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「Winter Cross」 〜楽曲制作話〜

アマネトリル New Single「Winter Cross」が2021年12月3日、配信リリースされました。

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先月配信リリースされた「FORTUNE TOWN feat. WODDYFUNK」に続く、冬うたシングル第二弾。パーティーチューンの対極、バラードナンバーです。

実は今回の「Winter Cross」に関して、デモ段階では「FORTUNE TOWN」のカップリング扱いでリリースする予定でした。制作が進むにつれて楽曲の説得力が強固なものにブラッシュアップされていく中で、シングル曲としての確信を持てるようになり、時期を分けて2ヶ月連続でのシングル発表という運びとなりました。このように臨機応変に作品を発表出来るというシステムも、ある種「デジタル配信」のメリットのようのも感じます。

というわけで本題へ。

楽曲に関しては、「FORTUNE TOWN」も同様ですが今回のリリース用に書き下ろした新曲です。「冬のパーティーチューン」に対して、「冬のバラード」という大きなテーマのもと、シングル曲としてのバラードナンバーはアマネトリルとしても初めてです。

基本的に作曲はアコースティックギターから始める事が大半ですが、今回はピアノから弾き始めて曲の大枠を作りました。あるある話ですが、得意とする楽器の手癖作曲回避の作戦でもあります。不慣れな楽器の方が、耳馴染みの少ない展開から誘われるメロディなど、偶然の出会いがあったりもします。

プリプロがはじまり、アレンジに関してはさほど悩むこともなく、「冬の王道バラード。これは生演奏だよね。」というように3人(アマネトリル+Co Producer井上薫氏)のイメージの一致も早く。

僕個人としては、Bobby Caldwellの「Heart Of Mine」あたりの時代感がをサウンドイメージに、とりわけ「Digital PianoとTenor sax」という組み合わせはマストでした。結果的に鍵盤類はCPのデジタルサウンドとスタジオのアップライトピアノのバッキングが綺麗に絡み合い、そこにシンセサイザーとストリングスのオーケストレーションが包む事で楽曲にダイナミクスが生まれ、厚みある温かいサウンドに。メロディに呼応するような華麗なオブリと、アレンジの中心軸、そしてグルーヴの要ともなってるのがこのバッキングピアノですね。プレイヤー、ストリングス・アレンジは勿論、井上薫氏。

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そしてその土台を更に固めてくれているのが、今回のリズム隊。Baの林あぐり氏、Drは今回のレコーディングがはじめましての海老原諒氏(同い年!!)

このふたりの組み合わせ、僕はめちゃ好き。テクニックどうこうはもはや言う所ではなく、楽曲に対する包容度がとても深い所にあるプレイヤー。そういった純度の高い演奏が耳に入ると、乱暴な言い方かもしれませんが、なんかもうそれでOKというか。ドーンと構えていて、淡々と刻むフレーズにも細かなアーティキュレーションを感じる素晴らしいリズム隊です。(総じてテクニックというのかもしれませんが笑)

2サビ終わり小節の3拍目でよーーやくスネアのショットがくるのですが、この音が特にたまらないので、注目してみてください。笑

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そして間奏からの大フィーチャーはTenor sax、庵原良司氏。「FORTUNE TOWN」でもセクションで参加して頂いています。もはや言葉は不要な気がするのですが、一言言わせて頂くとしたら、「ずるい」ですかね。笑 ここまで持っていってしまう楽器なんだなぁと。自分達の作った曲に入ると改めて実感しますね。勿論素晴らしい百戦錬磨のプレイヤーであるという事もありますが、コンソールルームで庵原さんのプレイを聴いていた瞬間、とても幸せでした。

何より嬉しかったのは、テスト含め何度か吹いて頂いた後に「歌詞を見て吹かせてください」と仰って頂いた事です。これは、歌詞を書いた人間としてはこの上なく嬉しい事です。おそらく、その場で曲を聴けば大凡のフレーズや景色は見えて演奏できるものを、歌詞の意図を汲みながらフレージングをして頂けるというのは、歌詞を書いた人間としてこの上なく嬉しい事でした。嬉しい事なので、2回書かせて頂きました。庵原さんのムードメーカーなキャラクターも、多くの人から必要とされる一要素である事に一票投じたいと思います。

