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【訪問看護の面接】訪問看護経営者が面接時に見ている10のポイント

今まで、訪問看護における採用戦略の重要性をお伝えしてまいりました。

今回は、採用の中で避けて通ることができない「面接」にフォーカスをしたいと思います。

訪問看護ステーションにおける面接は、単なる形式的なものではなく、応募者の本質や適性を見極める重要なプロセスだと考えています。

この記事では、あの短い時間の中で、どのような部分を見ればいいのかを、10のポイントに分けて解説してまいります。

私は「えん訪問看護ステーショングループ」という訪問看護ステーションを経営していますが、なかなか経営者が見ているポイントを知れる機会は少ないと思います。
訪問看護への転職を考えている方はもちろん、実際に訪問看護で面接をしている面接官まで、ぜひ参考にしてみてください。


訪問看護経営者が面接時に見ている!10つポイント

それでは早速、訪問看護経営者が面接時に見ている10のポイントをお伝えしてまいります。

まず大前提として、私は『言葉は表面、見た目や行動は本質(本音)』という考えを持っています。

そのため、8割の合否は事務所に来社して挨拶後の着座までに決めることが多いです(時間にして2〜3分)。

その際、私が見ているポイントは以下の通りです。

  • 来社時間

  • 駐車場への車の止め方

  • 玄関への入り方

  • 第一声と雰囲気

  • 靴の揃え方

  • 後ろ姿

  • 挨拶の仕方(名刺の扱い含む)

  • 見た目(格好)の一貫性

  • 顔の表情やシワ

  • 着座の仕方


来社時間

面接の際、応募者の来社時間はしっかりとチェックしています。

なぜなら、あまりにも早く到着してチャイムを押されると、人の都合は考えないタイプなのかな?と思ってしまいます。

また、訪問看護の現場においても、「利用者のことを考えずに訪問してしまうのではないか」と疑いをかけたくもなってしまいます。

時間厳守は基本中の基本とされるマナーなので、時間ピッタリもしくは数分前くらいに来社する方が良いでしょう。


駐車場への車の止め方

車の止め方には、応募者の普段の行動や性格が現れます。

これは自分のテリトリーでの行動が反映されるため、普段の生活態度が垣間見えるポイントでもあるのです。

こんなところまで見られているの!?と、驚かれるかもしれませんが、面接中以外の部分も見られているという意識は持っておいた方が良いでしょう。


玄関への入り方

ドアの開閉は一般的な面接でも重視されていますが、意外と油断をしている人が多いです。

「バタン!」と勢いよく締めたりする人は、ちょっとガサツな人なのかなとも思ってしまいます。


第一声と雰囲気

緊張もあるので個人のキャラクターによって左右される部分ではありますが、採用したいなと思う人はこの点のインパクトが強い人が多いです。

これら第一声、雰囲気は、訪問看護における利用者宅での第一印象に直結します。

特に我々が相手をする高齢者は、礼儀正しさや丁寧さを求める人が多いです。

一般的な面接でも第一印象は重要視されますが、訪問看護では利用者との信頼関係構築に直結するため、さらに重視されると言ってよいでしょう。


靴の揃え方

当たり前かと思いますが、もちろん大事です。

靴を脱ぎっぱなし、揃えないなどといった方は、訪問先でも同じ行動をするんだろうなと判断してしまいます。


後ろ姿

この点は個人的な好みが強くなっていると自負をしていますが、後ろ姿はその人の生き方が現れていると思っています。

「背中で語る」ではないですが、人の安心感や安定感は後ろ姿に醸し出される気がしています。

すごくインスピレーションの部分が強いので「こういう後ろ姿が良い」と言語化できる部分ではありませんが、面接ではこのような「感覚」を感じ取るのも重要だと思っています。


挨拶の仕方(名刺の扱い含む)

一般的に、社会性やビジネスマナーの一環として、名刺の渡し方や扱い方は見られています。

ただ、医療職という、どちらかというと職人気質の人が多い業界なので、できていないからマイナスとは判断していません。学ぶ機会がなかったという人も多いことでしょう。

そのため、できていたらプラス加点という捉え方をしています。


見た目(格好)の一貫性

印象に繋がる部分でもありますが、その人の見た目(格好)もしっかりと判断をします。

ブランド物や良い物を身につけているとかではなく、「TPOに合わせているか」「一貫性があるか」などを重視しています。

その点、私は正直スーツでなく私服でも全然良いと考えています。

ただ、清潔感や適切な服装はマストということは念押ししておきます。


表情やシワ

表情やシワは、普段の表情の積み重ねでもあります。

その人の性格が表れている部分でもあると考えるため、私はすごく重要視しています。

例えば、普段笑顔が少ない人が面接で無理やり笑顔を出してもぎこちなくなってしまいます。

自然とその表情が表れているか、という感覚に近いかもしれません。


着座の仕方

座るタイミングや立ち振る舞いです。

自分の判断で勝手に座ったり、ドスン!と座る人などはネガティブな印象を受けてしまいます。


以上が面接時に特に重要視して見ているポイントとなります。

この点、所用時間は約2〜3分くらいであり、ここまでで合否の8割は決まるといった感じです。

面接中は表情の変化、言葉の選択や重み、履歴書の内容とキャリア選択に一貫性があるかなど、3項目くらいの質問(多くて5項目)させてもらいます。

そしてその中で、「はじめの2〜3分で感じたことは本当に正しいのか?」という整合性を確認していきます。

もちろん、話してみないと分からないこともあるので、抽象的な質問と具体的な質問をして、理解力や言語化能力を測ります。

緊張している人も多くいるので、緊張を少し解いていきながら話を進めることも重要だと思っています。

もう一つ付け加えると、事前にやり取りするメールや電話の内容、返信の速さやタイミングなども重要視しています。

このやり取りで自分勝手さなど普段の立ち振る舞いが出てしまう人も多いため、面接に来る前から採用評価は始まっていると思っておいた方が良いでしょう。


他の経営者・管理者はどういうところを面接で見ている?

