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美術館で売店が最後にある理由を考えてたらハッとした。

昨日2回目のバンクシー展に行ってきた。1回目と違い頭を使ってメッセージを自分で考えながら作品を見ていったので最後にはへとへとになった。しかも作品量が結構多いような気がする。

そんな作品を見終わって登場するお決まりの売店。グッズや本などが並ぶそのお店に僕はいつものように吸い込まれていった。

美術館を出た後、売店がなぜ1番最後にあって、中に入れないと買えないのかを考えていたら、「人はなぜグッズを買うのか」ということが自分なりに答えが出てきたのでそれを頭の整理に書いてみたいと思う。

ずっと謎だった、最後にある売店。

何かを観に行くのはそれほどファンでなくても、そのメッセージを理解していなくても「出掛ける」というエンタメとして何にでも当てはまる。バンクシー展も例外ではない。メッセージが知らなくても、アーティスト性を知らなくても、有名だから、作品がかっこいいから、そんなところで観に行く。

そんな中でグッズの売店が最後にあるのがいつも気になっていた。なぜ、一番最初にだったり、中に入らなくても買えるようにしないのだろう、これがとても不思議だった。ライブなどでは最初からグッズを買えるところもあるのに。

「それがレア感を生むからみんな欲しがるんだ」は最初にその理由を説明するのには最もよく使われる言葉の一つだろう。それになぜか納得できなかった。今の世の中目に見えないものがとても大事だ、それをいかに答えれるか。その答えがあそこにある気がしていた。

活動をしてみて思う、何に興味を持つか

最近は特に活発に自分のジャズの活動をオンラインを中心に行なっている。ただジャズが好きなだけな僕が朝6:30〜生配信してジャズの歴史なんかを話しながらピアノを弾く。

キャッチコピーは「毎日ジャズピアニスト」。配信を見ている人につけてもらったこの言葉は、毎日ジャズ活動をする自分を説明するのにぴったりだと思った。

今朝の配信↓

そんな中で「誰かに興味持つとはどいうことだろう」というのをよく考えるようになった。例えば「なぜ自分はあのアーティストを好きなのだろう」とか、どの部分に惹かれて好きになったのか、あるいは興味を持ったのか。それどころかアーティスト性ではなく、その人自身の考えやあり方に興味を持ったのか。

その人を好きな理由を認識してみる

僕にとってハンターハンターのジンは大変興味のあるキャラクターだ。自分がやりたいことのためには子育てすら放棄する良い意味でも悪い意味でも周りを気にしないスタイル、その反面、世界的価値のある遺産を残すべく私財をなげうって保存をする、その対個人と対世界に対する優しさのバランス感覚。

ジンは空想のキャラクターだが、現実にいた人物としてはピアニストの「アート・テイタムのピアノ」は大好きだ。超絶技巧のジャズピアノ奏者でストライド・ピアノというジャズピアノのスタイルを弾きこなす歴史上最高のピアニストの1人だ。

こう考えると惹かれ方は色々あることはわかる。おそらくは僕はジンのTシャツは買ってもアート・テイタムのマグカップは買わないのではないかと思う。そう考えていたら当然ハッとした。美術館の売店の謎もそこにあるのでは…。

なぜアーティストの作品ではなくTシャツを買うのか。

アートテイタムのピアノが好きでアートテイタムの楽譜を欲しいとは思う。彼のレコードも欲しい。なんなら音源が聞けるならSpotifyでも良いかもしれない。

僕はアートテイタムは作り出された音楽自体に惹かれている。だから音楽の聴けるレコードは買ってはピアノの音も聴こえないTシャツは買わない。ジンはその思想に興味を持っている。対個人に対する謎な冷たさの反面、対世界には無類なく優しいという不思議なアンバランス感覚。そこに僕の知らないしかしなぜか興味深い思想を探ってしまう。

だから僕はジンのTシャツは買うだろうと思う。そしてそのTシャツを着た時に、何に興味を持ったかわからない他人にはただのジンというキャラクターに見えて、きっとこう思う「ハンターハンターが好きなんだろうな」。

そして僕は「誰もまだ知らないかもしれない不思議な思想を着ている」と思っている。その人に何に興味を持たせるかで、とてもつもなく大きな違いがでる。

だんだん見えてきた。売店の答えが…。

売店が最後にある理由。

最初に書いたように美術館には様々な理由で人が来る。休日のお出かけ、ファンじゃない人、アーティスト性を知らない人、なんとなく知的なものに触れたい人、アートが好きな人、そのアーティストの展覧会に行きたいファン。

