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Day6イタリアバール巡り 熱狂のある場

Ciao!
住んでいた部屋で迎える朝。
起きてすぐの視界が見知った場所の時の安心感は格別。今日も元気にバール巡りから。
郊外へバスでグングンと離れて落ち着いた住宅エリアのバールへ。到着直前に気づいたけど昔、連れてきてもらったことがあるお店だ。
不安が大きい留学初期の一時期、家がなくなる事態が発生。その時に泊まる場所を提供していただいたご家族の温かさは昔も今も変わらない。ちょっとの居づらさと気恥ずかしさとともにあの時ご馳走していただいたカプチーノを、今は1人で座って楽しんでいる。僕は何か変わっただろうか。



フィレンツェで本屋さんをされているご家族。朝からお時間をいただき一緒にバール巡りをしていただく。
ひと口にバールと言っても、店のサイズ、雰囲気、得意な領域、立地など何もかも違って、それぞれにお客さんがついているということが再認識された。
目指したいお店について、この日得たインスピレーションはこの後大きく影響してくること間違いない。


ちょいと早めの一杯。約4年ぶりにお会いしてのお話をつまみに過ぎていく時間。少しずつ日本に戻る時間が意識されていく。
この旅は終えるために出たんじゃなくて、ここからの新しい始まりのためのもの。
これから直面する課題は沢山あるけれど、そこに挑むために始めた。すべて楽しんで進んでいこう。



そして本命、働いたIl Guscioへ。
コロナを経て4年間もの時間が経っても、またこうして訪れることができた。変わったものも多々あれど、やっぱり美味い。昼時は地元の人でいっぱいになった。ここはやっぱりかっこいいレストランだなあ。2人で昼からボトルが空いた。


家で一休みしてから、夕方は買い物に費やす。住んでいた街ではペースが旅行者ではなくなる。浪人で住んでいた京都に今行っても、観光する気が全く起きないのと同じ。スーパーを回ったり、キッチン用品を買いに行ったり、ちょっとお土産集めをしてみたり。

お目当ての買い物を済ませて、夕食前のアペリティーボへ。
教えてもらったお店は「本とバール」がテーマのイケてるおじさんのお店。この日はお客もイケてるおじさんたち大集合。知的な熱狂に感動した。こういう時間をつくりたい。



本だらけのテーブルで一杯飲んで、夕食へ。
誰かと一緒に食事できること。こんな幸せな時間ってないと思う。それを当たり前にせず、一回一回の縁と巡り合わせに感謝する。その繰り返しが、互いに生きやすい場所をつくることにつながるのではないだろうか。
トスカーナ特有のクロスティーニ、スペシャルティのパスタや念願の生アーティチョーク、トスカーナ料理ランプレドットを楽しみトラットリア特有の「1.5L便で出てくる飲んだ分だけ支払う適当なワイン」を飲み干し、本当に良い時間を過ごすことができた。幸せだ。



Il Guscioのシェフたちが営業終わったら一杯一緒に飲んでくれることになり、それまで1人また夜のまちへ出かける。
ラテンの音楽が聞こえてきた。ライブをやっているお店みたいだ。
ライブも盛り上がってくる頃。イタリア人とラテン音楽の相性もなかなか。テーブルをステージに踊り始める姿は、見ていて本当に気持ちがいい。熱狂のある場所。夕食前のバールにあった知的な熱狂も、ラテン音楽が引き出した情熱的な熱狂も、どちらも好きだ。どんな形であれ熱狂のある人間の姿は美しいし、そこに「生きる力」の湧き上がる瞬間を垣間見る。そういう場所をつくりたい。



昼からの酒のダメージ。なんとかシェフたちを待つもなかなかアルコールに削られた1日だった。
最後に辿り着いたBirreria。ここもIl Guscioで働き始めた時にみんなで連れてきてくれた店だったのを思い出す。ここで僕なりにがんばって生きていたし、それで終わりにしたくないから動き続けて、またこの地にいる。やめちゃいけない。続けることさえできれば、きっともう少しだけ、善い社会を創れる。あとは信じる力と実行だけだ。
お世話になった3人に最後一緒に飲む形で挨拶ができて、本当によいフィレンツェ滞在だった。



1つだけ、いつものバールは臨時メンテナンスで空いていなくて、遠目にオーナーのMaurilioの姿が見えただけになってしまったのは心残りだ。
今度は仕事でフィレンツェに来て、数日滞在しながらCaffe dell’inocentiに通う過ごし方にしたい。必ずここに戻ってきて「僕はいま日本で、君たちから受け取ったものを糧にバールをやっている。本当にありがとう。」って伝えに来よう。

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