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【読書録110】致知2024年1月号「人生の大事」感想

 致知の感想をnoteに書いて、今回が28回目となる。今年も続けていきたい習慣である。今回の表紙は、ともに90歳を超えているお二人である。お二人の対談を読んで、まだまだ50歳は、人生の中の午前中かなという気にさせられた。まだまだ自分を高めていかないといけない。


総リード  人生の大事

伊與田覺氏の言葉から始まる

「西洋の老いは悲惨さがつきまとうが、東洋の老いは人間完成にむけた熟成期なのである。年を取るほど立派になり、息を引き取る時にもっとも完熟した人格を備える。そういう人生でありたい」

人間完成に向けて、年を重ねる。
以前に、読んだ山本富士子さんの「時は過ぎゆくものではなく、積もりゆくもの」という言葉を思い出した。
人間としての完成を目指して一歩一歩進んでいきたい。

そして、「人生の大事」という言葉で思い出すとして、渡部昇一氏の言葉を紹介する。

「人生で一番大事なことを一つあげろと言われたら、それは”できない理由を探さない”ということ。もう一つと言われたら、”何が起こっても投げ出さない”こと」

そしてゲーテの言葉を付け加える。

「生きている限りは活き活きとしていなさい」

私にとっては、この言葉が一番重要だと思う。

ゲーテは、「人間最大の罪は不機嫌である」など、私にとって、指針としたい言葉が多い。
ゲーテもいつか挑戦したいと考えている。

一に社員、二に社員、三四がなくて、五に社員 

 エーワン精密創業者である梅原勝彦氏へのインタビュー記事。創業以来、驚異の利益率を出し続け、町工場として初の株式上場を果たしたというエーワン精密の創業者である、梅原勝彦氏。なんとその利益率は、経常利益率で平均で30%を超えるという。丁稚としてスタートした仕事人生。そんな梅原氏の経営姿勢、人生の考え方は非常に興味深い。

利益は、最初から追うものではなく、やることをやった積み重ねの結果だとして、数字は、毎日チェックして、工場も週に一度行き、隅々まで見ていたという。

丁稚時代の、十三、四歳の頃から、「将来は社長になるしかない」と考えいたという。

目標を持たないで生きているのと、明確な目標を持って生きているの、先に行くとすごい差が出るね。将来は社長になるとずっと思っていたから、僕にとって頑張ることは何ら苦じゃなかった。

そんな梅原氏のリーダー論は、また面白い。

「経営者としての器をどのように磨き高めてこられましたか?」という質問に対して、

言っていることとやっていることが変わらない、これが大事だと思ってきました。

シンプルだが、大切なことだ。

人の上に立つためにどうしたらよいか悩むうちに、辿り着いたのが、読書とのこと。

そのうち人間はいかに生きるかなど、生き方や考え方を学ぶ本や中国古典を読むようになりました。

そして、豊臣秀吉が、晩年崩れた理由として、こういう。

悲しいかな、若い時に勉強していないんだよ。ここが徳川家康との差だね。

読書と実践で鍛え上げられた、梅原氏のすごさである。

とりわけ私にとって、戒めになる言葉は以下の言葉だ。

立場が上になると偉そうにする人がいるけどあれば大間違い。上に立つ人は下の人を踏みつけるのではなく、下の人が支える手に乗っているだけなの。会社という神輿は、社員が手を話したらあっという間に崩れてしまう。だから、下の人の支えによって上に立てていると自覚している人じゃなきゃ本当の社長になれないよ。

自分のことしか考えられないうちは、周りは自分のために動いてくれない。当たり前のことだよ、これは。

苦労を重ねた人生だからこそ、心に響く。

外に2つ。

やっぱり結婚っていうのは人生にとってすごく大事だね。

「志あるところ、必ず道あり」、僕はこの言葉が好きだな。

志をもつ、家庭を大切にする。人間にとって、大事な二つである。

教育の根本は愛にあり


 花まる学習会代表の高濱正伸氏と、卓球の平野美宇選手の母親であり、平野卓球センターの監督を務める平野真理子氏の対談記事。

教育論と家庭論のつながりがとても共感を持てた。

子どもが、脳性麻痺で重度の重複障碍を持つ、高濱氏は、子育てについてこういう。

やっぱり妻が偉かったんです。これ以上ないというくらい愛情を注いでくれたから、彼はのびのび育つことが出来たんです。

それを受けての平野氏。

本来、障碍のありなしに関係なく皆それぞれに個性があるじゃないですか。完璧な人なんかいなくて、みんな凸凹している。だから親とか指導者の役割って、その子のよいところを認め、伸ばしてあげることじゃないかと思うんです。

