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特許事務所のブランディングを考える


はじめに

こんにちは、商標登録サービス Toreru の宮崎です。
特許事務所がブランディングについて考える機会は少ないかもしれません。Googleで「特許事務所 ブランディング」と検索しても、特許事務所自体がどうブランディングすればいいのかについてはほとんど情報が出てきません。一方で、「特許事務所が貴社のブランディングをお手伝いします」という情報は盛りだくさんです。
このギャップが示すように、特許事務所にとってのブランディングは、知財サービスを売るための誰かのものであって、特許事務所の経営に役立てる自分のものではないことがわかります。

しかし、ブランディングの支援をするにしても、自分自身がブランディングに成功していないと説得力に欠けるのではないでしょうか。また、特許事務所経営においてもブランディングは非常に重要な要素を占めています。

この記事では、特許事務所のブランディングについてお話しします。

特許事務所のブランディングの失敗例

「誰でもいいけど、たまたまあなたに頼んだ」と言われる瞬間、それはブランディングの失敗を意味します。このような状況は、特許事務所が顧客に対して独自の価値を提供できていない、すなわち「コモディティ化」している証拠です。

ブランディングとは何か?

ブランディングの核心は「周りとの違いを作り、その一貫性を保つこと」です。
違いと一貫性のバランスが取れていると、顧客の心にしっかりとその特許事務所のイメージが定着します。

特許事務所にブランディングは必要か?

特許事務所にもブランディングは必要です。 では、なぜ必要なのか?その理由を掘り下げてみましょう。

ブランディングの失敗はなぜ起きるのか

「誰でもいいけど、たまたまあなたに頼んだ」—このような事態は、特許事務所においてもよく見られる現象です。失敗の原因は主に次の3点です。

  • 周りと同じことを言っている

  • 一貫性が保たれていない

  • 価値のあることを提言できていない

これらの結果として、事務所は「コモディティ化」してしまいます。つまり、他の事務所と区別がつかなくなってしまうのです。

ブランディングを意識しなくてもうまくいくことがある

過去には特許事務所の業界で、需要が供給を上回る時代もありました。その時代には、ブランディングは不要でした。例えば、コロナ禍で急にマスクが必要になった時、なんでも良いからマスクなら売れる状況と似ていたと思います。
しかし、現在の業界(そして、現在の他のほとんどの業界)では、「需要 < 供給」の状態です。そのため、以前はうまくいっていたところも、競合が増えてきたら厳しくなります。
戦略に裏打ちされたブランディングがないと、競争で生き残るのは難しくなります。

「所長≒事務所」ブランディング

中小規模の事務所では、所長自体がブランドとなり得ます。所長の仕事や人柄が評価され、多くの人がその所長に仕事を頼みたくなります。
しかし、このスタイルには限界があり、所長のキャパシティが事務所全体のキャパシティとなり、結果として成長が止まってしまいます。

ブランディングとは何をすることか?

基本は、違いを出すことと一貫性を保つことですが、具体的にはどうすればいいのでしょう?

1.違いを出す: これはサービスの内容を特化させる、地域にフォーカスする、顧客体験を高めるなど多くの方法があります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

  • 機能的価値: 例えば、明細書作成の速さや特定分野での専門性

  • 情緒的価値: 例えば、お客様サポートの質やユーザー体験

  • 意味的価値: 例えば、持続可能なビジネスモデルや社会貢献

2.一貫性を保つ: ブランドのメッセージが一貫していると、顧客が安心してサービスを受けることができます。

  • ミッション、ビジョン、バリューを明確にし、それを全体に浸透させる。

  • 従業員向けの教育(インターナルブランディング)と対外向けの情報発信(エクスターナルブランディング)の両方を強化。

これらのブランディング活動は結果がすぐに出ないことが特徴ですので、長期的な計画が必要となります。

ブランディングが成功すると

成功すると、ファンが増え、リピーターが増え、マーケティングコストが減少します。また、価格競争からも脱却できる可能性が高まります。

Toreru の場合

Toreru もブランディングの途上にあります。リブランディングによってさらに成長を目指しています。リブランディングの理由としては以下のような点が考えられます。

  1. 伝えきれていない価値がある: 弁理士の高い品質、顧客対応の優れた質、誠実なサービスであることを伝えたい。

  2. 手続きからコンサルティングへ: 手続きの価値だけではなく、経営に役立つ知財を提供したい。

  3. 感情を大事にするサービスへ: 顧客がどのように感じるかを重視しているので、より安心感やストレスフリーなイメージにしていきたい。

  4. 競合との混同を防ぐ: 現在は、競合のサービスと混同されることがあるので、独自性を出すことを強化していきたい。


この記事が、特許事務所のブランディングについて考えるきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただいきありがとうございました!


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