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ソーシャルクラブを目指して①~⑤

2020年5月15日から7月8日にSports for Social(旧 Trinita for Social)に掲載したいただいた「ソーシャルクラブを目指して」が現在、サイト移行のため、すべて消えてしまっています。

明日のclubhouse参加者の皆さんにはこの記事を読んでもらいたいので(事前、事後)、急遽、noteにも掲載しようと思います。

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ソーシャルクラブを目指して①

2018年度が見え始めた頃、私は、スポーツを通じたまちづくりに取り組む一つのツールとして、ジェイリースフットボールクラブ(以下、ジェイリースFC)の創設準備をしていました。「SDGs」を初めて耳にしたのは、ちょうどその頃だった気がします。当時の私は、SDGsに関する知識が全くなかったので、ネットで検索し、関連資料に目を通しましたが、その当時は、知識を習得して終わったレベルでした。世の中によくある、知っておいた方がよいものの一つとして「SDGs」を捉えていた気がします。

2018年4月2日、キックオフミーティングを開催。ジェイリースFCの活動がスタートしました。その頃、社内でもSDGsの話が出るようになり、SDGsの資料を読み漁ったり、他の企業・団体の具体的な活動内容を調べたりするうちに、ジェイリースFCにSDGsを取り入れられるのでは、ジェイリースFCの活動を通じてSDGsの推進ができるのでは…という気持ちがふつふつと湧いてきました。ここで、ようやくSDGsが自分ごと化できたのだと思います。

話は戻りますが、ジェイリースFCを立ち上げる際、私には、他のチームとは違う「特異性(独自の世界観)」をジェイリースFCに見いだしたいという想いがありました。大分県には、ご存知のとおり、Jリーグ、JFL、地域リーグに所属しているチームがすでにあります。このような状況の中、新たなクラブを立ち上げるには、何か違った存在意義が必要だと思ったからです。この想いが強かったこともあり、スポーツを通じたまちづくりを行うために創設したジェイリースFC×SDGs、これは面白いかも!と思ってしまった訳です。

そもそも、私は、以前から、スポーツを通じた地域の課題解決に取り組みたいと思っていたこともあり、ジェイリースFCのクラブビジョンには、このような一文を入れました。
“地域に密着したスポーツを「する」「みる」「ささえる」活動を通して、地域の課題解決に取り組み、前向きで活力に満ちた、絆の強い社会を創る”
ちなみに、ジェイリースFCのクラブ理念は、「スポーツを通じて ジェイリースフットボールクラブを取り巻く すべての人を このまちを もっと元気に もっとハッピーに」です。

ジェイリースFCとSDGs、親和性があると思いませんか。

ジェイリースFC×SDGsは、ここからスタートしました。
活動を始めて、約2年が経過します。活動だけを見ると、そんなこと、他のクラブもやっているよ…という活動事例の方が多いかもしれません。
活動自体に主眼を置くのではなく、ジェイリースFCを「ソーシャルクラブ」(※ソーシャルビジネスをもじって)にしたいという私の想いを中心にしばらく記事を書かせていただこうと思います。お付き合いのほど、よろしくお願いします。

*クラブ理念等はこちらからご覧ください。


ソーシャルクラブを目指して②

私の尊敬する人は、中村裕(ゆたか)先生です!

大分県では、毎年、大分国際車いすマラソン大会(2020年度は第40回大会)が開催されていることもあり、大分で生まれ育つと、小さい頃から障がいを持った方がスポーツに取り組む姿に触れることができます。別大国道で練習する選手の姿を見ても、あまり気に留めず通過する人がほとんどだと思います。

この日常が当たり前ではないことに気づいたのは、東京での仕事がきっかけでした。
当時、私はスポーツ振興に携わる仕事をしており、同じ課内に障がい者スポーツの担当部署がありました。隣から「大分」というワードがよく聞こえてくるし、場合によっては、大分のことについて直接、私に質問がとんでくることも…。いまとなっては、何を聞かれたか覚えていませんが、私の回答に対して、「大分の人ってそれが当たり前なんだよね」と言われたときに、心の中で、「それって当たり前じゃないの?」と 笑

小さい頃、習った中村裕先生(日本パラリンピックの父)や社会福祉法人太陽の家(別府市亀川)のことを改めて調べてみると、中村先生の並々ならぬ情熱に心が揺さぶられました。余談ですが、「太陽の仲間たちよ~身体障害者とある医師の挑戦~」(漫画)、ぜひ、読んでください。

故 中村博士について


社会福祉法人太陽の家

障がい者スポーツ先進県で生まれ育ち、中村先生の想いに触れた私は、大分に戻ってから、障がい者スポーツに関わりたいと思うようになりました。しかしながら、クラブを創設しても、なかなか入り口が見つからずの日々。そんな時、前職で知り合った加藤誠さん(アンプティサッカー日本代表選手:FC九州バイラオール所属)から、以下のような連絡がありました。

