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【訪問看護の経営】起業に必要なToDoまとめ【必要な経験値】

最近は訪問看護の経営に関するブログを発信しており、前回は「起業に必要な資金」についてまとめました。


今回は「起業をする上でやるべきこと=ToDo」をまとめてお伝えしてまいります。

訪問看護事業の起業を考えたとき、様々なToDoが頭に浮かぶかと思います。

採用、教育、営業、マネジメントなど、これらの多岐にわたる業務をこなしていく必要があり、「あれもやらなきゃ…これもやらなきゃ…」「あ!これ忘れてた!」なんてことも経験するかもしれません。

多くのToDoがあるのは確かですが、それぞれの業務にどのように取り組むべきかを考えることが、事業の成功に直結します。

この記事では、訪問看護の起業で必要なToDoを8つに分類してお伝えするとともに、起業までに必要な経験値までをご紹介します。

私はえん訪問看護ステーショングループという訪問看護ステーションを経営していますが、経営者である私が実践したものをまとめているので、ある程度の説得力はあるかなと思っております。

これから訪問看護ステーションの経営を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください!


訪問看護の起業に必要なToDoまとめ

では早速、訪問看護の起業に必要なToDoをお伝えします。

詳しくみていけばもっと多く挙がるかもしれませんが、今回はざっくりと以下の8つに分けてお伝えしてまいります。

  1. 採用

  2. 教育

  3. 営業

  4. マネジメント

  5. 経営戦略

  6. レセプト(事務)

  7. 経理 ・財務

  8. 総務


1. 採用

採用は、訪問看護事業の成否を分ける非常に重要な要素です。

優れた人材を採用することで、事業の基盤を強固にし、提供するサービスの質を向上させることができます。

訪問看護では、看護師やリハビリスタッフのような専門職の採用が求められます。

採用活動には、職務内容の明確化、魅力的な求人広告の作成、面接や選考プロセスの改善など、多くの労力が必要になってきます。


【具体案】

  • 求人広告の媒体選定(Webサイト、求人誌、ハローワークなど)

  • 採用イベントへの参加

  • 社内紹介制度の活用など

面接では応募者の専門スキルだけでなく、訪問看護に対する熱意やコミュニケーション能力を確認することも大切です。


2. 教育

採用したスタッフに対しての教育も欠かせません。

訪問看護の現場では、個々の利用者に合わせた柔軟なケアが求められ、スタッフには専門的なスキルと共に、状況に応じた判断力が必要です。

そのため、訪問看護の特有の知識や技術、コミュニケーション能力の向上を図るための教育体制を整えることが重要です。

継続的な研修や実践的な指導を通じて、スタッフのスキルアップを図ることが、利用者の満足度向上につながります。


【具体案】

  • 研修プログラムの作成(基礎研修、実地研修、ケーススタディ研修など)

  • 定期的な振り返りミーティングやフォローアップ研修

  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)など


3. 営業

訪問看護事業は、地域の医療機関や介護施設との連携が重要です。

そのため、営業活動を通じて、地域社会の中での信頼を築き、利用者の紹介を受けるルートを確立する必要があります。

営業は単なる顧客開拓だけでなく、地域におけるネットワークの構築や信頼関係の維持が大切です。

地道な訪問やコミュニケーションを通じて、訪問看護の必要性や自社の強みを丁寧に伝えることが求められます。


【具体案】

  • 地域の病院やクリニック、居宅訪問介護事業所を訪問して直接営業

  • 地域の医療・介護連携会議への参加

  • 定期的な情報提供やチラシ配布など


4. マネジメント

マネジメントは、組織全体のパフォーマンスを向上させるための要です。

スタッフのスケジュール管理、仕事の割り振り、メンタルヘルスのケアなど、さまざまな側面での管理が必要です。

訪問看護は個別の利用者対応が多く、スタッフの業務量が不均衡になりがちです。

それを調整し、効率よく運営することが、マネジメントの大切な役割です。

また、スタッフが安心して働ける職場環境を作ることで、離職率の低下にも寄与します。


【具体案】

  • シフト管理システムの導入によるスケジュールの最適化

  • 個別の業務量の可視化と調整

  • スタッフとの定期的な1on1ミーティングなど


5. 経営戦略

経営戦略は、事業の方向性を決める非常に重要な部分です。

訪問看護の需要は増加していますが、それに応じて競合も増えています。

競争の中で生き残り、成長するためには、他社との差別化を図る戦略を練る必要があります。

ターゲットとする利用者層の選定、サービスの特色化、スタッフの専門性の向上など、長期的なビジョンを持って経営戦略を立てることが必要です。


【具体案】

  • ターゲットとする利用者層(高齢者、難病患者、精神疾患を持つ方など)の選定

  • サービスの特色化(例:リハビリに強い訪問看護、精神ケアに特化したサービスなど)

  • スタッフの専門性の向上を図るための資格取得支援など


6. レセプト(事務)

