笑う門には福来る
人生の中で二度「このまま死ぬんじゃないか」と思った時期があります。
その一度目の話です。
それは大学生時代でした。
ろくに学校にも行かず、毎日好きなことをして過ごしていた時期です。
最初に異変を感じた時は「ちょっと食欲ないな」という程度でした。
それまで胃が重いという感覚を持ったことがなかったので、今になって思えば、あ~あれが。という感じです。
そこから少しずつ悪化し、やがて食べると気分が悪くなるようになり、食欲は減退の一途をたどりました。
その状態が半年ほど続いたのです。
頬はこけ、目の下もくぼんで、見るからに不健康そうな顔つきになっていきました。
同居している家族から見れば、毎日少しずつしか変化しないので、あまり気には留めていないように見えていました。
しかし母はずっと気にかけてくれていたようです。
ある日新聞記事を持ってきてくれました。
そこには笑いの効用に関することが書かれていました。
当時を思い返してみると、私はほとんど誰ともしゃべらず、自分だけの世界にいることが多かったのです。当然、会話も少なく、喜怒哀楽も平坦。
長期にわたる体の不調に悩んでいた私は、藁にも縋る思いで取り組んでみることにしました。
記事に書いてあったとおり、意識的に人と話すようにし、笑顔を作るようにしました。最初は作り笑顔でも精一杯だったのですが、やがて変化が現れました。
少しずつ胃の調子がよくなっていったのです。
笑顔を意識するようになって、1か月後には食欲も回復し、体調も良くなっていきました。徐々に体重も元に戻っていったのです。
やったことは、誰かと話し、笑うことだけです。
たまたま自然回復の時期と取り組み時期が一致しただけなのかもしれません。しかし、その経験を経た私は、笑うことは大切なんだと思うようになりました。
その後、社会へ出て講師の仕事をするようになった私は、身をもって経験した笑顔の効用を説くようになりました。
先輩社会人として、心からの言葉を伝えてきました。
笑うことは体に良いだけでなく、人間関係を円滑にするのにも役立ちます。初対面の相手が仏頂面だと嫌ですよね。
それは誰でも同じだと思います。
笑顔で「はじめまして!」と言ってくれると安心感があり、好感も持てます。
はじめは作り笑顔でもいいんです。
意識的に笑うことで、自分は健康になり、相手が抱く印象はよくなります。
その内、自然に笑顔が出るようになっていきます。
長い人生では辛い、しんどい、泣きたくなる、そんな局面に何度も立たされます。そんな時こそ、この言葉を思い出してください。
笑う門には福来る。
とてもいい言葉ですよね。
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