特定非営利活動法人日本アンプティサッカー協会


FC九州バイラオール

「(前略)突然、申し訳ないのですが もし可能であればジェイリースFCさんの練習している隅の方でいいのでボールを蹴らせてもらうことはできないでしょうか?」

その後、関係者に相談をし、2018年7月末から練習場所の共有がスタート。

アンプティサッカーを、自分の目で見たことがなかった選手も多く、加藤さんや萱島比呂さん(アンプティサッカー日本代表選手:FC九州バイラオール所属)が隣で練習している姿を目の当たりにすると、選手から感嘆の声が。やっぱり何事も「百聞は一見に如かず」。

障がいの有無に関わらず、同じグラウンドでサッカーを楽しんでいるみんなの姿は、私が見たかった景色の一つ。
“こんな景色が日本各地に広がればいいな”と思いながら、練習風景を眺めています。
(最近は、残念ながら一緒に練習ができていません…)


ソーシャルクラブを目指して③

加藤誠さん(FC九州バイラオール)には、合同練習(練習場所の共有)を始める前から、アンプティサッカーの体験会を開催したいとの話をしていました。

まず、ジェイリースの社員を対象とした体験会から実施。
体験会の趣旨は以下のとおりです。
・スポーツを通じて社員間の交流を深めるとともに、社員の健康維持・増進を図る。
・スポーツを通じた心のバリアフリーや共生社会の実現を図る。

クラッチの本数に限りがあるため、2018年度、2019年度ともに15人前後での開催となりました。
2018年度は、初開催とのこともあり、全員がゼロからのスタート。最初は、クラッチを使うこと、片足しか使えないこと等に戸惑いながらも、だんだんそれなりに慣れてきて、それぞれが楽しそうにボールを蹴りはじめます。
ジェイリースFCの社員選手たちも、最初は「ムズイ」ということばしかでてこない状況 笑 
とはいえども、終了後、加藤さんからは「元Jリーガーレベル高すぎです」と。
毎回、なんだかんだ言いながらもみんなで楽しそうにプレイしている姿を見ると、「体験会を開催してよかった」、「アンプティサッカーを知ってもらえてよかった」など、ちょっとした達成感や満足感を味わうことができます。普段、クラッチを使うことがないので、次の日は、みんな筋肉痛です 笑

アンプティサッカーはパラリンピックの競技ではないこともあり、認知度が低く、活動をする上で、加藤さんもいろんな苦労が…。そんな話を聞いた私は、アンプティサッカーを一人でも多くの方に、知ってもらいたいと思うようになりました。ジェイリースFCのSNSでも、アンプティサッカー関係の記事をリツイートしているのは、そのような想いからです。
また、体験会では、毎回、「する」のみではなく、「みる」参加も募集するとともに(「みる」プラス差し入れを持ってきてくださる方もいて、本当に嬉しいです)、参加した方には、体験会に参加したこと等をSNSで発信してもらいたいと伝えています。

他の障がい者スポーツについては、既存団体の関係者に連携を図れないか等の相談をしていますが、実現には至っていません。
全ての活動において言えることですが、新しいことを始めるとなると、連携先の方にもそれ相応の負担をかけてしまいます。また、先方の条件や活動時間等の関係もあり、できないことがたくさんあります。いまはどちらかと言えばできないことの方が多いです。

現在、連携をさせていただいている保育園や小学校、総合型地域スポーツクラブ、老人ホーム等のほとんどは私の知人や知人に紹介をしていただいたところ。それ以外は、選手の知人や知人の紹介です。新たな活動を動かし始めるに当たっては、“同じ想いをもった人たちとつながること”これが必須条件だと思います。

20191017 社員対象体験会(ゲーム①)


ソーシャルクラブを目指して④

2018年、正確にはそれ以前から、子供たちを対象とした障がい者スポーツの体験会を開催したいとの想いがありました。加藤誠さん(FC九州バイラオール)とも相談をしながら、2019年度、ジェイリースカップ(U-9)とアンプティサッカー体験会を抱き合わせで実施。予選を2コートで実施し、残りの1コートで試合のないチームの選手がアンプティサッカーの体験会に参加という形です。

体験会当日、わざわざ福岡県から野間口圭介さん(FC九州バイラオール選手兼アンプティサッカー協会強化委員)がかけつけてくださり、加藤さんと野間口さんにアンプティサッカーの指導をしていただきました。また、社員対象のアンプティサッカー体験会同様、大分大学ASC(障害者スポーツクラブ)の皆さんが手伝ってくれました。皆さん、本当にありがとうございました。

