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ハイパーハードボイルドグルメリポートがすごい

はじめに:テレ東がやってくれました

ネットフリックスに契約しているので、パラパラとランダムにいろいろとみているのですが、最近見た「ハイパーハードボイルドグルメリポート」がすごいです。

何がすごいか。

同じ地球上で同じ人間であるのにかかわらず、全く違う環境で違う苦境に立っているということです。

「食うことは生きること。やばいやつのやばい飯のドキュメンタリー」的な番組なのですが、「食」もそうなのですが、それ以外にあまりに重たくそして、完全なる事実に思い切り打ちひしがれるすごい番組です。


Netflixで見ていますが、作っているのは「テレビ東京」。申し訳ないですが、個人的にはたいしたことのないという印象のテレビ番組ですがやってくれました。

日本のテレビ番組でそこまでせめるのはあまり少なく、当たり障りもない、たいしておもしろくないことをMCの力でおもしろくしたり、大衆のコントロール目的で流されている情報とは一線を画するもので、これこそが日本が今後のドキュメンタリー番組が進むべき道だと思いました。

1話目から衝撃

一話目からかなりの衝撃で、1話に3つのエピソード入っていました。

1つ目のエピソードが西アフリカ・リベリア共和国の元兵士の話でした。10代前半で少年少女として兵士に駆り出されたり、志願して兵士になり、食に困った現場では人肉を食べて生き延びたもの、親の仇で戦争に出てたくさんの人を殺しにいったもの、また多くのものは、その恐怖やトラウマと戦うために、兵士のときからコカイン漬けにされていて、20代の今もそのコカインに飢えて、盗みや汚い仕事をしては食とコカインを買うという生活を強いられています。

話の中で特にフューチャーされた一人の女性は、親の仇で自ら志願して敵兵を殺しまくったという28歳の女性で、今はセックスワーカー(娼婦)として働き、1回男性と寝て200円、1回の食事代が150-200円という生活をしています。仕事をとるため、夜な夜な危ない、娼婦のための通り(ストリート)に出向き、男性を誘い客を取り、生きています。

時にはセックスの後、ただ殴られてお金をもらえないこともあるようです。

最後に「あなたの夢はなんですか?」という問いに「私は億万長者になる」ということを回答していました。

彼女はその環境でありながら、日々必死に生きてそして、その中で夢を持ちそれを語るというごく当たり前のことをしているのですが、日本人である我々とあまりに違う環境から思わず言葉を失いました。

またこのプロセスやドキュメンタリーを撮影するにあたり、取材班はかなりのリスクを伴っています。

このようなリスクのあり、そして価値のある映像は簡単にはとれなく、しかし事実を歪みなく伝えるという点においてもとてもすごいと感嘆しました。

1話目の2エピソード目:台湾マフィア

台湾マフィアの話は少しすごいと思いましたがその前がすごすぎたのであまり印象に残らず。

撮影班の「後悔したことは?」という質問に対し「自分は間違ったことはしていない。正しいことをやるべきことをやっただけであって後悔することなど一つもない」といったようなことを回答していました。

マフィアという殺人という通常の人はあまり経験することがないことを経験した人は「人でなしで人間でない」「罪悪感にさいなまれ人間的でない」などと勝手に思っていたのですが「正義を貫き通し、よく笑い、正しいことをしてきたという自負と自信に満ち溢れている」ということに関しては衝撃を受けました。


1話目の3エピソード目:カリフォルニア、LAのギャング飯

カリフォルニアの危険地帯は殺人などの件数が全米1になることも珍しくなく、そこに取材にいっていました。

その危険地域は、ヒスパニック系ギャング(メキシコ系)と黒人系ギャングの抗争が日常的に起きていて、銃創がある人が多いです。ヒスパニック系ギャングは妻たちの多くは夫が服役していて出所を待っているなどが普通のようでした。平和に生活をしていたらいきなり庭に手りゅう弾を投げられるなども経験もしていて、怪我や知人・友人・家族が死ぬというのも割と日常的に起きている環境でした。

黒人系のギャングの方は印象的だったのは、ボスが不在の間少しでしゃばりに出てきたキルビルというニックネームの黒人の方で撮影をした日の翌日には逮捕されていないくなっているということなどでした。そして逮捕される瞬間は仲間が警官たちを囲んで動画で撮影をしていました。これは自分たちを守るためにとても重要だと話していました。理由としては、黒人の人達は正確な数値を覚えていないのですが、(年間?100件中?)9人くらいが逮捕時に銃で撃たれて死ぬようでした、ヒスパニック系はそれよりすくなく5-6くらいで、アジア人が2くらい、白人は1を切る数字のように表示もされていて、黒人は難癖つけられて一方的に悪者扱いされ殺されることが事実として多いようで、取り囲んで撮影するのは自分たちの身を守るための手段のようでした。

確かに同じように固まっていた場合は間違って一気に殺されたり、その角度からは映らないように殺してしまえば成り立ってしまうことがあるので、仲間や今後の仲間たちを守るためにも取り囲んで撮影をするという手段をとっていました。

かなりリアルでそしてアメリカの社会的な問題をダイレクトにそして強烈に伝わる内容でした。

また他にも驚いたのは「ギャングはみんな好き好んで、自ら希望してなっているもの」と思っていたのですが事実は異なり「気づいたらギャングになっていて、兄弟や家族が当たり前に死ぬというのはとてもつらい。できることならここから逃げ出して安全なところに家族と一緒に住みたい」と涙を流しながら切に語っていたところでした。

この地球上において、マズローの五段階欲求における「安全欲求」が満たされていない人が世界一の経済大国であるアメリカにも当たり前に存在していることに衝撃を受けました。

今回は紹介しませんが、多くの「難民」の方たちも「ただ、安全な場所に家族と住みたい」という希望から難民としてヨーロッパに逃亡しようと何百回とトライをしているなども目にしてかなり驚きました。


人間の本質は「安全にそして愛する家族と一緒に過ごしたい」に尽きる

いろいろと娯楽にあふれ、文明が発達しようとも人間が立ち返るのが、「愛する家族と安全に過ごしたい」というごくシンプルな欲求なのだとつくづく思いしることができるすごいテレビ番組でした。

そしてここまで書いてあるのを読んでわかる方も多いかと思いますが、グルメリポートというタイトルであり、それがメインでありながらも「食事や食べ物が全然入ってこない。。」というくらい衝撃の連続です。

少し「え?」と印象的だったのが2コマ。「ようやくありつけた食事は米だけ、が普通。テレビに出ているから今日はカレーをつける」程度の食事だったり、食事をつくるために子供も食べる料理をつくるのに、「着火剤としてダイオキシンが出るビニール袋を使って火を起こしている」ということを普通にしていたことです。

とにかく衝撃的な番組です。小藪さんが「え?なにこれ?」とやる気なくスタジオに入ってきて、ほぼほぼワイプでちょこちょこコメントするばかりという作りも斬新でそしてキャスティングもあっていて、制作陣がかなり考え込み作りこまれていることを実感しました。

Netflixでは5話までしかなく、テレビではもっと多くのもっともっと重たい内容もあったようですが、スタッフがここまでのリスクを負い素晴らしい番組を作っている姿勢から日本のテレビ番組もこれからもっと面白くなるととても期待が持てるものでした。

最後に

Netflixでたまたま見つけたのでNetflixだけかと思ったらPrime Videoでもありました。(Amazon Prime会員は無料)

見る価値はあります。ただ、重めなので精神的に落ちてるときは少し避けたほうがいいかもしれないです。

■1話目の内容はこちら(テレ東のページ)

■Prime Videoでタダ見るのはこちら

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