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モチベーションが湧かない3つの理由と、その解消法

18歳から家庭教師、塾講師など、教える仕事をしてきました。

子どもに勉強を教えるとき、一番苦労するのは「やる気を引き出すこと」です。

やる気を引き出すテクニックはさまざまあるのですが、コーチング理論を学んだことで、とてもシンプルに説明できるようになります。

理論的には、やる気がわかない理由は3つだけです。
1 ゴールが、本人にとって魅力的なものではない。
2 ゴールが、現状維持でも達成できる。
3 ゴールを達成できる自信がない。

もちろん、他にもさまざまな理由付けをすることは可能です。ただ、実務においては、理論はシンプルでなければ役に立ちません。シンプルだからこそ、やる気を引き出そうとするときに役立つのです。

【1】ゴールが魅力的ではない

学校や保護者が設定するゴールが、本人にとって魅力的とは限りません。保護者がどれだけ大学に行ってほしいと思っていても、本人が大学に行きたいと思っていないなら、やる気が出るはずがありません。

本人にとって、ゴールが魅力的なものである必要があるのです。

本人にとって魅力的というのは、本人にとって「価値がある」ということです。ある保護者にとって東京大学理科三類は価値があるかもしれませんが、その子供にとっては価値がないかもしれません。正直に言えば、東京大学理科三類に価値を感じるのは、かなり特殊な人たちだと思います。

価値は、欲望・関心・目的に応じて立ち現れます。(「価値の原理」西條剛央)価値があるというのは、その人の欲望・関心・目的を満たすということです。

ですから、モチベーションを高めたいときは、自分の設定したゴールが、自分の欲望・関心・目的に適うものなのかを確かめるとよいです。教師に気に入られたいから数学を頑張ったという人も、私は知っています。本人の欲望・関心・目的に適えば、それは価値あるものになるのです。

もし自分のゴールが、自分の欲望・関心・目的を満たすものでなければ、別のゴールを探すのが現実的です。価値を見出せないものをゴールにすることはおすすめできません。

どうしてもゴールを達成したいなら、欲望・関心・目的を生み出すものへの働きかけを考えましょう。

西條先生によると、関心は契機(けっかけ)によって生まれるので、何かしらの体験を用意するというのも一つの手です。たとえば、資格試験の勉強のモチベーションを高めたいなら、 その資格取得者の書いているブログを読んだり、その資格を扱っている漫画を読んだり、ドラマを見たりするというのも一つの手です。

【2】現状維持で達成可能

ゴールが魅力的であっても、現状維持でゴールを達成できると思っている場合、やる気は出ません。”高校に進学すればいい”と思っている中学生にとって、高校進学はほぼ100%確実に達成できるものです。今から勉強をする理由がないのですから、やる気が出るはずがありません。

この場合は、ゴールを高めることが大切となります。自分の欲望・関心・目的に適うという条件をつけながら、ゴールをより遠くに置くのです。

たとえば「普通の人生を生きたい」ということに関心の主軸があるなら、「今は大学に行くのが普通の時代だから、大学に行ける高校を受験したほうがよいかもね」と働きかけて、「高校ならどこでもいい」から「普通科に進学する」へとゴールを高めるよう働きかけることになります。

【3】達成できる自信がない

「現状維持では達成できないけれど、達成したいと思うゴール」があったとしても、それを達成する能力があると思えなければ、やる気は出ません。将来、キャリア官僚になりたいと思っていても「自分は頭が悪い」と思い込んでいるなら、そのための努力をすることはできませんね。

現状維持では到達できないけれども、自分にはゴールを達成する能力があると思えることが大切なのです。

この感覚を自己効力感と言いますが、自己効力感を高めるポイントは2つあります。1つは成功体験を積むこと。もう1つはお手本を見ること(観察学習)です。成功体験を積めば積むほど自信が付き、自分自信で成功体験を積めなくても「できている人がいる」と思えることが自信につながります。

成功体験を積むために大切なことは、フィードバックが明確な状況で小さな成功体験を数多く集めようとすることです。勉強ならば暗記に取り組むのがおすすめです。ビジネスなら、TwitterやFacebookなどから始めてみましょう。フィードバックが明確なので、成功体験を積みやすくなります。

ただ、自己効力感を高める方法として、私が一番おすすめするのは「変化すること」です。「成功」という結果を求めるのではなく、新しいことを試すこと、過去にしたことがないことをすることに焦点を当てるんです。私も、自分が成功体験を積みたいと思う分野については、必ず毎日1つ新しいことをするようにしています。

自分の目標が高くなればなるほど、成功体験を積みにくくなります。成功体験を積むことを目的としていると、失敗ばかりになってしまったときに、むしろ自己効力感が下がってしまうんです。 結果に焦点を当ててしまうことで、むしろ心が折れやすくなってしまうんです。

「変化なくして成長なし」という言葉があります。変化は成長に必要であり、成長は成功体験に必要です。

成功体験という結果に焦点を当てるのではなく、変化することを心がけていると、自然と成長して その成長が成功体験をもたらしてくれます。それが、自己効力感の向上に繋がるんです。

【4】やる気を高める3つのポイント

言い換えると、何かをやる気になりたいときは、3つを確認すればよいのです。

1 ゴールは魅力的なものかどうか。

2 そのゴールは、現状維持では達成できないものかどうか。

3 魅力的で、現状維持では達成できないゴールを、達成する能力があると信じられるか。

まずは、自分にとって魅力的なゴールを設定しましょう。自分にとって価値あるゴールを設定しましょう。「富裕層になりたい」でもよいですし、「社会貢献をしたい」でもよいです。自分の欲望・関心・目的に素直になってゴールを設定することです。

ただ、そのゴールが現状維持でも達成できるものであるならば、より明確にしたほうがよいでしょう。たとえば富裕層というのは保有資産額1億円以上となりますが、ある人にとっては現状維持で十分に到達可能となってしまうでしょう。また「社会貢献をしたい」というのも、現状維持で到達可能でしょう。より詳しく「社会貢献活動を1ヵ月に1度以上したい」としたり、「フードドライブ&フードパントリー活動を、毎月行いたい」など、より達成が難しくする必要があるかもしれません。

ただ、難易度を上げすぎると「達成できる」と思うのが困難となります。自分には達成できないと思った場合には、中間ゴールを作るのがおすすめです。ゴールを引き下げるのではなく、ゴールに到達するための置石を設定します。その上で、日々小さな変化を取り入れて、中間目標に向けて試行錯誤していきます。「変化なくして成長なし」を座右の銘にして、毎日小さな変化を取り入れていきましょう。

もし、あなたが何かをやる気にならないときは、上記の3つを確認するようにしてみてください。

これはとてもシンプルですが、長期的なモチベーションを生み出すには必ずチェックしておくべきことです。ぜひ、ご活用ください。

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