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【感想】全力！脱力タイムズ『3時のヒロイン福田＆井之脇海、顔が怖いです！の巻』

林昌弘，Masahiro Hayashi

同じ番組を毎週見る。
色んな番組を幅広く見る。

映画やドラマの鑑賞スタイルとして縦と横で網羅的に見れば見るほど面白くなっていくというのは周知の事実である。
と思っていたら今週こんな記事を読んで「まぁ確かに自分の周囲でも作家主義で映画を見たり異なる作品間の体系的関連性を語ったりしてる人ってあまりいないかもなぁ」と思った今日この頃。

話を戻すと自分は『全力！脱力タイムズ』というお笑い番組、いや報道番組にもこの縦横のイズムを強く感じる。

ここ最近、この番組はラストにコンプライアンス委員会というコーナーが設けられていた。
確か2021/5/21放送のシソンヌ長谷川の回から。
これ自体もTBS・Paraviの『有田ジェネレーション』の有ジェネガールズバーを前提とする、いわば“有田ユニバース”とでもいうべき少々ハイコンテクストなお笑いである。
知らない人にとっては突然ヒコロヒーら女芸人が出てきてダメ出しを始めるよくわからないコーナーに見えているかもしれない。
ちなみに有ジェネから芸人を輸入するという手法自体はもっと前から用いられている。
お笑い番組を横断的に見ている人には分かる仕掛け。

このコンプライアンス委員会で行われていたのは、その日出演した芸人のツッコミを冷静に評価するというもの。
「会心の出来で気持ち良さそうでしたね」「もっと出来たのでは？」などの言葉が芸人に浴びせられていく。

そんなコーナーを何週か重ねてきての今回。
ツッコミ枠に呼ばれたのは3時のヒロイン・福田。
コンプライアンス委員会の放送開始と収録時期の時系列は不明だが、この番組に出たいと公言した福田なら少なくとも自身のツッコミが試されるということは分かっていただろうし、視聴者も自然とその目線で見始めていた。

この日は序盤から番宣枠ゲストの井之脇海が段取りを間違えるというフリが積み重ねられていく。
段取り確認と称して台本に書かれた福田のツッコミが読み上げられる。

アリタ「そしたら福田さんが、告知やないかい！急に告知ぶっこむのおかしいやろ！って」
福田「先言うんやめてもらっていいですか？オリジナリティ封じんといてくださいよ」
アリタ「そしたら井之脇さんが、そんなに言うんだったら福田さん僕の映画の告知をやってくださいって言う予定だったんでしょ？」
井之脇「はい、そうです」ｗ
アリタ「なんでやねん！わしゃお前の彼女か！っていうのを言って頂く予定だったんです」
福田「そんなコテコテですか？私のイメージって」ｗ

戸惑いながらも台本通りにツッコミ→ウケないという福田にとって厳しすぎる展開が繰り返されていく。
さらにこの日の番組のテーマである転職を実際にした人に登場してもらうコーナーへ。

井之脇「すみませんアリタさん、次って段取り何でしたっけ？もう間違えたくなくて…」ｗ
アリタ「僕の昔のバイト先の仲間ですかね？じゃなかったでしたっけ？」
井之脇「あ！そうでした、そうでした」
アリタ「そうかもしれませんねって言って僕が呼びますから。そしたら福田さんの元相方が来ます」
福田「えー！？」
アリタ「あっ…ちょっとまだ…」ｗｗｗ
福田「いや…(笑)」
アリタ「福田さんの元相方がサプライズで来るんですよ。私の元相方やないかい！があるんですよ」ｗｗｗ

ここから自由にツッコむにしても先に「ジャパニーズドリームか！」という独特すぎるフレーズまで提示されて八方塞がりｗ
その後も事前に知らされた通りつぼみ大革命の曲でダンスさせられ、コウメとザブングル加藤が相方役という展開も事前にバラされるｗ

芸人に自由にツッコミをさせ、それを最後にコンプライアンス委員会という設定でイジるというのを数週間重ねた後に、今度は番組側からツッコミのフレーズを全て指定するという裏切り。
番組を毎週見ているとより楽しめる仕掛け。
見事すぎる。
最近だと『有吉の壁』や『千鳥のクセがスゴいネタGP』なんかも毎週見てるとより楽しめる番組だなと思う。

カットがかかって収録が終わった直後、

福田「正解のルートありました？」（有田に向かって）

終始不安だったんだろうなｗ

個人的には台本に敢えて乗っからずにそれでもオリジナルのワードでツッコむ強心臓タイプの芸人でも見てみたい。
（ちなみに決して福田が悪いわけではなく、突然あの状況に放り込まれたら下手に動いてスベるよりも番組が提示した台本に乗って様子を見るのが得策だとは思う。様子を見てる内に収録が終わるけどｗ）

ちなみにお笑い好きには知られているが本番組において有田は単なる出演者でなく総合演出としてスタッフにクレジットされている。
（他の番組でも企画でクレジットされていたりスタッフに近い立場で番組作りに関わっている）
有田哲平という芸人に注目しながら番組を見ると色々また違った見え方をしてくるかもしれない。

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