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2050年の海は魚よりもプラスチックが多くなる?私たちが海のためにできること

夏も終盤になりましたが、まだまだ暑さが厳しく、急な天候の変化を以前よりも強く感じています。

趣味のサーフィンをしていると気温の上昇をダイレクトに感じます。昔に比べると冬でも海水温が高く、ウェットスーツのブーツが必要ないことも増えました。海という自然に身を預けていると、しばしばそうした地球の変化に気づきます。葉山の海で潜ると、最近では見たことのない熱帯魚を見かけることもあり、確実に海の景色が変わりつつあると感じています。

サーフィンをしたり、子どもと海で泳いでいると気になることの1つが海に浮かぶゴミの存在です。私が頻繁に海に入るからこそ、より目につくのかもしれません。海の近くに引っ越してきてからはより頻繁に海に行くようになったこともあり、尚更ゴミの存在が気になり始めました。愛犬とのビーチの散歩でもゴミを拾いながら歩いたり、毎週日曜日の朝には、地元のビーチクリーンに参加するなど、自分にできることを継続して行おうと心がけています。

そんな海での活動は様々な気づきがあり、私の視野を広げる一つの原動力となっています。今回はその活動について少しご紹介したいと思います。

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マイクロプラスチックとは?

今、海の汚染として徐々に話題になっているマイクロプラスチックの問題は年々深刻になってきています。

マイクロプラスチックとは、5㎜以下のプラスチックの破片のことです。
大きく2種類あり、一つ目は歯磨き粉や洗顔料などに使われるマイクロビーズや、マイクロファイバーと呼ばれる洗濯などで流出する化学繊維など、自然界に出る前から5㎜以下のもの。

二つ目は、元々大きなプラスチックが自然界に流出した後、紫外線や波などで劣化し、5㎜以下に小さくなったプラスチックです。この小さなプラスチックを食べた小さな魚を、さらに大きな魚が食べ、食物連鎖の最後に人間が食べること、さらに水や空気、はちみつ、ビール、人間の血液の中にまで、マイクロプラスチックが混入していたことが発見され健康被害が懸念されています。こうした懸念から、世界がプラスチックを規制する動きを見せているのは皆さんもご存知かもしれません。

ただ、マイクロプラスチック汚染は解明されていない部分が多いのが現状です。海の生物や人間にどのような影響を与えるのか、大規模な調査が必要です。しかし調査の範囲が広大であるがゆえに気軽にプロジェクトを始められないという問題もあります。

私はこのマイクロプラスチック問題を、地元の神奈川県沿岸の調査をするというクラウドファンディングに参加したことを通して深く知ることになりました。

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 Photo by タラ オセアン ジャパン

現場を見学させていただいたところ、先ほどご紹介した家庭から流れてくるプラスチックゴミ以外に、農業などの産業からもプラスチックが流れ込んでいることがわかりました。

水田で農薬を効率的に撒く手法として農薬をプラスチックカプセルに入れて田畑に流すというものがあり、その際に出たプラスチックゴミが海に流入しているそうです。農業はなくてはならないものですが、こうした産業の構造そのものを変えていかなければ問題は解決しないと強く感じた出来事でした。

こうした活動をFacebookで発信したところ、知人から「Tara Océan (タラオセアン)財団」という団体を紹介されました。

タラ オセアン ジャパン詳細はこちら

Tara Océan (タラオセアン)参加で広がる活動の幅


海でのビーチクリーンや、地元のクラウドファンディングを経験して私が最も痛感したことは、海洋汚染なので範囲が広く、原因も様々な要因が関係しており個人や草の根的に活動をするのには限りがあるなということでした。

Tara Océan 財団は世界中の研究者を巻き込んで海を航海し、状況を良くしようと試みている。また、活動の一つに子どもへの発信やアートを絡めた取り組みも行っていると聞き、とても魅力的に感じました。各国の大学の研究機関とも提携し、科学的に調査している点も素晴らしいと思います。

