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【社会・時事】敵国条項と常任理事国

本日(2022年5月23日)、来日中のアメリカ第46代大統領 ジョー・バイデン氏が「日本が国連の常任理事国に加わることを支持する」という旨の速報が一斉に流れた。

これは現在の国際社会を鑑みた発言と見られ、どこまで本気か定かではないがリップサービスの可能性が高いと考えられる。

ではなぜリップサービスなのか?

国連という組織

国連という組織の名前は略称であり、正式には「国際連合」である。
国際連合とは第二次世界大戦における戦勝国(連合国)側の"連合"というところに由来する。また常任理事国の5カ国(アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア)は全て戦勝国である。

史実における日本の戦争終結(終戦)から77年が経とうとする今日、論理的に日本が国連の常任理事国になれるだろうか。

答えは限りなくNOだ。

そこにはいくつかの理由がある。

  • 敵国条項がある
     
    敵国条項とは「国連憲章第53条、77条及び107条の通称。国際連合の母体である連合国に敵対していた枢軸国が、将来、再度侵略行為を行うか、またはその兆しを見せた場合、国際連合安全保障理事会を通さず軍事的制裁を行う事が出来ると定められた条項。」(敵国条項 - weblio辞書 国語 より)
    つまり戦後77年が経とうとする今日において、先の大戦での敵国認定がずっと続いているということを意味する。もちろん日本だけでなく、敗戦国とされているドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドがこれに該当している。ということはそもそも敵対勢力を「(自分たちと同じ)国際協力の枠組みに入れよう!」なんてすること自体、狂っている話ではないだろうか。
    つまりバイデン大統領が今回その旨を明らかにしたということは"理解に苦しむ"と言えるだろう。

  • 核保有していない・武力行使出来ない
     核を保有しないことは一見素晴らしいことのように思える。しかしながら他の常任理事国や参加国から見て、日本が国連常任理事国になるメリットはあるのだろうか。

    仮に核を持たない日本が常任理事国になったとして、武力行使してこない国の言うことを聞く国があるのか、そもそも常任理事国の中での不協和は解消される方向へ進むのだろうか。

    核というものは先制攻撃に対する抑止力、また勢力均衡における大きなウェイトを占めることになる。
    つまり持つ持たないという議論はそもそも論理破綻しており、国際社会に存在する1つの国として軍の保持並びに抑止としての武装は行われるべきだと言える。

    また日本が領土を守る以外において武力行使出来ないことは憲法に明記される通りであるが、これも常任理事国となれば、大きな足枷になる。
    武力を行使できない国が他国を含めた集団安全保障に加わることは不可能に等しい。
    常に後方支援である国が常任理事国として存在することは不協和に繋がると考えられ、特に莫大な拠出金と軍人の命を支払う常任理事国に差があること自体が問題になってくる。

    論理的に考えた時、日本のいないところで新しい防衛に関する枠組みを考えませんか?という話になるだろうし、命を払わない国が自分の都合の時は「守ってくれ」とは言えないだろう。

    そうなると、やはり常任理事国にはなり得ないと言える。

  • 他の常任理事国に承認されない
    前述までの通り常任理事国になるメリットが限りなく少ない。また常任理事国には現在5カ国が存在しているが、全ての国が日本に好意的かと言えばそうではない。
    つまり現時点において、常任理事国の中でも勢力均衡が保たれている現状において日本の加入による勢力均衡の崩壊が起これば、間違いなくマイノリティーになった側はこの組織を去ることになる。そうなれば、第一次大戦後と同様に再び国連という組織が失敗の烙印を押されることになるだろう。
    そういった観点から見ても日本が常任理事国になることは現実的なことではない。

以上この3つから基本的に常任理事国にはなれないだろうということを理解してもらいたい。

ちなみに敵国条項についてはしっかりと理解をして欲しいので、深く説明する。

敵国条項とは

敵国条項とは「国連憲章第53条、77条及び107条の通称。国際連合の母体である連合国に敵対していた枢軸国が、将来、再度侵略行為を行うか、またはその兆しを見せた場合、国際連合安全保障理事会を通さず軍事的制裁を行う事が出来ると定められた条項。」(敵国条項 - weblio辞書 国語 より)
つまり戦後77年が経とうとする今日において、先の大戦での敵国認定がずっと続いているということを意味する。もちろん日本だけでなく、敗戦国とされているドイツ、イタリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、フィンランドがこれに該当している。

と、ここまでは前述の通りである。

しかしもう少し理解を深めるとするならば、日本と中国や日本とロシアは現在、友好な関係性にあるとは言い難いだろう。もちろん中国とはパンダの貸借を行っているし、ロシアとはサハリン2を通じて共同でプロジェクトを行っている。

だがしかし、津軽海峡をロシア軍の潜水艦が航行したり、尖閣周辺海域を中国海警局の船が航行するということが起こっていることもまた事実である。

これはいかなる理由があろうとも許されることではないし、本来であれば領海侵犯に該当していることから、日本は警告射撃することや最悪の場合は撃沈することが認められている。
しかしながら、それをしたら、最期なのは間違いないとも言える。それくらい関係は冷え込んでいるのだ。

ではそれと敵国条項が何の関係があるのかと言えば、敵国条項の定めるところによれば、日本は中国やロシアから見れば敵国に該当しており、もし仮に日本の自衛隊や海上保安庁が武装準備をしている或いは先制攻撃をすることが察知された場合、国連安保理の決議なしに攻撃を開始することが出来るということが言えるのだ。

裏を返せば、日本の態度や何かしらが気に入らなかったら「攻撃準備をしていた」というでまかせが認められるということである。いやもっと言おう。現在のウクライナやイラク戦争のようなことがこの国で起こる可能性が今までの約80年、これからずっとあるということだ。

どれくらいマズイことなのか。よくわかって貰えたと思う。僕らは何から手をつけるべきなのか。リップサービスに踊らされている場合ではないということを改めて理解しなければいけない。

多くの若い世代は気付き始めている。だからTwitterのトレンドに「敵国条項」という、大前提考えなければならない大きな障壁がトレンドワードとして躍り出たのだろうと思う。



終わりに

日本の未来を考える時間を一人一人が作っていくことが、本当にこの国を変えていくことになると思います。
自分ごとで考えていかなければ、僕らのルーツはなくなってしまいます。今から変われば、未来が変わる。

ではまた。

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