターバックスに行き、コーヒーを飲みながら本を読んだりしますが、スターバックスに2人で行き、大きいサイズのドリンクを2つとデザートを1つ注文すると、大体100元(日本円で1,500円くらい)かかるので、レストランでの食事に比べると、けっこう割高ですね。
以前は週末に香港に遊びに行っていたのですが、コロナのせいでしばらく行けていないので、コロナが終わったら香港で遊びたいです。ちなみに香港の中心部までは深圳から高铁(日本の新幹線のようなもの)に15分ほど乗ると到着です。高铁に乗る前に荷物の検査やパスポートチェックがあるので、もう少し時間はかかりますが、それでも家を出てから1時間くらいで香港の中心部に着くので、めっちゃ便利です。

最後に

ここまで深圳での就職活動と仕事などについて書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。日本にいるときほど生活がスムーズにいくわけではありませんが、いい経験になっています。ここまでお読みいただきありがとうございました。深圳での就職に興味などがございましたら、ご自由にコメントしてください。ほなまたな~

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