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組織変革についてペンギンたちから学んだら、しみじみしちゃった話 #カタノリ 5月読書会開催レポート

ずいぶん前になりますが、企業再生や変革プロジェクトに関わる機会が多い時期がありました。
破綻・民事再生した企業の再生や、大規模な組織変革というのは、とても難易度が高い領域ですが、やればやるほど、

実はある程度のセオリーがあり、これを無視すると失敗する
そのセオリーを実践に持ち込む専門のコンサルタントすら存在する

ということが分かり、世の中には何でも専門家がいるんだな、と感心したものでした。
また、組織行動や、組織に属する人の心理などについての理解がずいぶん深まりました。

とは言え、実際に自分が携わるなかで、うまくいったり、いかなかったりということも経験し、また、とにもかくにもハードな仕事なので、よほど情熱がないと取り組めない仕事だなと感じていました。
そんな世界から離れて久しいので、すっかり忘れてたのですが、最近また「変革」について触れる機会がじわじわと増えていました。

実は、SaaSのカスタマーサクセスについて深めていくと、割りとこの「変革のセオリー」に行き着くのです。
ベンダー側として、またユーザー側として、カスタマーサクセスしたり、されたりしていると、「あぁ、これって、変革プロセスのあの部分だよね」と思うことが多いのです。


そこで、久しぶりに復習してみるか、と思ったものの、この辺を読み直すのはちょっと重い...


というわけで、選んだのがこちらの一冊。

変革の大家が書いているので、エッセンスはバッチリ押さえられてるし、何しろ読みやすい。
さらに、#カタノリ で参加者の皆さんと議論したら、理解も深まるはず、という目論見です(セコイ)。

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さて、まず自分で読んでみての感想と気づきは、以下の3点に集約されました。

・推進チームづくりがステップ2に来てるの、サラッと流してしまいそうになるけど、実は重いぞ。
大抵の場合は、そこに居合わせた人たちでチームをつくるしかない。外から連れてくることはできない。
だいたいバディがいない。バディ大事。全体集会で話ができる人、そうそういない。悪意なく不安を助長したり、あちこちで話しまくる人たちを抑えるのメチャむずかしい。これを論理ではなく、共感アプローチでできる人なかなかいない。

・ステップ1が危機意識を高めるなのは、そうなんだけど、解決の方向性が見えてない中で、全体集会やれるか?これけっこうハード。危機意識を高めるだけのために全体集会やる、という判断できるか。けっこうムズイ。自分はできなかったぞ。

・ステップ7のさらに変革を進める。理屈は分かるけど、実際にもう一回コロニーを移動するの、めっちゃ大変だし、そこまでの長期間、同じ推進チームを維持するの大変よ...

こんなメモを手元に置きつつ、#カタノリ 読書会で皆さんとの議論をスタート。
ちなみに、変革の8ステップはこんな感じです。

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参加者の皆さんからも、やはり推進チームづくりについてのコメントが出ます。
・メンバーの巻き込みが印象的。会社は似たような人が集まりがちなので、現実的に、こんな多様なタレントを揃えられるのか?
・そもそもバディみたいな人が必要、と判断できるか?
・これ、結局、リーダーは誰だったんだ?

どれも、「うーん、たしかに」という視点ばかり。

さらに、リーダー視点でのコメントも。
・小さい危機でも、現リーダー陣ではなく、適任者がやった方がいいと判断できるか?
・現場から上がってきたアラートを見聞きして、危機を危機と捉えられるか? アリスみたいにちゃんと見に行けるか?
・危機を危機だと言えるか?上の立場だと、そう言えない。言いたくない、というバイアスがあるはず。

これまた、唸らされることばかり。

この辺から、危機意識の醸成についての議論が深まります。

ルイスたちは、(自分たちでも解決の方向性が見えていないにも関わらず)まず危機が迫っているということだけを伝える全体集会を開きました。
その後、現場を歩くことで、解決策にたどり着き、それを伝える全体集会を再度開きます。

現実の会社組織でコレをやるのは、相当にハードルが高いと思うんですよね。
リーダーの立場であればあるほど、解決の方向性をまったく出さない全体集会をやったら、社員の不安を煽るだけで、

「この会社やべーじゃん」「転職するか」と思う人が出ないかな
今の仕事が手につかなくなる人が出ないかな
その解決策を考えるのが、あなたちの役割でしょ、と思われるよな

と思ってしまう。
だから、
「こういう危機に面している。そこで、こういう風に解決しようと考えている。」
セットで話したくなる

でも、それでは「本当の危機感」は生まれないし、自分ごととして捉えてもらうことはできない。だから変革がうまくいかない。

このジレンマ。

あれこれ話していくと、やっぱりこのセオリーには一理あるんだな、と改めて認識できました。
参加者からも、「そういえば、あの時は、とりあえず現状(危機的状況)だけを共有するミーティングをやって、しばらくしてから解決の方向性についての話があった」という実体験も。
やはり、そうなのか。

そして、あらためて著者の出版歴を見てみると、この本のあとに出版されているのが
A Sense of Urgency

なんと「危機意識」についてだけで丸々一冊を割いている、ということに気づき...
そういうことね、やっぱりこの「危機意識」の部分が、一番難しいってことね、と一同納得。

最後に、参加者の皆さんから、こんな感想をいただき、だいぶしみじみした感じで終了しました。

まずは社内のバディを探そうと思う。
チームにこの5人の機能が揃っているか確認したい。とりあえず、バディ欲しい。
本当の危機感の醸成・浸透は、本当に難しいんだなと実感した。
手遅れになる前に、危機意識を高めるのがリーダーの役割だと感じた。


私自身、ここまで深い学びが得られると思っていなかったですし、ひとりで読んだだけでは、絶対にたどり着けないところまでこの一冊を味わい尽くせて、本当に良い機会でした。

こんな経験が得られる #カタノリ 読書会、またやりますので、ご興味ありましたらぜひご参加ください。
課題図書のリクエストも受け付けてます。
まずはフォローを!


あ、そうそう。いまひとつ理解できなかった部分がありました。
書籍p.54 教授はなぜ論理がわからなくても、ぐっすり眠れたのか?なぜ4人を信じることができたのか?
これ、どなたか「こういうことじゃない?」という解釈を教えていただけると、とてもうれしいです。

こちらのnoteへのコメントでも、Twitterでも。

https://twitter.com/Masa_Hagiwara


#カタノリとは

たいていの人生の悩みや仕事のコツは偉大な先人たちが多くの苦労の末にたどり着いた知恵を残してくれています。
現代に生きる私たちは、素手で戦う必要はなく、偉大な先人たちが残してくれた知恵をうまく使っていきたいものです。

先人の知恵をベースに、自分の置かれた環境で成果を残すことを「巨人の肩の上に乗る」と表現します。

平たく言うと、
使えるものはガンガン使った方がいいよね。すでにわかっていることをイチイチ自分で解くより、それを踏まえて工夫するところに時間を使った方がいいモノができるよね
という考え方です。

アイザック・ニュートンは同じ科学者であるロバート・フックへ当てた手紙の中で、「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。(If I have seen further it is by standing on the shoulders of Giants.)」と書いています。

私たちは巨人の肩の上に乗る小人のようなものだとシャルトルのベルナールはよく言った。私たちが彼らよりもよく、また遠くまでを見ることができるのは、私たち自身に優れた視力があるからでもなく、ほかの優れた身体的特徴があるからでもなく、ただ彼らの巨大さによって私たちが高く引き上げられているからなのだと。
ー イギリスの作家・哲学者 ソールズベリーのヨハネス著「メタロギコン」より

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