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あなたは小鳥さんになれますか?

「ユニコーンに乗って」というドラマがある。

起業、女性活躍、リスキリング、中高年の転職、教育のデジタル化など今の政策課題をできる限り詰め込みました、的なドラマだ。

若い女性社長と転職してきた元銀行支店長を中心とした恋とサクセスストーリーが相まった、テレビの王道スタイルを今っぽくみせているのが特徴だ。

最近このドラマについて、褒め称える記事があり、こんなふうにこのドラマを捉えていた。

勤勉で美味しいお茶も入れてくれて何かあったら守ってくれる、身なりもきちんとしていて、言動も穏やか、若者に上から目線でなく、むしろ低姿勢。こんなおじさん、最高である。

若者とうまくやっていく方法がわからないと思う世のおじさんたちは、Z世代やミレニアル世代に関する調査報告をあれこれ読んでわかった気になるよりも、小鳥を見倣って若者たちに接するといいのではないかと提案する。
引用:西島秀俊「ユニコーンに乗って」の名演に見た希望

もちろん、このドラマは面白いのだが、こんなおじさんは幻想であり、おじさんたちは今の自分の立ち位置を客観的に把握することさえ難しいのではないかと思う。

例えば、今日観たYouTubeにこんなコメントがされていた。

たぶんだが、この方は別に長くクドクド話そうなんて、考えてないのだ。積み上げ式にエピソードを都度都度話していたら、疲れると(おそらく若い)視聴者に受け取られてしまっただけなのだ。

時代を象徴するコミュニケーション手段が、この方が社会に出たころは電話とファックスだった。ただそれだけなのである。
だから、人と話すことが大事で、人の時間を(結果的に)奪うことに対して罪悪感などを持ってない。

その下にメールとWindows Officeの世代がいて、チャットとSaaSの世代がいる。
世代間でコミュニケーション手段が異なっているだけじゃなくて、コミュニケーションの取り方も全然違うのである。

若い人の会社に順応するということは、40年や50年身についてきた、もしくは社会人として20〜30年培ったコミュニケーションの仕方をリセットするということなのだ。

デジタルスキルなどはリスキリングすればマスターできるかもしれないが、コミュニケーションの仕方は右利きを左利きに矯正するようなことなので、すごく息苦しいと思う。

一方で、若者が受け入れればいいという考え方もあるが、若者(を中心とした会社)にはそんな義理はないし、年配の人に合わせるというのはこれまでいた企業や社会、コミュニティと変わらない話ではないかと思う。

ドラマとは作られたストーリーだし、夢や希望を与えるものである。このドラマを観て「よおし、俺も」なんて希望を持ってしまった人には注意が必要だなと思った。

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