1チーム当たりの時間が短かったこと、チームによっては参加人数が多く、クラッチが足りなかったこと等から、運営面では課題を残した体験会となりました。
しかしながら、どうしても両足を使ってしまう子供たちのプレイに他の子供たちのみならず観ていた保護者からも笑みがこぼれ、会場もにこやかな雰囲気に。また、加藤さんや野間口さんと交流を深めている子供たちの姿を見て、体験会を取り入れてよかったと心から思いました。
多くの保護者が見守る中、アンプティサッカー体験会を実施できたことは「アンプティサッカーを知る」ことにも少し貢献できたかなと思っています。

加藤さんから、「時間があれば、ジェイリースFCの選手と一緒にボールを蹴りたい」との話が事前にあったので、ジェイリースカップ終了後はFC九州バイラオール・大分大学ASC v.s ジェイリースFCでゲームをすることに…。
ジェイリースFCのメンバーは、2018年度の体験会に参加した永芳、池田と、今回が初体験でいきなり試合という木島、古賀、瀬戸口の5名。

試合の様子を動画におさめていますので、ジェイリースFCの選手たちが悪戦苦闘している姿、ぜひ、ご覧ください 笑

ジェイリースFC Facebookページhttps://www.facebook.com/jleasefc/videos/531939630956094/
https://www.facebook.com/watch/?v=1689766744489719

試合の様子をみながら、スポーツを通じて人々が繋がるって本当にステキなことだと改めて感じるとともに(一緒にプレイするだけで、自然と互いへの理解・共感・リスペクト等が生まれる)、このように、みんなで“障がい者スポーツ”をはじめとした“誰もが参加できるスポーツ”に取り組む機会がもっと身近なものになればいいなと思いました。

終了後、野間口さんから「体験会を開催する際は、また来ます」とおっしゃっていただけたので、次回、大会を開催する際も、お願いしたいと思います!

20191014 アンプティ体験会③
20191014 アンプティ体験会①


ソーシャルクラブを目指して⑤

クラブ(ジェイリースFC)としてSDGsに取り組むため、まず、取り組んだこと。
・選手にSDGsの資料配布、各自SDGsの勉強
・自分ができることを考える(自分ごと化)
・自分が取り組むことを決め、関連するゴールのアイコンを持って写真撮影

ジェイリースFC
https://twitter.com/jleasefc
https://www.facebook.com/jleasefc/
https://www.instagram.com/j.leasefc/

2018年は、まだ大分でSDGsを聞くことはまれだったため、
①SDGsを知ってもらう。
②SDGsとは何かを知ってもらう
③SDGsを推進するためにできることは、誰にでもあり、身近なものであることを知ってもらう
ことが大事だと思い、選手が取り組む内容及び写真をSNSに掲載しました。

また、当時は、17のゴール一つ一つに対して、私たちができることも考えました。
例えば、「3 すべての人に健康と福祉を」は、介護老人保健福祉施設等でのレクリエーション活動や子供たちを対象としたサッカー教室といったように…。

17のゴールを見ていると、個人レベルでできることはあっても、クラブとして取り組むにはちょっと…と思うゴールがいっぱいで、思考停止状態になるというか… 笑

そんな時、メルマガで、SNSを活用したチャリティキャンペーンを知りました。
これを活用すれば、私たちだけではできないゴールに貢献できると思い参加。
今まで参加したキャンペーンの中から二つご紹介します。

①ストップ!児童労働キャンペーン2019

レッドカードを掲げ、児童労働にNO!の想いを #STOPCL のハッシュタグをつけてSNSにアップすると、投稿1枚あたり200円が児童労働をなくすための寄付となり、現地の子供たちの支援になるものです。クラブでの投稿写真は107枚。約2万円の寄付に繋がりました。

今年度もキャンペーンは始まっていますが、啓蒙活動のみのメニューとなっています。
ストップ!児童労働キャンペーン2020

②TABLE FOR TWO おにぎりアクション

おにぎりの写真に #OnigiriAction  のハッシュタグをつけてSNSに投稿すると、1投稿につき、TABLE FOR TWOを通じて、アフリカ・アジアの子供たちに給食5食が届くものです。

2019年度は #エアおにぎり  バージョンもあったので、2018年度以上に手軽に参加できました。
FiNCエアおにぎり
https://events.finc.com/onigiriaction2019


「17 パートナーシップで目標を達成しよう」のとおり、各種団体等と連携することによって、自分たちだけでは、ハードルが高いと感じていたゴールに貢献できるとともに、活動の幅も広げることができます。

一人のチカラや一クラブのチカラで何かを成し遂げるのはとっても難しいことですが、それができないからといって何もしないのではなく、私は、日々、ほんの小さなことでも、できること探しをしています。小さなことでも、何かアクションを起こせば、前に進むはずだから…。
持続可能な取組をコツコツ積み重ねていくのが、いまの私たちにとってベストかなと思っています。
継続は力なり!


レッドカードアクション
おにぎりアクション(シルバーホームくじら)


つづきは↓↓