このように、私は見た目や行動、いわゆる第一印象に繋がる部分を重視していますが、他の経営者や管理者はどのような部分を大事にしているのか見てみましょう。

訪問看護の経営者や管理職向けに、Xで「面接時に大事にしているポイントありますか?」というアンケートを取ったところ、約40%の方が「面接と第一印象半々くらい」という結果が得られました。

やはり、少なからず経営者や管理者は第一印象を大事にしているということが分かりました。


面接は何回やった方が良いの?

では次に、面接の適性回数について考えてみましょう。

結論、面接に正解の回数はないと思っていますが、弊社の面接プロセスは基本的に3回行っています(事業説明→面接1次→面接2次)。

確かに3回のプロセスはお互いに大変な部分もあるかと思いますが、ミスマッチを無くすためには重要だと思っております。

また、できるだけ複数人で見極めることも決め事としています。 

この際、少なくとも1人でも反対意見があれば要検討しています。(代表である私のトップダウンで入れることも0ではありませんが、その際も関わるであろう役職者には必ず会わせます)


内定辞退をさせないためのフォローも必要

面接で良い人に出会えたと思っても、内定辞退されたら意味がありません。

特に訪問看護は同時期に何枠も募集を出せる訳ではないので、複数人の面接を同時進行しています。

その中で1人に絞って内定出すので、辞退をされると相当な痛手になってしまいます。

入社日近くなっての辞退は尚更です。

内定辞退を出来るだけ少なくするだけで、運営は相当楽になると思っています。

弊社が内定辞退を出さないために心がけていることは、以下の通りです。


オファーレター(条件通知書)の活用

面接の時に言っていた話と違うというミスマッチを無くすために、条件通知書を必ず渡します。

給与や条件、入社時期や退職が決まってないのであれば退職交渉後の連絡時期など相互理解を促します。


入社までのフォローアップ

入社半月前(1ヶ月前くらいからのやり取り)には事務所に来て1時間程度の事前説明やスクラブのサイズ合わせなどを行います。

入社が数ヶ月先であれば、1ヶ月に1度くらいの頻度でメールのやり取りや会社の懇親会に呼ぶなど、コミュニケーションを取る機会を意図的に取るようにしています。

正直言えば面倒(笑)な部分でもありますが、内定辞退にならないよう会社として小まめに取り組んでいます(ちなみに弊社は45人程内定出して辞退は1人です:2024年1月現在)。


【ちょっと小話】雇用でお金を釣る…面接の体験談

ここで、数年前に1,000万円超えを希望する看護師を面接した時の出来事をご紹介します。

看護師『東京の○○区で今4店舗で30人くらいのスタッフをマネジメントしてます』

私『訪問看護のマネジメントは私自身も大変だなと感じてて、何を大事にされてやられていますか?』

看護師『スタッフが辞めそうになっていたり、たくさん件数行ってモチベーション上がるように理事長に交渉して給与を上げてもらいます。今も1店舗が危ないので交渉中です』

私『、、、、。ステーション売上がいくらでスタッフ給与はどれくらいですか?』

看護師『月商1,000万円のステーションが1つスタッフ1人辺りの訪問件数は日で5件くらい、800万円のステーションは.....。スタッフの給与は平均で○○万円くらいです』

この時、既に人件費率70%超えで離職しようとしてるからさらに給与上乗せで交渉しているとのこと。

アッパーが決まりやすい訪問看護事業において、給与でマネジメントをやり続けるのは限界があるかと思います。
お金はもらうことに慣れてしまっている結果でしょう。

なおかつ、その看護師自身も理事長との折り合いが悪くなってきたから秘密裏に次の転職を1200-1500万円以上に設定して転職活動中。

理事長は転職活動してるなんて想像してないでしょうし、会社の内情が想像出来る末恐ろしい過去の面接でした。。

合否の結果はご想像にお任せします(笑)


まとめ

訪問看護ステーションにおける面接は、応募者の本質や適性を見極めるために非常に重要なプロセスです。

訪問看護ステーションでは利用者宅での行動や態度、対応が重視されるため、評価基準もそれに応じたものとなります。

そのため、私は言動や行動をいった部分を重視しています。

また、内定辞退を防ぐために複数回の面接プロセスやフォローアップが重要になります。

これらのポイントを押さえることで、訪問看護ステーションの運営を円滑に進めることができるでしょう。


えん訪問看護ステーションでは、一緒に働いてくれる仲間を随時応募しています!(会社HP:えん訪問看護ステーショングループ

「訪問看護に興味がある」「初めてでも大丈夫かな?」という方は、ご相談だけでも構いませんので、ぜひご連絡ください!
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記事編集・監修:和田祥平
理学療法士。作家。Webライター。病院・訪問看護ステーションで勤務をする傍ら、介護・リハビリに関する記事の執筆・監修、書籍の出版等を行なっている。最新著書:介護のお世話にならない リハビリの専門家が教える 足腰の教科書(メディカルパブリッシャー)

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