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富山グラウジーズが上位クラブに競り勝てない2つの要素

富山グラウジーズはどの上位クラブとも「僅差」のゲームをする。
今節の東京vs富山。東地区1位の東京もそれは例外ではなかった。

富山は12勝20敗で0.375としているが、今のグラウジーズは数字ほど弱くはない。
シーズン序盤に主力の怪我が相次ぎ、システムの再構築に時間が掛かってしまった。今の勝率はその時期の負債によるもので、現在の彼らの実力とは乖離のある数字だ。
実際に富山は上位クラブ相手でも第4Qで10点以上のビハインドを2点差まで追い上げる力がある。宇都宮も、千葉も、東京も、ノった時の富山にはかなりやれられている。

ただ、勝ちきる事ができない。

今の富山は強豪クラブと何度でも「僅差」のゲームができるだろう。
しかし、その「僅差」は必然であり、絶対に埋まらない点差でもある。

それは「安定感」「要所の質」の差によるもの。

この2つの要素が埋まらない限り、富山はジャイアントキリングを起こせない。
今の富山は充分強い。しかし、それより上を行く上位クラブとの差を敢えて上げるとするならばこの2点に尽きる。

安定感について

富山の試合はムラがある。40分間の攻守の質を見たとき、質の上下が激しい。
上位クラブも止められないスーパープレーが続く時もあれば、凡ミスをして楽に相手に流れを与えてしまったり、意思疎通の元に意図したシュートをデザインし損ねるオフェンスが続いてしまい、3~4分間ノーゴールが続く時間帯がある。

当然どのチームにも波はある。
しかし、強いチーム(特に安定して勝率を保つチーム)というのは「良い時間帯」の爆発力があるというより、こういう「悪い時間帯」から立て直すのが早い(悪い時間帯が少ない)チームなのである。(とはいえ、昨年や一昨年の富山を考えればここもかなり良くなってきている)

後半に怒涛の追い上げをする富山だが、追い上げなければならない状況にしてしまっているのも富山。その追い上げには個々の個人技を絡めた膨大なエネルギーを使っている。
対して、上位クラブは富山の調子が下がっている時間帯に一定の質を保ってリードを作る。
これが「要所の質」の差に繋がってくる。

要所の質

試合には要所がある。ポゼッションの結果が後に与える影響の大きさは毎回一定ではない。その影響の大きいポゼッションが要所である。
例えば2試合目。第4Q、60-58で富山が2点差まで追い上げた場面。ここを止めて決めれば同点、もしくは逆転という状況。ここが要所に当たる。
結果はケビンジョーンズのタフなターンアラウンドシュートを決められると、次には安藤の4点プレーで再び突き放された。

他にもこういう「あと一歩で1桁点差」「あと一歩で射程圏内」という要所はこの2日間にも数回あり、富山はことごとくその要所のポゼッションを成功させられなかった。

それは要所までに富山の方が消耗しているから

東京のような要所を締められるチームというのは、システムの遂行度が高く、少ないミスと労力でポゼッションをこなす。そして、こういう要所が来た時に初めて温存しておいた個人技とエネルギーを使うのである。

これを踏まえると、序盤にビハインドを背負うことがいかにダメージが大きいかがわかる。富山はそうならないために毎回の1ポゼッションをより丁寧にする必要が出てくるし、修正をもっと早くしなければならない。
点が止まっている時にはいち早く気付き、フリーランスでボール回しをすることを辞めて、意思統一を行ってピントを合わせた攻撃に変えるようにしなければならない。

ただこれは逆を言うと、グラウジーズは強豪クラブまで「あと一歩」に来たという事。
この「悪い時間帯」を少なくし、宇都選手やレオ選手、前田選手を疲弊させずに要所を迎える事ができたとしたら。
その時、富山はいよいよ強豪クラブと肩を並べるのだと思う。

一歩ずつ着実にグラウジーズは強くなっている。
もしかしたらシーズン終盤には勝率の数字が大きく変わっている事も充分有り得る。
残りの試合ではそんな富山の進化を見たいと思う。

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