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【読書メーターまとめ】2023年3月に読んだ本

 3月もあっという間に過ぎて、新年度になった。
子どもの中学受験が終わり、3月は、旅行に数多く出かけた。偕楽園、出雲・松江、大阪・京都、など。
 人事異動もあり、本当にバタついた一か月であり、今月もあまり読書に時間を取れたという感覚はない。
 いろいろと思索し行動しなければならないときであるが、なかなか気持ちも時間も追いつかないという感覚である。
 「常日頃、何を考えているか」という自分の軸が大切だと考えさせられた3月であった。

2023年3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1497ページ

■皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上巻 (新潮文庫 し 12-102)

読了日:03月04日 著者:塩野 七生

中世ヨーロッパ史について無知でこの人物について知らなかったが、いつもの塩野節で楽しく読むことができた。ローマ教皇を中心とした聖職者の権力が世俗の世界でも巨大な中、信仰と世俗の権力を分離して、イスラム教までも包容しようとする開明的なフリードリッヒ。現実主義者ともいえよう。生まれた時からの苦難の道がそうさせたようにも感じる。無血の十字軍のパートの交渉の粘り強さといざという時の準備の抜かりなさは、現在の政治家に参考にしてほしい。本書の一番の格言「情報とは、その重要性を理解できたものにしか、正しく伝わらない」

■40代から特に効く中国古典の言葉: 人として強くなるヒント (知的生きかた文庫)

読了日:03月08日 著者:田口 佳史

この年齢に中国古典が「特に効く」というのはわかる。以下、気に入った箇所。
-40代からは余裕がある人が勝つ。
-40歳からは、特定の人だけとつきあってはいけない。さらに自分の世界を拡げないといけない。
-40代で守りに入るのはまだ早い。壁の中で仕事をしてはいけない。会社員の醍醐味は「自分一人ではできない大きなことをやる」ということにある。会社を動かして大きなことをやろう。
-人生を「面白がる」。「学ぶ・果たす・楽しむ」のサイクルを回せ。
-東洋的視点とは、根源・長期・多様の三つの視点。
-自己投資に、時間と金と体力を惜しむな。

■失った30年を越えて、挑戦の時-生活者(SEIKATSUSHA)共創社会 (単行本)

読了日:03月13日 著者:経済同友会代表幹事 櫻田 謙悟

「生活者」という概念に、共感する。一人ひとりの人間が持つ多面的な役割。自分の価値観に基づくライフスタイル。他者に依存せず主体的に行動する。そんな意味合いが込められている。失った30年の分析は、まさにその通りである。日本の持つ強みもその通り。では、生活者共創社会をどう作るのか。それが難しい。著者は、挑戦の総量を増やす、皆がパーパスを持って、成功者が生まれることを社会全体の利益とみなすべきという。著者がいう、ラストチャンスをどう活かすか?その具体的な解は、与えてくれない。皆で考え行動していくということだろう。

■独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書)

読了日:03月18日 著者:大木 毅

ウクライナ戦争時の今だからこそ読む価値のある本。独ソ戦につき無知であったので勉強になった。相手の人間性の否定が、憎悪が憎悪を生む「絶滅戦争」という惨禍に繋がっていく。スターリンは粛清によって軍の弱体化を招き、独の侵攻予測から目を背ける。ヒトラーは、死守命令が有効と信じ切り反対する高級将官たちを解任する。人財の活かし方については大いに参考になる。戦後、独側はすべてヒトラーに責めを負わせ、ソ連は「大祖国戦争」と賛美し、不都合な事実を隠し続け、最近状況が明らかになってきたことは、歴史を考える上での教訓でもある。

■失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇

読了日:03月20日 著者:野中 郁次郎

失敗の本質シリーズ第3弾。シリーズ中、最も読みやすかった。現場感覚・大局観・判断力をもつフロネティックリーダー。考えてみると硫黄島の栗林中将にしてもミッドウェーの山口多聞にしても戦場に散ってしまった。「試す人になろう」というのは、本当、とても良い言葉である。また菊澤先生による、合理的に失敗する組織や派閥の組織行動論の論考も興味深い。カントの他律的行動と自律的行動、ウェーバーの派閥の効率性と正当性の話なども。また山内先生による天才型リーダー・石原莞爾論に関する論考も今までのこのシリーズにない面白さだった。

最後に:1か月の読書を振り返って

 
 冒頭に書いたように、常日頃から自分の軸を持っておく必要性を強く感じるこの頃であるが、読書はそのために必須である。
 古典や歴史はその為に必要なものであろう。忙しいときこそ、物事を俯瞰して見ることができるようになるため、読書、とりわけ古典や歴史と言ったものが必要だと考えさせられた。


 


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