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日本企業のコンセンサス経営は限界 経営スピードの著しい欠如

高い業績を示しているアメリカの企業を見ると、イーロン・マスクやザッカーバーグ、ジョブズのような独裁型か、GoogleやNetflixのような極度の授権型に移行しているように思います。日本でも、SBはもう別格として、キーエンス、ファーストリテイリング、ニトリ、星野、アイリス、ヨドバシのような独裁型の企業しか成長していません。

ところが日本の大企業は、コンセンサス型の経営を依然として続けています。多くの会議体を維持し、下から上げる形で発議し、会議の前に根回しのためのレクをする。授権しているのに報連相を要求し、現場同志の自発的なコーディネーションを期待するため、「とりあえず耳に入れておこう」的なコミュニケーションが横行し、意思決定者でもない人を会議に出席させ、会議の人数が増えて出なければいけない会議がどんどん増加して、CCされるEメールが激増して、本当の仕事をする時間が無くなっていくのです。

ボトムアップの意思決定では管理職がリードしないので、イノベーションが組織の壁を超えない。これでは管理職がリードするスキルは身に着かない一方で、現場は優秀で、スタッフの同期も他部署にいて、新入社員の頃研修で他部署を経験しているので、現場同志が自発的にコーディネーションする。それでオペレーションは問題なく回っても、変革はできない。結果としてイノベーションが組織の壁を超えることはなく、組織内でチマチマとした改善を繰り返し、それをデジタル部門が拾って「これが当社のDXの例です」と宣伝する。

こんなことをしていると、本当に海外企業に負けますよね。つまり環境変化速度が上がれば上がるほど、日本企業はついていけなくなる。

組織体質を改善するようなコンサルティングをすればよいのですが、今の仕組みの中で生きている人には役員レベルであってもこれを理解はしても手は出せない。コンサルタント側も、戦略コンサルタントはビジネスモデルのようなハードな戦略にしか興味がない。ITコンサルタントはITシステムにしか興味がなく、せいぜい業務プロセスです。ERPのコンサルタントは、現在の業務プロセスに合わせてまくってからERPを入れるのが当たり前で(それがウリで)、変革管理のスキルなど身につける必要もない。そもそも、クライアント側が受け止められないので、指摘しても軋轢を生じるだけです。

結局、誰も真剣に変革を考えてないのです。どうするんでしょうね。

日本企業の組織論的な問題点を電子書籍にまとめてみましたので、できればお読みいただけると嬉しいです。

日本企業の組織的病理と処方箋: なぜ日本企業は競争力を失っているのか?その原因の究明と対策の提案 | 今枝 昌宏 | 経営学 | Kindleストア | Amazon


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