《賢い医師生活》〜偶然からの必然の出逢い

それはYouTubeの【The Swoon】チャンネルからのオススメだった。

え〜医療モノなのに面白そう！　

と何の情報も思いこみもなく、興味を惹かれた。

基本的に私はコメディが好きだ。
泣かせるより笑わせる方が、ドラマでも小説でも実際の生活でも難しいと思ってる。
そして、この5人には全員はじめまして。

これは観てみる価値はあるかも。
そんな軽い気分で観始めた。

何これっ？！　

こんなにハートウォーミングなのにコメディ？いやコメディなのにハートウォーミング？　

まず５人のやりとりのテンポの良さ！
そして主役以外もキャラクターがしっかり細部まで描かれている。
同僚の医師、看護師はもちろん、当然毎回変わる患者さんとその家族たちまで、脚本も演者も全力で表現されている。

『最善を尽くします』という姿勢　

医師として生死に向き合う毎日では、手を尽くしても亡くなる患者さんもいれば、無事に回復して退院していく患者さんもいる。

だからこそ『最善を尽くします』。
峻厳な生死の前では、安易な『絶対』も『気休め』も『ごまかし』も通用しない。

だからこそ、毎日患者さんごとに『最善を尽くします』とその生命に謙虚に向き合う。
これは、医療に限らず本来どんなことにもそうであるべきなのに、いつしか、あるいは意図して目を逸らしがち。

そんな大切な事を、大上段から説教臭く説くのではなく、笑いに包んで心に届けてくれるのだ。

一緒に食べればより美味しい　

５人で、同僚と、家族と、と必ず食事シーンがある。

気の合う人と食べるご飯は美味しい。
宿直室で啜るカップ麺も、職員食堂の「今日のメニュー」も、控室に集まって食べるテイクアウトも、終業後に行くレストランも、鍋ごと食べる袋麺も、一人でもいいけど、気の合う人と食べればより美味しい。

これは人類が洞窟で住んでいた頃からの不変で普遍の真理だと思う。

みんな【普通】の人　

医師である、あるいは〇〇である、の前に、一人の普通の人間。

白衣を脱げば中年に差しかかる【普通】のおじさん。白衣を脱げば【普通】の誰かのお母さん。財閥夫人も夫の不倫に心乱れる【普通】の一人の女性。立て続けにコールされてご飯を食べる時間も寝る時間もなければ、疲れるし眠くなる【普通】の人間。
医師だから、看護師だから、お金持ちだから、の前に、一人のイキモノとしての人間。
疲れるし、年も取るし、悲しみも感じるし、お腹も減るし、誰かを好きになったり、嫌いになったり。

他人にレッテルを貼る、あるいはステレオタイプに決めつけることは容易い。
でも、それは本質を見失うこと。

人がいれば、その数だけそれぞれのドラマがある。それぞれの違いがある。

そんなあたりまえのことを、一つ一つ丁寧に紡ぐと、こんなに素晴らしい作品が出来上がる。

丁寧に全力で　

この作品は、ある意味隙が無いと思う。
脚本も演出も演者も各分野のスタッフも、丁寧に全力を尽くしている。

スーパーヒーローもいないし、タイムワープもしないし、極悪人も出てこない。
でもこんなに面白くて、心が暖かくなって、観た後清々しい。

私見だが、こういうドラマを作る事ができる韓国のエンターテインメント業界の今の体力がすごいのだと思う。

時間と予算の余裕と、それぞれの分野（脚本や演出、照明、カメラetc. ）の才能があればこそだ。

そりゃアカデミー賞を獲るような作品も出てくるよね、と思う。

そしてこの作品とこのキャストに、私は正真正銘沼ハマりしてしまったのだ。　

とにかく私のこの作品への熱い愛を、シーズン２の配信前に表せて安堵している。
６月１７日、私は画面の前に正座して配信を待つよっ！（笑）