訪問看護事業においては、レセプト(診療報酬請求)の業務が重要な位置を占めます。

レセプト業務のミスは、収入の減少や支払いの遅延につながるため、正確かつ迅速に処理することが求められます。

専門知識が必要な分野であり、外注することで効率化を図るケースも多くあります。

適切な事務処理の体制を整えることが、経営の安定化につながります。


【具体案】

  • 専門のレセプト管理ソフトの導入

  • レセプト業務の外部委託を検討

  • スタッフへの定期的なレセプトに関する研修など


7. 経理・財務

経理・財務の管理は、会社の経営を安定させるために欠かせない業務です。

収支のバランスを適切に把握し、コスト削減や利益の最大化を図るための施策を講じることが必要です。

また、将来の投資計画や資金繰りなど、経営戦略においても財務の知識は重要な役割を果たします。

この部分は外部の専門家に任せることで、経営者がより本質的な業務に集中できるようになります。


【具体案】

  • 会計ソフトを活用した日次・月次の帳簿管理

  • キャッシュフロー計算書の作成

  • 定期的な財務分析の実施

外部の税理士や財務アドバイザーを活用して、財務の健全性を確保しつつ、適切な資金調達や投資判断を行うことも重要です。


8. 総務

総務は、会社全体の事務的なサポートを行う部門です。

スタッフの労務管理、備品の調達、施設の管理など、業務が多岐にわたります。

総務の業務は目立ちにくいですが、会社全体の円滑な運営に欠かせない部分であり、特に訪問看護事業では、スタッフが現場で円滑に働ける環境を整えるために重要です。


【具体案】

  • 労務管理ソフトを導入してスタッフの勤怠や労働時間を適切に管理する

  • 備品管理システムを活用して物品の発注・在庫を効率的に行う

  • 事務所の安全衛生を確保するためのチェックリストを運用する

また、スタッフが働きやすい環境を整えるために、定期的なヒアリングを実施し、職場環境の改善に努めることも重要になってきます。


ToDoは取捨選択することが重要!

訪問看護事業を立ち上げる際、上記に挙げたすべてのToDoを自分でこなすことを選ぶ経営者も多いですが、それは時に不効率になることがあります。

すべてを自分でやることで、時間という最も重要な資源を浪費してしまい、結果的に成果が出ないこともあります。

限られた時間の中で効率的に成果を出すためには、どの業務を自分で行い、どの業務を社員に任せ、または外部に委託するかを見極めることが重要です。

私の場合は、「経営戦略」「マネジメント」「採用」に特化して経営をしています。

その他の業務は進捗管理をしっかりと行いながらも、実際の作業は専門家や社員に任せています。

近々には経理・財務の業務も完全に移管する予定です。

自分が特に力を発揮できる分野に集中することで、組織全体の成果を最大化することができます。

自分でやるToDoと人に任せるToDoを、あらかじめ考えておくことも重要です。


訪問看護の起業までの必要な経験値

以上お伝えしたのは、訪問看護の起業を本格的に考えている人向けの内容です。

ただ、中には「いつか起業できたら良いな〜」という人もいるかと思います。

このような人のために、起業までに必要な経験値を最後にお伝えしておこうと思います。

私が思う、訪問看護の起業までにあった方がいいと思う経験値は以下の2つです。

  1. 訪問看護経験が1年以上ある

  2. 会社経営の経験がある


1. 訪問看護経験が1年以上ある

これから起業を考えている方は、訪問看護で1年以上は働くことをオススメします。

当たり前と思われるかもしれませんが、実際に現場を知っている・知っていないでは大きな差が生じます。

訪問看護の経験がない方が起業しようとする場合、仕事の流れや制度理解が追いつかず困難になることが多いです。

出来ればリーダーや管理者(職)経験があった方がなお良いでしょう。

期間に関してですが、起業はスピード感が大事なので最低ラインとして1年にしています(センスの良い人であれば数ヶ月で可能ですが、数ヶ月だけ勤務させてくれる事業所があるかどうかは難しいところです…)。

しかし、訪問看護経験がなくても、オンラインサロンや学べる環境が増えてきているため、他の方法で経験値を補うことも可能です。

あなたの状況に応じた学び方を探してみてください。


2. 会社経営の経験がある

いきなり難易度が上がってしまいましたが、会社経営の経験があるに越したことはありません。

確かに、訪問看護は他の業界の当たり前が通じない独特な業界であるため、一般的な経営手法だけでは上手くいかないことがあります。

ただし、0から1を生み出す経験や事業をスケールアップした経験があれば、経営の基礎知識や財務・資金調達の経験を訪問看護に応用することで経営を成功させることができます。

特に訪問看護では、看護師のマネジメントが最大の難関です。ここを上手くハンドリングできるかは超重要です。

自身が経営をしないにしろ、経営者に近いところで働く環境を探してもいいかもしれません。

その点、訪問看護は経営者がプレイヤーで働いていることも多く、比較的身近に経営を学ぶことができます。

まとめると、経営者が身近にいる訪問看護ステーションに身を置いて、色々とノウハウを学ぶのが、一番理にかなっているような気がします。


まとめ

訪問看護事業を成功させるためには、多くのToDoを適切に管理し、効率的に進めることが求められます。

そのためには、すべてを自分で行うのではなく、業務を取捨選択し、自分が最も力を発揮できる部分に集中することも重要です。

ゆくゆく起業を考えている人は、実際に訪問看護で経験を積むこと、経営を学べる環境に身を置くことも効果的です。

この記事が、訪問看護の起業を目指す方々の助けになれれば幸いです!


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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)

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