韓国インディーゲームの韓日翻訳(KtoJ)はどこの会社が担当しているのか?

まだ調査中ですが、少しつかめてきた情報を共有しておきます。これは社内翻訳者がいるような大手のゲーム会社の話ではなく、インディーゲームの韓日翻訳をやっている会社はどこなのかという、あまり知られていない情報です。

marimu(ローカライズ会社)

http://marimu.net/

ゲーム専門ローカライズスタジオを標榜している会社。所在地はソウル近郊の城南市。ポートフォリオが更新されており、私が実際にプレイした中ではIKINA GAMES『今、私たちの学校は...』、Jinthree Studio『ブロークン·ユニバース - Tower Defense』、Like It Games『ねこ島物語』、catnipstudio『閻魔 : ツバキ伝』(ストーリー翻訳)などがきれいに翻訳されている。やや古い情報だが、Aboutのページに代表作として書かれている『魔女の泉2』や、その続編の『魔女の泉3』もいい。

ここで翻訳者さんに耳寄りな情報! marimuのフリーランス翻訳者募集はFacebookの「Indie Game Localization」グループに投稿されたことが過去何度かあります。韓日翻訳(KtoJ)は2023年1月6日の投稿で募集していました。そのときも連絡先はホームページの末尾にあるメールアドレスでした。今でもトライアルを受けさせてもらえるか問い合わせしてみるといいでしょう

Mayflower Entertainment(ローカライズ会社)

http://www.mayflowerent.com/ja/home

日韓翻訳(JtoK)や英韓翻訳(EtoK)の実績が中心の会社。所在地はソウル。韓日翻訳(KtoJ)は公開されている実績が多くないが、2Dynamic Games『Lumencraft』とALTARI GAMES『ロスト・ルーインズ』を手がけている。後者はクレジット記載あり。とあるフリーランス韓日翻訳者さんが言及許可を得てSNSで言及していた。Mayflower ENtertainmentは日本にあるパブリッシャーDangen Entertainmentのゲームの翻訳やQAに携わった例が多い。

アクティブゲーミングメディア(ローカライズ会社)

https://www.activegamingmedia.com/

インディーゲームのパブリッシャー「PLAYISM」やゲームメディア「AUTOMATON」でもお馴染みの会社。本社の所在地は大阪市。CLOVER GAMES『ロードオブヒーローズ』の翻訳実績がある。同じCLOVER GAMESの『#Me: 3D Avatar, Meet & Play』の韓英翻訳(KtoE)も手がけた。

Bada Games(ローカライズ会社)3/29追記

https://badagames.net/

パブリッシャーNicalis/Pikiiが手がけた韓国インディーゲーム『Critadel』の日本語翻訳はBada Gamesが担当した。
インディーゲームの英韓翻訳(EtoK)の実績が非常に多い。架け橋ゲームズのWork Historyに何十タイトルも「Korean Localization by Bada Games」と書いてあるのが気になって公式サイトを見ると、架け橋ゲームズと同じようなスタンスでやっている現地展開サポート会社らしい。Bada Gamesがパブリッシャーとなるわけではなく、担当するゲームのパブリッシャーや開発会社をサポートする。ローカライズ、レーティング審査の申請サポート、プロモーションなど。Bada Gamesの「History」にも翻訳者の名前が多数クレジット記載されている。

Pulse Translation(ローカライズ会社)4/19追記

https://www.pulsetranslation.com/

Twitterアカウントのプロフィールによると所在地は韓国の済州島。開発スタジオTalesShopのビジュアルノベルの韓英翻訳(KtoE)を何作も担当した実績がある。韓日翻訳(KtoJ)もやっている。公式サイトの翻訳チームメンバー紹介に、2007年から韓国で日本語を教えている方が掲載されている。
Steamでデモ版が公開されている『the machine that BREATHE』(原文は英語?)の日本語翻訳はPulse Translationが担当した。

