【感想】Netflixコメディシリーズ『トークサバイバー』
傷ついた話を青春ドラマでカッコ良くしろ!
これは2016〜2018年にテレ東深夜で放送されたバラエティ番組『キングちゃん』内の企画『ドラマチックハートブレイク王』のコンセプト。
MCが千鳥でプロデューサーが佐久間宣行という座組みからして本作はそのスケールアップ版と捉えていいと思う。
(ただし佐久間P以外のスタッフは結構異なるのでキングちゃんチームの新作というわけではない)
第3回は大悟が直前に週刊誌に突撃取材されてしまい遅刻(収録に向かうタクシーに記者と同乗w)という伝説の回w
キングちゃん時代もドラマパートの映像が綺麗であればあるほどその後のエピソードトークへのフリになるので効果的だったが、今回は完全に映画仕様の映像になっている。
ドラマパートの監督は河合勇人。
映画も数多く撮っているが、Netflix Japan的には『全裸監督』シーズン1の終盤エピソード(第6話から最終話)を演出した人である。
どこに本気出してるんだw
学校にヤンキーが乗り込んできて暴動を起こすシーンなんかはNetflixグローバルの大ヒット韓国ドラマ『今、私たちの学校は…』のパロディとしてなかなか秀逸w
撮影時期は半年前らしいので偶然だろうけど。
お笑い番組×映画と聞いて思い出すのは同じく佐久間Pが手がける『ゴッドタン』から生まれた『キス我慢選手権 THE MOVIE』
ワイプでノブがドラマにもトークにもツッコミを入れるという構造は本作と同じ。
ちなみに第1作を事前に見ておくと『トークサバイバー』の最終話でニヤリと出来ます。
(ヒントは五賢者)
今回はこの映画よりもさらに大きなスケール。
あと本作が2022年3月8日に配信されたという作品外の文脈も最終回で伏線に化けていて、偶然かもしれないけど無駄に感心してしまったw
シン・エヴァの公開日は2021年3月8日
さらに佐久間Pが手がけてきたドラマのセルフ引用みたいな要素も。
土屋亮一による「コントかと思いきや…?」な脚本は今でも第2弾の待望論が根強い『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』
序盤からちょくちょく画面に映ってたものが実は物語の鍵を握る謎の薬だったというのも共通。
序盤の「高校生役なのに全員おっさん」というノブのツッコミが伏線に化けるとはw
そして潜入捜査といえば『刑事ダンス』
改めて見ると出演者エグいな!
ちなみにここから森永悠希が登板。
『トークサバイバー』の企画趣旨は「大真面目なドラマの中にフリーでエピソードトークをしなければいけないパートがあり、一番面白くなかった人が脱落していく」というもの。
全世界配信してるけど日本人でもお笑いリテラシーを求められるレベルの内容な気がw
見る前は『すべらない話』っぽい企画なのかな?と思っていたのだが、実は違った。
しかもスタッフ側のOKがなかなか出ないため弾が尽きてからが勝負w
『にゅーくりぃむ』の『ちなみに他にも選手権』を極限まで煮詰めたような地獄w
有料コンテンツなので核心のネタバレを避けつつ、個人的に印象に残ってるのは
アンガールズ田中が告白した紳助03事件の裏に隠されていた真相
とにかく明るい安村が迂闊に始めてしまった警察署ボケ
オールナイトニッポンで鍛えたトークの地肩を武器にしょうもない話で無双するオードリー春日
アメトーークでの「オチ前に噛んでしまう」というパブリックイメージと異なりトークの中身がしっかり面白い狩野
追い詰められて身を削りまくったパンサー向井
某モノマネを筆頭に要所で壊しにかかる劇団ひとり
まぁ本作が海外でウケるかというとトーク内容が日本のお笑い内輪すぎて難しい気はするw
(ちなみに自分はテレビに限らずどんな笑いも本質的には内輪ネタだと思ってるので「内輪」という言葉それ自体にネガティブなニュアンスはありません。念のため)
ただ、番組フォーマットならワンチャン…?
いや、それもなかなか入り組んだ構造のお笑いだから一筋縄では行かなそうかなぁw
「絶対的権威の審判が1人いる。笑ったら負け。相手を笑わせたら勝ち」という万国共通のシンプルなルールを築いた『ドキュメンタル』とは少し勝手が違いそう。
改めて松本人志は凄い。
あと個人的にこの手の脱落系企画で「誰が審判を下してるのか?」が視聴者から見える・見えないの差は地味に大きい気も。
日本国内ではヒットしてるようなのでシーズン2楽しみにしてます。
(もしくは『キングちゃん』のシーズン4を!)
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