医者は我々を騙したのか、ワクチンによって取り戻されるはずの日常はどこだ

白饅頭氏の医療に対する発言のノート二本書いてみたのですが、その反響の中で現状に対する怒りを述べていた方がいました。
いろいろな意見がありましたが、総合するとなぜ今現状を取り戻せていないのか?という感じですね。
今日のノートはそれについて書いてみたいと思います。

ワクチン二回で日常がかえるはずじゃなかったの?

はい、ワクチン二回で日常がかえってきました。

上のグラフは厚生省の症例数データとデジタル庁のワクチン接種数をあわせたものです。
水色の線がコロナ患者数ですが、2021年10月でコロナ騒ぎもおちつき、患者もほとんど発生しなくなりました。

現状は日常が帰ってきてない

そうですね。

先に上げたグラフの続きです。オミクロン株が猖獗することでうってかわって感染が蔓延することになりました。医者の言う通り日常は帰ってきましたが、オミクロン株のせいで長続きしなかったというのが正解です

なんで医者はこうなると見抜けなかったんだ。

コロナの変異は誰にも見抜けません。それに加えてオミクロン株が特殊だったからです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000906081.pdf
第74回新型コロナアドバイザリーボードより

オミクロン株は流行を起こしたデルタ株からの変化ではなく、全く別のルートからの変化でした。
中国科学院大学の研究チームによれば、2020年頃に新型コロナがどこかでげっ歯類への感染能力を獲得し、げっ歯類に感染しながら変異、昨年末に人類に感染して感染爆発というながれのようです。

ワクチンを打ったのになんで感染が蔓延してるのか

それはコロナの感染力の変化によるものです。
従来、政府や医者はワクチンをつかった集団免疫を考えていました。

基本再生産数 2.5 の場合、人口の 60%まで感染すると収束するのはなぜ?
集団免疫理論では免疫獲得者が⼀定割合を超えると、再⽣産数は 1.0 未満となり流⾏は収束する。集団免疫率は次の式から求めることができる。
集団免疫率(%)= (1-1/R0)×100 R0:基本再⽣産数
(1−1/2.5)× 100=(1―0.4)× 100=60% と計算できる。

https://www.jsdn.gr.jp/CMS/wp-content/uploads/0b7c06cd440f15eb89515401de39d9c1.pdf

新型コロナの従来株の場合は基本再生産数が2.5なので、引用の通り人口の60%が免疫をもてば感染は収束へ向かいます。実際そうなりましたよね。
しかしオミクロン株の基本再生産数は従来株よりはるかに大きいです。
オミクロン株の公式の基本再生産数を探したのですが、WHOでは公表されていない。厚生省でも公表されていないようです。
オーストラリアのある大学の感染症疫学の専門家は基本再生産数が20といってます。計算すると集団免疫達成は95%となります。人口の95%が免疫をもたないとオミクロン株は収束しません。60%と95%の差が今の感染を産んでいます。(8/22加筆 ワクチンの効き目が低くなったのも原因です。げっ歯類のコロナなんて、人向けのワクチンがあうわけがありません)
しかもワクチンの有効性は100%でないので、ワクチンをつかった集団免疫は達成できなくなりました。
以下、ラ・トローブ大学ハッサンバリー氏の書いた記事より。

2020 年の初めに、私たちは SARS-CoV-2 の元の株に取り組んでいましたが、現在流行している亜種よりも感染力がはるかに低かったのです。

元の菌株の推定 R0 (基本再生産数) は 2 ~ 3でした。つまり、ウイルスに感染した人は、平均して 2 人から 3 人に感染を広げます。

有効性が 80% のワクチンを使用していると仮定すると、集団免疫のしきい値は 60 ~ 80% と推定されます。つまり、ウイルスの元の株が流行していたとき、流行の減少を見るには、全人口の 60 ~ 80% にワクチンを接種する必要があったでしょう。

少なくとも数学的には、これは手の届かないものではありませんでした。

しかし、私たちが知っているように、パンデミックの過程で状況は劇的に変化し、元の SARS-CoV-2 ウイルスははるかに感染性の高い亜種に取って代わられました。

亜種の感染性の推定値には多少の不確実性がありますが、Delta の再生産数は約 5 であり、Omicron の再生産数は約 20 であり、 知られている感染症の中で最も多いと考えるのが妥当です。

デルタとオミクロンのこれらの数値に基づくと、集団免疫のしきい値の推定値は 100 ~ 118% になります。

人口の 100% 以上にワクチンを接種することはできないため、パンデミックが進行するにつれて、集団免疫を達成するためにワクチン接種に頼ることが数学的に不可能になってきていることがわかります。

https://www1.racgp.org.au/newsgp/clinical/is-herd-immunity-from-covid-still-realistic

なんで政府は緊急対策宣言をださないのか

無意味だからです。現在の感染は家庭内が主なので、行動制限などをしても感染の拡大は防げません。東京都では69.9%が同居から感染というデータがでています。
初期の感染力の弱い株ですら、武漢でロックダウンという厳しい行動制限を行っても、患者が家庭内隔離だったためなかなか感染が収まりませんでした。大規模な仮設病院を建設して、家庭内から患者を連れ出すことでようやく抑えることができました。Vol.189 家庭内療養は、最良の対策ではない | MRIC by 医療ガバナンス学会 (medg.jp)

ワクチンは無意味になったということか

いいえ、決して。
社会への効き目はオミクロン株の免疫回避と感染力のせいで弱くなりました。
しかし、個人への効き目は感染予防こそ従来株に比べると弱いですが、症状の悪化を抑える効き目はあります。ワクチンを打てる機会があれば打ったほうがいいでしょう。オミクロン株に感染するよりはいい結果が得られるでしょう。
オミクロン株にも追加(3回目)接種の効果はありますか。
 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0111.html

今後の展望

前に書いたノートと矛盾する内容になります。西浦先生が怒りを表明されていましたが、尾身先生他がここで着地を決められたようです。

第七波への対応のステップ2をみると医療、行政、社会とも公から個人へ対処がシフトしておりほぼ日常といえます。西浦先生はまだ戦えると思ってらっしゃるようですが、我々ネトウヨの言葉でいえば「ここで2000万特攻」にどうしても被って見える。
オミクロン株の強力な感染力の前には抑え込むのは無理があるのでしょう。

インフルエンザでは年間2万人ほどが超過死亡しているので、それを超えるほどの人数がなくなるでしょうが、我々はできることを粛々とやるだけです。

インドの超過死亡(340万~490万)をみると当初西浦先生が予測された42万人死亡というのは現実味がある数字だと思います。

40万人くらいを救ったこの2年ほどは無駄ではなかったのではないでしょうか?医療関係者他は本当によく戦われた。我々もよくやったと思います。

白饅頭氏の危惧したような医療ファシズムめいたことも提言上はありません。
今後の変異しだいでは何があるかわかりませんが一旦ここで終わりなんだと思います。

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