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ユダヤ人大富豪から学んだ本当に大切なこと

2013年から2014年にかけてユダヤ人の国イスラエルに住み、現地のテック企業で働いたことがきっかけで、多くのユダヤ人とビジネス・プライベートで付き合いを持つようになりました。お世話になった人の中には元イスラエル軍特殊部隊隊長という強者から自分の会社を10億ドル(約1000億円)で売った起業家もいて、刺激的な人と多く会うことが出来たました。

日本でも「ユダヤ人大富豪の教え(本田健)」という本が大ヒットし、ユダヤ人=お金持ちといったイメージを持っている人も多いと思います。もちろん、お金持ちのユダヤ人も沢山いますが、彼らとの出会いで学んだ本当に大切なことを共有したいと思います。

テロリストの捕獲ミッションの例えから学んだこと

イスラエルは1948年の建国当時から周囲をアラブ諸国に囲まれていた上、砂漠のど真ん中で資源も何もないという状況でした。今でもイスラエルとアラブ諸国は緊張関係になり紛争も頻発しています。

そんな状況なので、不平不満を言っていたら明日はありません。国自体が不可能という前提の上に成り立っているため可能性から考えなければ生き残れません。たとえどんな状況にあっても可能性から考える。そうすることで初めて可能性を認識出来ます。

自分が住んでいた時も色んな人に自分のアイディアを話しましたが、一度として「そんなの無理だ」と言われたことがありません。どんなに突拍子もなく非現実的なアイディアでも、まず可能性から考え、どうすれば1%でも確率が上がるかを考えるという姿勢を学びました。

事実、イスラエルはアグリテックや海水の淡水化技術など様々な分野で世界ナンバー1です。砂漠の真ん中で生き残るために砂漠で農業をする技術や海水を飲み水にする技術を生み出したわけです。可能性から始めるからこそ、不可能を可能に出来るわけです。

当時働いていた会社の創業者が元イスラエル軍特殊部隊隊でした。ある日彼と道を歩きながら起業について話していた時です。彼が僕にこう聞きました。

「もし君のミッションがあのビルに潜むテロリストの捕獲・誘拐だったとしよう。しかし、ビルに突入するとテロリストは隣のビルにいることが判明する。君ならどうする?」

いやいや、人を誘拐したことないし。。ガクブルでうまく答えることが出来ませんでした。しかし、彼が本当に言いたかったことは誘拐云々でなく、「大抵のことは自分が思った通りにはいかない。そんな時こそ、可能性に意識を向ける必要がある」ということだったのです。

日本人はどこから来たの?と聞かれて気づいたこと

ユダヤ人には頭が切れる人がとても多く、ノーベル賞受賞者の多くがユダヤ人です。しかし、それは単に生まれつき頭が良いからではなく、生まれてからの考え方が他の人たちと違うからです。彼らは全ての疑問を突き詰めて考える何でマン集団です。

普通の学校教育では先生に教えられたことを暗記するといった方法で知識を増やします。しかし、ユダヤ人の教育では教えられることに対して、なぜそう教えられるのかを考える訓練を行います。言われたことをただ闇雲に受け入れるのでは思考停止状態。全てに対して疑いの目を持ちなぜかを考えることで、本質的な深い思考が出来るようになるわけです。

ある日、初めて会ったいイスラエル人の女の子に自己紹介もさながら

「日本人ってどこから来たの?」

と聞かれたのです。

自分も相当な何でマンで学校の先生を困らせましたが、日本人がどこから来たかなんて考えたこともありませんでした。日本人はずっと日本にいると思い込んでいたことに改めて気づかされたのです。慣れ親しんだことに対して私たちは疑問を持たなくなります。例えば日本は単一民族だなんて言いますが、アイヌ民族だって中華系や韓国系の人々だっていますよね。

疑問を持ち続けること、なぜかを突き詰めることこそが知性にとって根本的に必要なこと。それを徹底しているからこそ多くのユダヤ人がノーベル賞を獲得出来たのだと理解したのでした。

考えながら実行する

スタートアップ大国と言われるイスラエルには本当に多くの起業家がいます。小さなイベントもすぐに50人-100人の起業家が集まる世界です。

そんな国で色んな起業家と働いたことで日本とは圧倒的に違う点に気がつきました。それは考えながら実行し、実行しながら考えるという点です。日本では一つの意思決定をするのに下手をすれば数ヶ月から数年かかったりします。決定してからのスピードは早いですが、決定を下すまでに既に時代遅れなんてこともままあります。

イスラエルで学んだことの一つは、実行と思考を分けない!ということです。両方同時にやる。アイディアがあるなら実際にやってみながら、どうすればもっと良くなるかを考える。何でこれが大切かというと、前例がないことは誰も正解を教えてくれないからです。

ユダヤ人のビジネスパートナーがいつも口癖のように「走りながら考えろ!」と周りに言いますが、比喩ではなく文字通り、全力で走りながら哲学者のように深く考えろということを言っているわけです。

列に割り込みされて学んだ交渉の大切さ

イスラエルに初めて着いた初日。バスターミナルのチケット売り場に並んでいると、一人の男性が「ちょっと急いで聞きたいことあるから前に入っていい?」と話しかけてきました。まぁ自分のバスがどこなのか聞くだけだろうと思っていると、普通にチケットを買い始めたのです。

「は?」と怒りがこみ上げ、思わずブラジリアンキックを見舞いそうでしたが、一つ大きな学びになりました。ダメ元でも交渉してみることの重要さです。交渉してみると意外に受け入れられることは沢山あります。

現地企業で働いている時は、よくCEOに直接交渉しに行きました。「こんなアイディアがあるんだけどどう?会社にとってこんなメリットがあるし、うまくいくと思うんだ。その代わりにこの条件を飲んで欲しい。」と毎週のように交渉していました。

友人の誕生日会に行った時には、ピザを何枚食べたかまで確認して一人一人支払いしていました。もう俺が全部払うよって気分でしたが、ユダヤ人はケチなわけではありません。例えば、イスラエルに初めて滞在した際は色んな人が家に泊まってきなよと誘ってくれました。そして、泊まると必ず冷蔵庫の中は勝手に食べていいからね!と言われるのですが、本当に食べて良いのです。もてなしで言ったら日本より断然もてなされます。

ユダヤ人はケチなのではなく、物事にシビアなのです。特にビジネスでの交渉や契約には超シビアです。どんなに小さな条件でも徹底的に交渉してきます。ほんの少しでも不明確なら聞いてきますし、自分たちが必要だと思うことであればどんなに小さな条件でも譲りません。アスリートの自己管理くらい徹底しています。しかし、それだけ交渉にシビアだからこそビジネスの世界でユダヤ人が強いのだと身を以て感じたのでした。


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