エジンバラ大学へ進学する理由
2023年9月からイギリスのエジンバラ大学院に進学することになりました。大学院ではDigital Sociologyを専攻し、AIのリスクやガバナンスについて学ぶ予定です。
このnoteでは社会人6年目でエジンバラ大学院に進学することにした理由や研究する分野の紹介をしています。
なぜ大学院進学か
私はテクノロジーの社会実装に関心があり、現在はコンサルティングファームとNPOで兼業しています。
コンサルティングファームではData & Analyticsチームに所属し、企業におけるデータ・AIの活用支援、またAIガバナンスに関するプロジェクトに従事しています。また兼業で関わっているNPOでは、24時間365日のチャット相談を運営するNPOの理事を勤めており、そこでもチャット相談データを活用し、データドリブンなNPOの事業運営、また事業開発に関わっています。
私は社会課題解決のためにテクノロジーを積極的に活用していくべきだと考えていますが、近年ではAIを活用することによるリスクや倫理的な問題も明らかになってきています。例えば、顔認証システムは特定人種へのバイアスを含むことがあり、アメリカでは警察がバイアスを含んだAIを活用することで誤認逮捕してしまうケースが発生しています。その他にも金融機関から融資を受ける際の人種・ジェンダーによるバイアス、データ取得時のプライバシー違反等が確認されるなど、AIの社会実装には技術の進歩だけではなく、社会規範との整合性も非常に重要になってきます。
特にAI等のテクノロジーはスケールしやすく、一度社会制度に組み込まれると社会の中の差別やバイアスを強化する可能性があります。これらの問題に対して私はデジタル技術が社会にもたらす影響、特にAIによるリスクやその対処方法について学ぶため、大学院へ進学することにしました。
なぜエジンバラ大学か
エジンバラ大学は1583年に設立された大学で、イギリス、スコットランドの首都エジンバラに所在しています。
イギリス国内には素晴らしい大学がいくつもありますが、その中でもエジンバラ大学にした理由は以下の二つです。
一つはAI倫理や規制について専門的に研究している教授が在籍している
定性分析だけでなく、定量分析(計算社会学)からのアプローチができる
大学院進学にあたってはさまざまなコースをみましたが、デジタル分野に特化した研究テーマが数多く存在し、AI倫理やAI規制についての研究者が多数在籍していること。また定量分析的なアプローチ(Computational Sociology)についてのプログラムが充実しており、自身のキャリアにとっても強みを強化できると思い、エジンバラ大学への進学を決めました。
何を学ぶのか
大学院では責任あるAIについて研究をする予定です。「なぜ大学院か」でも少し触れましたが、AI関連のインシデントは年々増加しています。
AIインシデントやAIの活用リスクに対応するため、企業では「責任あるAI」の開発が今後重要になってくると考えています。責任あるAIとは、公平性、透明性、説明責任等が担保されたAIの開発と実装のことです。
倫理的な配慮がされたAIの開発と実装を進めるには、政府の規制動向や企業におけるAI監査の取り組み等複合的なアプローチが必要ですが、特に企業に責任あるAIを実装するためのAIガバナンスや監査の仕組みについて研究できればと思っています。
私の想い
社会人6年目で大学院に進学することになりましたが、その背景には発展し続ける科学技術への興味・関心と、それが地球・社会・人々の幸福につながっているのかという疑問があります。
人々の能力を拡張させるテクノロジーは良くも悪くも大きな影響力を持ちますが、私はテクノロジー好きな一人の人間として、その可能性とリスクに向き合い、自分なりの解を見つけたいと考えています。
エジンバラ大学に進学後は、時々noteも更新していければと思っていますので、関心が近い方はぜひお話ししましょう。
それではまた。
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