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59話-減量苦との戦い

ヨーロピアン選手権に出場しようとした時、フェザー級で初めて減量苦にぶち当たった。

今まであっさり落ちていた体重が中々落ちない。

フェザー級は68キロまで落とさなければいけないが、食事制限してサウナに入っても走っても69キロから下にいかない。

日本での試合ならまだギリギリの減量はしやすかった。

行きつけのサウナに行ったりや食べ物のルーティーンなどを調整しやすいからである。

海外で試合するにはむくみとの戦いもあった。

飛行機に乗ると減量中は血がドロドロの状態なのでむくみやすいのだ。

一度飛行機に乗ると、3キロは増えてしまう。

もちろん3日ほどで元に戻るが、時差ボケと減量で試合前から疲れ切っている状態で体重計に乗らなければいけなかった。

今回ヨーロピアン選手権もギリギリに仕上がり、日本から補給食やOS1などを持って行った。

一回戦の相手はヘナン・サンカール。

ADCCブラジル予選の優勝者で本戦にも出ている実力者だった。

私は最初に攻撃を集中させる手に出た。

試合が始まりすぐに引き込みハーフ、ディープハーフへ。

そこから十字固めに対すりカウンタースイープで2点先取した。

そこからトップキープに集中したが相手の荒いオープンガードを抑えるのは大変だった。

何度も中央に潜り込み腰を止めて相手の立ち上がりやスイープ、関節技を防いだ。

凄い力だった。

私は一度呑まれたら負けると直感し絶対に下がらなかった。

結果2-0

苦しい勝負だった。

試合が終わり30分ほど空き水分補給をしていたら、急に気持ち悪くなって大量の水をトイレで吐いた。

しかし時間は待ってくれない。

私はそのまま次のマットに上がった。

次戦の相手はパウロ・ミヤオ。

言わずと知れたミヤオ兄弟の兄だった。

先に引き込まれ私が上になった。

パウロはどんどん組み手を作ってくる。

速いし、正確だし、左右同じ技が飛んで来る。

私は一つ一つ止めた。

しかし止めている間に脚が攣り出した。

攣った脚を伸ばしながら戦っていると逆の脚も攣った。

脚を掬われてパウロがスイープ、2点献上。

そこからハーフへ。

リバースハーフで足を挟んでいるとまた脚が攣った。

その瞬間に脚を抜かれた。

私はヤバいと思い無理矢理鉄砲で相手を返した。

ポイントはない。

少し遅かった。

パウロはもう流すモードに入り、私はそのガードを開けることが出来なかった。

試合が終わった私は無理矢理動かして痛めた脚をケアしながら、フェザー級の限界を感じた。

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