あなたの「カスタマーサクセス」はどれ?マトリクスで考えるカスタマーサクセス4類型
「カスタマーサクセス」と検索すると、ものすごくたくさん情報がありますよね。
カスタマーサクセスにまつわる情報、たくさんありますよね。
偉大な先人たちに感謝しつつも、多くの知見のうち、どれをお手本にすべきか迷いませんか?
このnoteは、同じ「カスタマーサクセス」という言葉を使っていても、実は指しているモノが全然違うんですよ。なぜなら、見ている景色(ビジネスの前提条件、サービスの置かれている状況)が全然違うから、という話をします。
目指しているのは、検索して出てきた情報や、ミートアップで話しているときに、頭の中に浮かぶ「地図」です。
これがあることで、「あー、そういうサービスだから、その施策やってるんですねー」という話を相互にパッと理解しあえるようになるといいな、と思っています。
では、さっそくマトリクスのご紹介です。
縦軸は、お客様のコミットメント度合い。導入にあたっての気合いの入り具合です。
コミットメント度合いが高いと、手間が掛かるものだと思っているとか、支払い総額が多いとか、成果への期待が大きいとか、社内でプロジェクトが立ち上がるといった形で表れます。下手すると「コレだけ投資するんだから、このプロジェクトで万事解決!薔薇色の未来が待ってる!」みたいな期待値を持たれていることもあります。英語で言うと silver bullet ってやつですね。
コミットメント度合いが低い場合は、「お手軽なんでしょ」とか「すぐできるんでしょ」といった期待値なので、社内でプロジェクト体制が組まれることはなく、「ちょっとやっといて」と担当者に振られることになります。その原因は支払い額の少なさに起因してたり、見た目や印象(柔らかいUI)だったりします。
横軸は、そのソリューションが既存カテゴリーなのか新規カテゴリーなのか。
既存カテゴリーとはつまり「やったことがある」か「どこかで見たことがある」コトなので、お客様の頭の中に「うまくやるとこうなる」という成功イメージがあります。そのイメージの解像度はさておき。
一方で、新規カテゴリーは「うまく使いこなしている人を見たことがない」ので、お客様の頭の中に成功イメージがありません。何となくこれが解決策っぽい気がする、聞いた話だとコレで解決できるはず、という期待を持っている状態です。
この2軸で考えてみると、
左上:お客様のコミット高x既存カテゴリー ≒ がっつりSIやる系
右上:高コミットx新規 ≒ 夢膨らむソリューション系
左下:低コミットx既存 ≒ 昔からやってた仕事系
右下:低コミット度x新規 ≒ 使ったことない系
となります。
さて、皆さんの仕事がカスタマーサクセスだとすると、まず、左か右かで求められるコトが違いますね。
左=既存カテゴリーのサービスを扱っているなら、お客様に成功イメージがあるので、ゴールの定義よりも、そこに向かうための支援が中心になるでしょう。
一方で、右=新規カテゴリーのサービスなら、そもそもゴール=成功イメージを持ってもらう必要があります。
余談:このnoteでは触れませんが、マーケティングにおける訴求ポイントも、右と左でずいぶん変わってくるはずです。
さらに余談:1つのサービスでも、顧客セグメントによって、またサービスの活用度によって、得られる価値が異なることはよくあることで、それによって左右が変わることもまたあり得ます(例:sansanで言うと名刺交換という部分は左ですが、社内人脈データの活用は右ですね)
次に、上下でカスタマーサクセスの体制や活動内容が変わってきます。
上=高コミットなら、ハイタッチ前提で伴走することが容易です。というか、そうしないとお客様の期待に応えられないことが多いでしょう。一方で「薔薇色の未来!」みたいな期待値を持たれていると大変なことになるので、お客様の期待値を調整することが必須です。また「思ったより大変」「上から落ちてきたけど、やることいっぱいでゲンナリ」みたいな状況も多発するので、スモールサクセス(最初の小さな成功体験)に早く導くことがとても重要です。
下=低コミットなら、ロー/テック/コミュニティタッチ中心になることが増えます。なぜなら、お客様の支払い総額が低いということは、提供側として掛けられるコストに限りがあるということだから。そして、下の場合は、多くの顧客を相手にすることが求められるからです。また、お客様のコミットメントが低いので、時間を割いてもらうことにハードルがあったり、「簡単なんでしょ」というパーセプションに反してそれなりの労力を求める(やり方を覚えてもらう)こともあるので、やる気やリテラシーとの闘いになります。
まとめると、こんな感じになりそうです。
どうでしょうか?
皆さんのサービスは、どこになりそうですか?
もしかすると担当するお客様によって違うかもしれませんね。
皆さんがお手本にしているサービスは、どこでしょうか?それは本当にお手本にして良さそうですか?
ちなみに、私が扱っている LINE WORKS というサービスの場合、アーリーアダプターのお客様が中心のときは左下でしたが、現在は右下にシフトしています。
グループウェアもチャットツールも使ったことあるよ、という方にとっては「既存カテゴリー」だったんですが、LINEを使ったことはあっても、グループウェアや社内向けツールの導入が初めての方にとっては「新規カテゴリー」になるので。
このように私の場合は、お客様のコミットメント度合い × 既存/新規 という2軸に意味があるので、今回のマトリクスにしました。
皆さんにとって意味があるのは違う軸かもしれません。そのときは、ぜひ自分なりの地図、フレームワークを作ってみてください。
フレームワークとは、世の中にあるものを学んで使うと思われがちですが、実はそうじゃないんです。
本当に大事なのは、自分なりのフレームワークを作って、自分/自社の状況を世の中に照らして理解することです。するとそこから、自分/自社にとって意味のある示唆(インサイト)が得られるのです。
フレームワークは使うだけでなく、作れるようになると、自分の思考の抜け漏れに気づきやすくなり、また思考も深まります。私も今回、この2軸で考えたことで、自分には直接関係のない象限についても考えることになりました。すると、今まで見えていなかったことが見えるようになりました。
試してみたら、ぜひこのnoteへのコメントやTwitterで教えてください。
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