見出し画像

【感想】日テレ特番『カワシマの穴』第2弾

昨年末に第1弾が放送されて話題になった『カワシマの穴』
「密着してない密着番組」を謳い文句に、他人の密着映像をディープフェイク技術を使って麒麟・川島の密着映像に仕立て上げるというもの。
その第2弾が先週末に放送された。

お笑い番組として

今回密着されたのはフット後藤。

企画・演出を務める南斉岬ディレクターは第1弾での川島についてこう語っている。

「制作側が気づいてほしいところにすぐ気づいていただけるんです。ずっと画の違和感がある番組なので、そこにも敏感にツッコんでいただきました」
https://news.mynavi.jp/article/20230305-kawashimanoana/

これを聞けば次は後藤というキャスティングにも納得。

(C) NTV
(C) NTV

さすがw

スタッフも全幅の信頼を置いているのか、今回はディープフェイクだけでなくシンプルな盗撮パートも登場。

(C) NTV
(C) NTV

もはや単なる捏造もしくは印象操作の類いw

今回はディープフェイクの粗さによる面白さだけではなくVTR中の仕掛けの手数も増えていたのが良かった。
歌手世界デビュー編に入るとVTRの悪ふざけもエスカレート。

(C) NTV
川島「ASAYANみたい」www
後藤「確かにこのメラメラする字、ASAYANで見たことあるけど」w
(C) NTV

2人目www

(C) NTV

終始一貫ツッコミに徹するべきなのかVTRに乗っかって川島をイジるべきなのか自身のスタンスを見失う後藤w

AI技術コンテンツとして

映画『トイ・ストーリー2』のパンフレットに三谷幸喜がこんな寄稿をしている。

 さて今回、アンディの家には、バスターというミニチュアダックスフンド(?)が飼われています。これは当然、前作のラストで、アンディがクリスマスプレゼントに貰った犬。これが、よく出来ている。前作で隣の家のシドが飼っていた犬がいたじゃないですか。あれって、CG的にはまだ未完成で、犬なのか犬のおもちゃなのか、よく分からないところがあった。それに比べて今回のバスターは凄いです。きっとスタッフの意気込みの表われなんですね。あえてもう一度全面的に犬を出すことで、前回思うようにいかなかったことに再度挑戦したというか。CGの進歩を見る時に、二匹の犬の比較は、一番の材料ではないでしょうか。
『トイ・ストーリー2』劇場パンフレットより引用

この番組にもそんな側面があると思う。

(C) NTV

ここのシンクロ率は凄かったw

(C) NTV

たった3ヶ月なのに技術格差がw

南斉Dは技術面についてこう語っている。

「ディープフェイクはまだ発展途上の技術なので、今がちょうど笑えるクオリティだと思うんです。リアルになりすぎても、雑すぎてもちゃんとエンタメにならないので、わりといい時期にこの番組ができて良かったなと思います」
https://news.mynavi.jp/article/20230305-kawashimanoana/2

TBSで放送されていた『クイズ!THE違和感』の企画の1つであるノブ違和感でもディープフェイク技術が使われていたが、初放送は2020年6月。

この画像は2020年12月の記事のものだけど、2年半〜3年ぐらい前のクオリティがこんな感じ。

https://www.oricon.co.jp/news/2178622/photo/3/

ぶっちゃせ顔の被せ方のリアリティはそこまで著しい進歩を見せているわけでもない気がする。
バラエティ番組の笑える面白さだと既にこの辺りがラインなのか。

「ディープフェイク職人」としてクレジットされているおすしスキー氏のツイート。

昨年末の第1弾の際のツイート。

あくまで深夜番組だから予算と納期の制約はあると。当たり前だけど。
笑えるレベルを保つために敢えて本気出してない部分もあるだろうし。

時間と予算が青天井ならどこまで作れるんだろう?と考えていたら、南斉Dの「わりといい時期」とはまた別の意味でタイムリーなニュースが。

番組放送と前後する形で(イーロン・マスクらの公開書簡が放送前、ビル・ゲイツのコメントが放送後)生成系AIがいよいよ危険視される動き。
まぁ去年からStable DiffusionやChatGPTがエゲツないからなー

動画生成AIもMeta社(旧Facebook)が開発中のMake-A-Videoがある。

昨年9月の発表時点ではまださすがに粗いものの、もはやクオリティ向上は時間の問題?
(ただ、それをそのままテレビ番組で使えるかというと個人情報や肖像権、著作権といった辺りが絡んでくるはずなのでまた別かなとは思う)

デカルト方法序説

そして話は哲学の方面に飛んでいく。

本人不在ネタ(?)という点で共鳴していたのが『全力!脱力タイムズ』の最新回。

(C) フジテレビ

上のスクショの青木源太が合成(実際はゆーびーむ☆と飲んでいたそう)
いや違和感ないよなぁw
会話の編集も切り返しを多用して2人が同時に映るシーンが少ないけど、それは嘘だと分かって見てるから違和感を覚えるのであって対談トーク形式でああいうアングル・編集の番組は普通にある気もするし。

ここで興味深いはディープフェイク技術を使っていとうあさこの喋る精巧な映像をゼロから作っても面白いのかは謎という点な気がする。
ディープフェイクは粗い方が面白くて、合成は精巧な方が面白いということなんだろうか?
でも粗い合成はそれはそれで笑えるか。
不思議だ。

ポッドキャスト番組『無限まやかし』でも「そこにいない人がそこにいるみたいにするエンタメ」の話題がチラッと出ていた

会話の文脈的にはリアルイベントの意義を話す流れ(12分過ぎから)

大島育宙「本当は文字でカタカタ打ってるだけなのに声で喋ってるみたいな人はリアルイベントは出来ないわけじゃないですか」
https://open.spotify.com/episode/5Qox9kCeeD2LFSZ1ZJ2JK2

もはや「全ては嘘なのではないか?」と疑うデカルト方法序説の領域へw
「我思う、故に我あり」なので、いかにディープフェイクが進化しても私は存在する。
「私はSMILE NINJAは実在すると思う」は言える。

しかし、カントの言うように、その私が今見ている映像が本物なのかは分からない…w

いいなと思ったら応援しよう!