もし本人が気づいてなければ、見つけて伸ばしてあげる。そうすれば自信を持って自分の人生をキラキラ輝かせて生きていけると思っています。

親の愛情、周囲の愛情。これは、本当に大切だと思う。親の愛さえあれば、子どもは育っていく。最近、そんな風に感じる。

そして、話は、家族論へと進展する。

まず、高濱氏。

愛に満ちて、笑顔・笑い声・歌声に溢れている家庭はやっぱり幸せそうですよ。逆に人目を気にする、他と比較する、やらされ感で生きている、そういう家庭は不幸だなと思います。いい家族って、給料や社会的地位が高いとかじゃなくて、自分たちで愛の輪をつくって楽しく生きている。家族をつくる意味ってそこじゃないですか。

そして、平野氏。

やっぱり、家庭が人間関係を構築する上での基盤になり、それが子供の幸せの原点になると思います。家庭が楽しくて円満だと、友達にもやさしくできるでしょう?そのために夫婦仲って本当に重要なんです。

何が、人生において重要か。本当の幸せとは何か。これを間違えないためには、この家庭を基盤とする考え方が一番である。

そして、高濱氏は、

家庭円満の秘訣は奥さんの笑顔です。奥さんの笑顔が多い家庭はうまくいってますよ。

父親の第一の仕事は妻を笑顔にすること。

という。これは、本当に大切にしたい。
私が人生に幸福感を感じるのは、まさに妻と結婚してからだ。妻と子ども、すべての基盤だ。

対談の最後は、幸福感で締めくくられる。
平野氏の言葉を紹介して終わりにしたい。

結局人生で一番大事なことって自分の心に素直に生きることだと思うんです。

自分の存在を好きになること。自分が幸せじゃなかったら、人を幸せにできないし、自分が幸せだからこそ人の幸せを素直に喜べると思うんです。

私にとっての幸せとは何か?答えは見えている。家族であり、自分を高めるために活動することである。

現場力こそが企業発展の鍵


 二十期連続増収を続ける広島市信用組合の理事長である山本明弘氏と、コンサルタントの遠藤功氏の、企業の現場力の重要性をテーマにした対談。

広島市信用組合の好業績の要因を、山本理事長は、「預金」「融資」の本来業務に徹してるからであるとする。

融資の際のポイントは「現場」とする。

社長さんの表情が暗かったり、掃除がされていなかったりする会社は、残念ながら融資をお断りすることがあります。反対に、たとえ赤字、繰越欠損、債務超過の会社であったとしても、技術力があったり、研究心があったり、思いやりがあったり何か可能性が見えてくれば、融資を決断します。それは直感・閃きという他ありませんが、現場に出向いてフェイス・トゥ・フェイスでお会いしてこそ分かることなんです。

現場力の高め方として、山本理事長は2つ挙げている。

➀権限移譲  ➁褒めること

支店長が、本部の審査部長に、「何とか融資をお願いします」とペコペコしているようでは現場力は高まらないという。そして、気づいて褒めることで、仕事の励みに繋がっていくという。

それに対して、遠藤氏は、「Management by walking around」(歩き回る経営)の重要性を説く。

とにかく現場を歩き回って直接コミュニケーションを取っていく日本の伝統的なやり方を、ウォルマートなどが見直しているのに、当の日本は完全に忘れている。現場に行っても誰も改善に気づかないし、経営者は何を褒めていいかすらわからないんです。

一番まずいのは無関心です。無関心が蔓延しているところは、現場力は本当に劣化します。

そして、会社の未来を予測しようと思ったら、現場に行けと言う。

数字は所詮現在、もしくは過去のものなので、そこだけを見ていてもその会社の未来は予測し得ません。未来を予測しようと思ったら、現場に行って現場の様子を感じるしかないんです。

そして、一番響いたのは、遠藤氏が、トヨタから学んだという、「管理の基本は自主管理」という言葉である。

生命体である組織が、生きているか死んでいるかは、社員が、主体的に働いているかどうかであるとする。

主体的のある会社に共通するのは、会社のパーパス(目的)と個人のパーパス(マイパーパス)がシンクロしていることです。

これからの時代、もっと重要になっていく考え方であろう。

山本理事長もこう言う。

やる気を育ててあげなかったら、従業員の主体性は生まれません。現場の主体性があれば組織は絶対に伸びていく

それには、遠藤氏の言葉が、出発点かなと思う。

価値を生み出しているのは現場なので、現場を常に第一に考えてほしいということですね。

リスペクトを持って、接していく。そして、その頑張りのポイントに気づくことだ。

経営者としての一丁目一番地なのかなと考えさせられた。

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