ビジネスは戦争ではないから、「戦略」なんぞは必要ない。

ビジネスの本質は社会貢献です。

その社会貢献をするのに、「戦略」など必要でしょうか?

社会貢献は戦争ではありませんから、戦略は必要ありません。

もちろん、社会が必要としている価値が何かを見極めることは大切です。そして、それを届けるための工夫や努力も大切です。ですからこれらを見極めるために戦略を学ぶのは無駄ではありません。

しかし、それに毒されてはいけません。クライアントはターゲットなどではなく、他社は打ち負かす相手ではありません。

クライアントはあなたが価値提供・価値交換をする相手であり、他社はあなたの提供できないものを提供してくれる存在です。

これは理想論ではなく、ビジネスは社会貢献であるという事実から生まれる当然の帰結です。

そして、この帰結から外れることによって、さまざまなデメリットが生じます。本質や原理原則から外れることによって生まれるデメリットです。

まず無意識に勝利を意識することになります。勝利の前提は比較ですから、「比較優位」を意識するようになります。たとえば他社よりも多くのキャッシュを得ることをゴールとするようになるのです。

そして、この時点でクライアントは、キャッシュを得るための手段として扱われることになります。クライアントという人は、あなたの目的達成のための手段となるのです。あなたが釣り人であり、クライアントは魚となります。

あなたはクライアントを効率的に釣るために、戦場を選び、釣るべき魚を絞り込み、生体を調べて、罠を仕掛けます。

ここではクライアントは人ではありません。あなたの欲望を満たす道具です。ですから個々人のそれぞれに関心が持てなくなります。”人というもの”というレベルでしか物事を見なくなるのです。あなたは釣りをするときに、魚の個々の性格を気にしようとするでしょうか?

ここでピントがずれるのです。クライアントは魚ではなく、それぞれの人生を生きている人です。さまざまなきっかけで、さまざまな欲望・関心・目的を持ちます。そして、生まれた関心等を満たそうと日々を生きています。人はそれぞれの出来事に、それぞれ違う反応をする生き物です。

ですから、十把一絡げにしたような”戦略”は通じないのです。それが通じているように見えるのは、同じ戦略をしている人たちが常に争っているからにすぎません。つまり、いわゆる彼らの中の勝者だけが私たちには見えるので、その戦略が正しいように見えるのです。

しかし、本当に望まれる価値提供をしている人は、クライアントの日々の小さな出来事に目を向け、そこから生まれる関心等を満たすことに力を注いでいます。言い換えると、その時点でそれらのクライアントに価値提供をしているので、争う必要がありません。言葉が悪いですが、水脈から直接水をくみ上げているのであって、湧き出た水を奪い合っているのではないのです。

湧き出た水を奪い合うことになっているのは、ピントがずれているからです。クライアントが求めているものを細かく捉えれば、争う必要がありません。そもそも人間の価値観はそれぞれであり、そして瞬間瞬間に生まれているため、それらをすべて満たすことは原理的に不可能だからです。いくらでも満たすべき関心等はあるのです。

ビジネスは社会貢献です。そして、それは人に価値提供をすることです。

そして価値は、契機(きっかけ)によって立ち現れます。

私たちがするべきことは、このきっかけに丁寧に働きかけて、丁寧に価値提供をしていくことです。

ビジネスは戦争ではなく、社会貢献なのです。

ですから、そこにはこのレベルの丁寧さが必要となるのです。





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