最初にグッズを置いたとしてもこのひとたち全てに買ってもらうことはできない。先に書いたように、興味を持っている理由で何を買うかは分かれる。アーティスト作品をふんだんに見せて、その人の人生を振り返り、解説して、その人の思想にアプローチすれば、作品の先に思想を見る。最後の売店ではグッズの先に思想を感じ、ほぼ全ての興味の持ち方の人に買ってもらうことができる。

もちろん買う人は実際はすべてではないかも知れない。しかし全員にリーチすることで最後の売店を出る頃には思想に触れていることになる。それにより全員がTシャツのロゴに、「BANKSY」という文字列に作品のメッセージや思想に見えてしまう。

それによりその文字列をかっこよく感じ、何かに共感して、購入することができる。「ロゴがついてるからみんな買うんだ」じゃない。「ロゴの先に思想が見えるように活動しているアーティスト」だから買うんだ。

思想は一番強いアプローチ

音楽が素晴らしい、作品の技術が素晴らしいはわかりやすいその人の価値の持ち方だと思う。しかし人はその行動の根っこには必ず思考が流れているもの。意識するしないかかわらず自分の行動を知らずに決定づけているような観念の塊だ。

国により人によりもちろん違う。墓石を蹴飛ばせと言って蹴飛ばせる人はいないだろうが、日本の墓石を知らない人なら蹴飛ばせるかもしれない。

この思想は個々人の根っこにあり、他人の思想に強烈に惹かれてしまうとその人が何をやっても興味を持ってしまう。先のTシャツがわかりやすい例で、その行動が全てがその思想に見えるからだ。そのロゴに思想やアーティスト性をみる。だから文字列のTシャツを買う。

このコンテンツ・アーティストにある思想をどうやって相手にアプローチするか、そして思想があるかどうかは大事で、その証明として宗教が分かり易いと思う。

テクノロジーがこんなに発展した今でも各宗教を支持する人は多い。世の中には必要のないものは発展しない。必要に応じて歴史に現れる。宗教は歴史を振り返れば死や苦しみを乗り越えるために人間が作った思想といえる。

逆に言えば死や苦しみを乗り越える方法が他にある場合や苦しみがそこまで人生において無い場合は、それは必要ないことになる。しかしその人の行動規範でもある個人の思想にアプローチしてるので何千年も多くの人をファンにしている。

必要なのは思想があるかどうか

今までは「ロゴがついてるから」という理由だった。そしてブランディングだった。これからはコンテンツに思想を持たせ、相手にそれを思想をどうやって伝えるか、というのは大事になる。

なによりそのコンテンツに思想があるのか?はとても大事だ。

作品にメッセージを忍ばせるアートはその辺の作り方はとてもやりやすいと思う。しかしこんまりメソッドのように片付けにも思想を入れてくる例が現れている。あれを猛烈に研究して再現性を高めてくる人はきっといる。

しかしより大事なのは「自分の活動には思想があらかどうか」ということ。何を考えて活動しているのか。理想でも何でも良い。それを真っ先に考えてそれを体現する活動が大切だ。

僕は「好きなことを集中して楽しむのは自分の幸福度を高めるから絶対良い」という思想を一番下のレイヤー層に敷いて活動している。絶対人に広めても間違いなく良いものだと思っている。

活動する以上、人に認知してもらうわけだから「絶対に誰に広めても良いもの」にしている。それは理想でも良いが実現可能だとなお良い。

ジャズに夢中になっているのを見てると「好きなのをやるのって良いな」という人を活動を通して1人でも多く感じてもらう事な僕の活動の目的の一つだ。

もっとも僕はただジャズが好きなだけな毎日ジャズピアニスト。思想がなくても勝手に楽しく毎日弾いてると思う。

「ただジャズが好きなだけ」な毎日ジャズピアニストの金子将昭。毎朝6:30〜コーヒーとジャズと演奏生配信。演奏動画にテキスト解説。みてるだけで音楽教養かも。かねこのジャズチャンネル。チャンネル登録よろしくね(✿︎´ ꒳ ` )↓

日々のつぶやきは、

毎日ジャズピアニストかねこ









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