そしてYujinのElectric Guitarの登場です。

アマネ曲において(とりわけシングル曲)、イントロのギターテーマというのは「アマネトリルらしさ」を担う顔にもなってきてるのではないでしょうか。キャッチーでありながらも一筋縄ではいかないような、シンプル所以の難しさに顔を悩ませるYJ氏が今回もブースにいたような気がします。(といいつつフレーズを作ってるのはYJ自身。笑)

今回のイントロにはGibson Les Paul Gold Top(P-90)をフロントピックアップでプレイ。サウンドイメージとしては、Michael Franksの「Sleeping Gypsy」でGold Topを奏でているラリー・カールトン。曲中のアルペジオはFender Stratocasterをトレモロで揺らせて、澄んだ冬の情景をサポートしてくれています。 

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Vocalに関しては、「喋り声に近い声色で歌ってみる」という、今まであまり意識してこなかった部分を取り入れてレコーディングをしました。歌うようの喋るのはミュージカル化しますが、喋り声に近いトーンで歌う事で、普段の自分と歌っている「自分」に差別化や違和感を作らないという手法でした。問いかける、投げかける時に、届かせる為に余分な熱を入れない方が伝わる事もあるように、ただダイナミクスをつけて歌うだけではないので、そのさじ加減は絶妙に難しい所でもありました。歌詞は、糖分高めのラブソングというものが元来苦手なので、か細い糸のような繊細さの中にも、何か確固たる意志を持った二人の成長を描いた歌を書きたくて、何度となく書き直しました。「Winter Cross」というワードから、様々な解釈で紐解いて頂けたら嬉しいです。

本作はMusic Videoも制作しました。ご覧になって頂けましたでしょうか?

今回はウスイヒロシ氏に手掛けていただきました。僕の敬愛するアーティストの作品も多数手がけていたり、本当に素敵なご縁に恵まれました。

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アマネトリルのMV史上、最も自然美豊かな情景と光に包まれた作品です。撮影地は山梨県、富士五湖の西湖のキャンプ場です。風に舞う木の葉と湖に反射する光、ほど良い湿度感がとても気に入ってます。音楽と映像がリンクする瞬間は、それまでレコーディングで何百回とリピートして聴いていたはずの曲なのに、瞬時に別次元の扉が開かれ、新たな作品となるので本当に不思議です。人間の五感って凄い。笑

こうして今回も沢山の方の力添えを頂けた事、その出会いと作品に向き合ってくれた心に本当に感謝です。

そして、最後まで読んでくださったアマネトリルファンのあなたにも感謝です!

ちょっとだけ早いけど、Have a nice holiday!!!!

楽曲配信サイトはコチラから

<歌詞>

「Winter Cross」  
詞/曲:アマネトリル 編曲:アマネトリル、井上薫

冬隣に流れるメロディ 
君の影を探してる 
宵闇通りを見送る月は 
小さく揺れた

舞い落ちるように焦がれて
11月の雨 心の波間に いまも霞んでいる

張りつめるより 
壊れないように
折り合う糸を 
放さぬように
耳を澄ませばあの海に 
Winter Cross

暮れてゆく季節(とき)を繋いだ 
ふたりはまだ若すぎて
悴む掌 肩をすくめて 
つよがるけれど

華やぐ街の片隅に
君が残した歌 胸の隙間に いまも鳴り響く

冬のカケラを 
零さないように
折り合う意図を 
包み込むように
君を描こうあの空に 
Winter Cross

冬のカケラを 
零さないように
張りつめるより 
壊れないように
ふたつの糸を…
包み込むように 
春を待つ風たちは奏でてく 
Winter Cross  


<クレジット>

MUSIC & LYRICS WRITTEN by アマネトリル
Masahiro:VOCAL
Yujin:ELECTRIC GUITAR
井上 薫:KEYBOARDS & PERCUSSIONS
林 あぐり:ELECTRIC BASS
海老原 諒:DRUMS
庵原 良司:SAXOPHONE

PRODUCED by アマネトリル & 井上薫
RECORDED, MIXED & MASTERED by 兼重哲哉
ASSISTED by 藤井邑親
RECORDED at Studio FINE, AMC Studio

ART DIRECTION & DESIGN:さくらいはじめ

MUSICVIDEO STAFF
Director|ウスイヒロシ
Director of photography|大森洋介
Assistant Camera|山下 智博(SPICE)
Hair Make|釣谷ゆうき
車両協力|Vanbra Motors
PM|熊谷明彦
Production|Zinc.inc 

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