企業広報と、システムの研究

パブリック・リレーションズ(Public Relations / PR) とは、ここではいわゆる「広報」のこと。

日本語では、「ピーアール」の言葉の響きが「アピール」に似ていることもあり混同されがちだが、PRとは「公共関係s」の直訳が示すように、本来相互的な概念である。

ある程度の規模の企業には「広報部」なる部署があることが多いが、彼らの仕事すなわち「企業広報」とは、(身も蓋もない表現をすると)前述の本義とは裏腹に、自分の企業をマスコミにうまく取り上げてもらうことであると捉えられがちである。


私は前職でいわゆる「企業広報」の仕事をしていたこともあり、今もちょくちょくとその関係の仕事をしている。

が、世の中の広報部の皆様ご多分に漏れず、私もどれだけ自分の企業を取り上げてもらえるか、そのセンセーショナルさを強調するきらいがあったなと、最近反省することがあった。


とある新聞記者のいる勉強に参加したときのこと。

超端的に書くと、
「記事になりやすいのは、①これまでの課題を乗り越える本当に新しいこと。もしくは②世の中のトレンド である」
という恐ろしくシンプルな事実に、はたとなった。


もちろん、①②とも、これまでも意識はしていた。

が、知らず知らずのうち、
自分のやっていること、クライアントのやっていることをいかにすごいものとして(嘘はなく)伝えるか、
に主軸を置いてしまっていたように思う。



振り返ると、私が大学院で学んだ(そして今も末席ながら研究員として研究している)学問分野「システムデザイン・マネジメント」では、特定の分野を狭く深く掘り下げるだけでなく、「木を見て森も見る」視点が必要とされている。

企業広報も、まさにこれだ。


その企業が存在している意義を、トレンドや時代、先達、そして競合の文脈の中で、いかに位置付けるか。

それがないと、どれだけ自社(やクライアント)が素晴らしいと述べても、それは空虚な宣伝文句でしかない。


そういう意味で「オンリーワン」「ナンバーワン」など虚しい表現だ。

何か前提があるからこそ自分という存在があるわけで、
真に「オンリー」な話題に社会的意味はないし、
「ナンバーワン」という時点で既に競合があるわけで、その中でのスペック争いは特定の業界の中の人にしか興味はない。


大局をみて、
根拠を揃える。

これって、研究と何も変わらない。


発明家社長らしいステージに立った気がした。

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