タラ オセアン ジャパンが、日本語吹替版を共同制作した映画「マイクロプラスチック・ストーリー ~ぼくらが作る2050年~」

そんな折、ご縁があって昨年7月よりタラ オセアン ジャパンの理事の一人として活動に参加させてもらうことになりました。私にお手伝いできることといえば、ビジネスやデジタルマーケティングの分野でのお手伝い。少しでもこのとても良い活動を広く知られるようにと日々、試行錯誤しています。

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私が主に携わっているのはFacebookやInstagramなどのSNSでの発信の強化や、昨年は、下田で行ったTara JAMBIO マイクロプラスチック共同調査にも参加し、河口から、湾内、外洋とサンプルの採集を行い、マイクロプラスチック汚染の現状を調査しました。直近では活動をより広く知っていただく目的も含めて日本における海洋調査の費用をクラウドファンディングを募りました。

結果は期間内に無事目標金額を達成し、7月に能登(石川県)と、佐渡島(新潟県)で共同調査を行なっています。佐渡島では、小中学生親子を招待し、マイクロプラスチックや、科学探査船タラ号について、海洋環境について、より知ってもらうイベントも開催する事が出来ました。

もちろん日本での調査費用の資金集めも目的ですが、このクラウドファンディングをしたことによって、多くの方から励ましの声をいただきました。「自分も何か海のためにしたかったけれど、何をすれば良いかわからなかった、良いきっかけをありがとう」という声もありました。

このような声を聞き、自然のために何かしたいと思っているけれど、ファーストアクションとしてどう一歩を踏み出せばいいかわからない人が多いのかもしれないという気づきも得ました。

コミュニティの重要さを再認識したTara Océan (タラオセアン)での活動

Tara Océan (タラオセアン)財団での活動を通じて強く感じたのは、同じ目的を持った仲間の存在を強く感じられるコミュニティの重要性でした。

もちろん個人的な活動にも大きな意義があり、一人ひとりの取り組みが地球の環境を良くしていくことに不可欠ですが、私が海での活動で感じていたように個人で出来ることには限りがあります。とくに自然という脅威に立ち向かっていくには人間とは小さな存在でしかなく、孤独な闘いになりがちです。

Tara Océan (タラオセアン)財団でのクラウドファンディングを通じて、資金面でも大きな進歩を得られましたが、一番感じたのが海の状況を改善しようと言ってくれる人が増えたということでした。それまでのコミュニティ規模から一回り大きくなったと感じたのです。

1人でも海を変えたいと思う人が増えることで、その波の広がりは何倍にも膨れ上がります。こうした取り組み一つで、同じ考えを持った人と繋がり、互いに協力できるというのは心強いことであると改めて実感しました。自分一人でできないこともコミュニティならば実現に一歩近づける。その証左でもあり、コミュニティの可能性を再認識するに至ったのです。

コミュニティに入ることが重要というわけではありませんが、もし1人で行動することに限界を感じているなら、同じ目的を持つコミュニティを自分で調べてみるのは良い一歩になるかもしれません。

ファーストアクションは何でもいいー一歩踏み出すことの重要性

ビーチクリーンから始まった私の海での活動は、思いもよらない世界での活動に繋がっています。海が好きで、海を綺麗にしたい、その一心から踏み出した一歩です。

この最初の一歩が大きく世界に影響することもあります。

地球のために何かできないか、環境をよくするために自分ができることはあるのか、大なり小なり誰もが心に抱いているのではないでしょうか。

私がビーチクリーンから始めたように、ファーストアクションは何でもいいと思います。重要なのはその一歩を踏み出すことです。何かのためにまず行動を起こしてみることが大事なのは、ビジネスでも同様ですね。

私も微力ながら、より多くの機会とコミュニティの場を皆さんに提供できるように力を尽くしていきたいと思います。また、Tara Océan (タラオセアン)財団での活動を通じて、より海の汚染や生態系の破壊に関心を持つ人が増え、少しでも海の役に立てればいいと考えています。