Latis Global(ローカライズ会社)6/26追記

https://latisglobal.com/ja/

所在地はソウル。Cogoo Inc.の『Rocco's Island: Ring to End the Pain』やCandLEの『Pygmalion』の多言語翻訳を担当した。おそらくこの2つの日本語翻訳もLatis Globalが担当したはず。翻訳品質は安定している。
Latisは大手ゲーム会社からの案件をよく受けている会社で、ホームページにあるポートフォリオは大手のタイトルが多い。

Galactic Entertainment(ローカライズ会社)6/26追記

https://galactic-localization.com/

のらねこものがたり2』と『Lita's Dream』の翻訳は、Galactic Entertainmentから、フリーランス韓日翻訳者のふじこさんに依頼された(開発者さんのご好意によりクレジット記載され、言及許可も出た)。
念のために書いておくと、Galactic Entertainmentに依頼したからといって、必ずふじこさんまたは同等の翻訳ができる方に担当してもらえるわけではない。私はこの会社の翻訳ポートフォリオに載っているゲームの日本語翻訳を10タイトルほど見たことがあり、今までの翻訳品質をよく知っている。

ふじこさんのプロフィールはこちら。80作品以上のゲームを担当


以上! インディーゲームの翻訳実績として具体的なゲームタイトルがホームページに掲載されていることは少ないようです。目撃情報求む!
判明したらここに追記していきます。

次に、パブリッシャーごとに代表的なタイトルだけ見てみると、

CREST 合併してHIKEに改称(パブリッシャー)

本社は東京都。『メタリックチャイルド』や『ARIA CHRONICLE』はCRESTの社内で翻訳したらしい。『ARIA CHRONICLE』のクレジットに出ている方のお名前を検索するとLinkedInにCRESTの社員として載っていた。

CFK(パブリッシャー)

所在地はソウル。私のポートフォリオに書いたように、『Sixtar Gate: STARTRAIL (シクスターゲート・スタートレール)』Nintendo Switch版の日本語翻訳は私を含む2人のフリーランス翻訳者に直接取引で依頼したもの。すでに発売されているゲームの移植とパブリッシングをCFKが担当することが今まで多かったので、CFKが関わる前からオリジナル版の日本語翻訳が存在していて、それを私が改善した例が5タイトル。

NEOWIZ(パブリッシャー)

所在地はソウル近郊の城南市。『Skul: The Hero Slayer』は韓国インディーゲームで初めて100万本を突破したゲーム。クレジットにLocalization Supportとして4名の名前が挙がっているが、どの方がどの言語を担当したのか不明。日本人名は見当たらず。

LINE Games(パブリッシャー)

ベリード・スターズ』のクレジットにはLocalizationの項目に7名のお名前があり、1人は日本人名。この方が日本語翻訳に関わっている可能性あり。その下にLINE Games Localization Teamと書いてあるので、その中にお名前が出ていない翻訳者さんが含まれている可能性も。

Nicalis/Pikii(パブリッシャー)3/29追記

Nicalisは米国のパブリッシャーで、日本での展開は新潟市にあるPikiiが担当している。先述のように、『Critadel』の英語・日本語翻訳はBada Gamesが担当した。

最後に、いくつかの開発会社に注目してみましょう。

TalesShop(開発会社)

ビジュアルノベルを多数リリースしている開発スタジオ。声優/翻訳/通訳でマルチに活躍なさっている日本人のフリーランス翻訳者さんと交流があり、続けて何作も日本語翻訳を依頼している。その翻訳者さんのインタビューによると、『僕の彼女は人魚姫!?My Girlfriend is a Mermaid!?』がゲーム翻訳のデビュー作。『狐が僕を待っているThe Fox Awaits Me』とその続編も翻訳を担当なさっている。

Devespresso Games(開発会社)

韓国ホラーを代表するゲーム『THE COMA』シリーズの開発スタジオ。日本地域のパブリッシャーを今までコーラスワールドワイドが担当してきて、日本語翻訳はコーラスワールドワイドと縁の深い英日ゲーム翻訳者さんが続けて担当なさっている。『ザ・コーマ2:ヴィシャスシスターズ』『スカーレット・フッドと邪悪の森』など。


日本語や英語から韓国語に翻訳された実績についてはこちら。


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