子供にどんな教育を与えたいか

実は少し前に日本に帰国していました。(このご時世なので特定を避けたく、前の記事の時系列はフィクションしています。)

私は現在3歳と1歳の一男一女を持つ母で、夫の駐在に3年帯同していました。まもなく復職見込みです。この記事は日本から書いています。

今日はそんな私のふと思ったことをつづります。

私が住んでいる東京の某区は教育熱心な家庭が比較的多いと感じることがありますが、私自身は正直なところ子供の早期教育をそこまで魅力に感じず、お教室のようなところには通わせていませんでした。唯一行かせていたのは駐在期間中のインター(自費です)で、これは第二子を産む間に上の子に通わせる場所が欲しかったことと、親の言語コンプレックスから英語に触れるいい機会だと思ったことからです。インターは、日本人がクラスに一人もいないところを選びました。

そして日本に帰国後、英語の維持を考えつつも、色々と教室を見て体験もさせてもらいつつ、何か違う・・・と感じて辞めての繰り返し。最終的に上の子のOutschoolのみ続けています。下の子は何もなし。

3歳までの間の教育投資はコスパが良いという話は双方から聞くものの、言語だけでなく他に幼児教育をすべきかを悩みつつも、踏ん切りがつかない状態でした。水泳とか体を動かすものをさせたかったけど、緊急事態宣言で休業中のところも多く結局自宅にこもりっきりです。

念のため補足ですが、幼児教育は全く調べなかったわけではなく、やはり周りのママ友の影響もあり、第一子を産んだあとは一通りの幼児早期教室(しちだ式やコペル、公文など)の体験レッスンを受け、駐在帯同中もできるだけ現地の子育てイベントへ参加し、それなりに情報を集めてきました。それでも通わせたいと思いませんでした。

なぜか?理由は色々と考えられますが、一つは子供に将来どのように育ってほしいかのプランが見えなかったことや、将来の日本が想像つかないというのが大きい気がします。

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ちなみに、私自身の家系は学歴を大事にする価値観がある方だと思います。私のおばあちゃんも、その時代では珍しく四年制大学を出て専門職についていました。母も浪人+四大卒で就業しています。「女の子に学歴なんて」はもとい、「浪人するくらいなら大学のレベルを下げたら」なんてことも絶対言わない家庭です。父や祖父は大学院まで修了しており、母と父のきょうだいも合計7人いますが男女問わず全員が大学を出ています。ド田舎ですが、教育には男女問わず熱心であり、私にも良い大学や大学院へ進学するよう、小さい頃から言われていました。(余談ですが、現在の韓国や中国の学歴社会や教育への熱心さには共感しかなく、子供のころはそれが普通だと思っていました。女の子はバカな方がいいとか勉強できても意味がないなんて、口が裂けても絶対言わない家庭でした)

そんな環境で育った私が、そこそこの国立大学を経て、某日系大手企業へ就職し、それなりに日本社会の標準というか働く社会を見て、学歴はかならずしも重視されないということを実感しましたし(学閥はあるけどね)、特に日本女性に対する独特というか異様な「求められる癒し系気質」に閉口し、疲れてしまっていたというのはあります。どうしても、日本社会で女性が「賢く」生きるためには、バカな方が可愛がられることは事実であり、私もそれに乗っかっていた時期もあります(思い出すだけで死にたい)。

さて話は脱線しまくりですが、そんな私、なぜかここ数か月で子供への教育に目覚めました。しかしピッタリだと思う教室は周りにないため、親が自力で与えるべきかなと模索しています。教材も、日本だけでなく海外も調べて取り寄せ中。まだ答えは出ていませんが、とりあえず今という時間を無駄にできないと感じています。とりあえず言語面・運動面・絵本を読む量・芸術面は、提供する量を増やしていった方がいいように感じています。

なぜ私が教育に興味が沸いたか。今日の主題にうつります。

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きっかけは小紅書(中国版Instagram)をスマホにインストールしたことでした。中国語はわからないけど、「タイ在住中にできた中国人の友達ともっと交流したい、若い彼女らの興味が知りたい」と思い、WeChatも使い始めていましたが、さらに流行を知るために小紅書を使い始めました。

何気なく小紅書を開くと、位置情報を読み取った上で、更に私の年代および興味に沿ったおすすめ動画として、東京に住んでいる中国人の子育て事情が動画付きで次々に出てきました。同じくらいの歳を持つママの投稿です。

覗いてみてびっくり。そこにアップされている動画に出てくる子供は3歳ですでに日中英のトリリンガル。絵本をそれぞれの言語で自分で読み、算数もすでに足し算ができています。

最初はたまたま一人だけ神童に当たったんだろうと思いました。でも3歳のハッシュタグで検索すると、次々に出てくる。読み書きまでいかない場合でも、話せる。ほぼ中国人同士の夫婦の子(動画の中に名前が出てくるのでわかります)ですが、子供は日本語を母語のように話していますし、当たり前に英語教育がデフォルトでついてきており、トータル3か国語を話します。

ちなみに、日中ハーフの子は動画には見当たりませんでした。私の勘ですが、日中国際結婚のうち日本男×中国女のケースだと、日本の男性は教育に無関心な人が多いので中国女のみが勉強を観ることになり、中中夫婦に比べると劣位であること。(中国人男性は子の教育に大変熱心であり、絵本読み聞かせや勉強の相手、習い事送迎、教育投資を自ら積極的にします) 日本女×中国男のケースは、男側の仕事の関係でグローバルに海外転勤をしているケースとなりがちで、東京在住というくくりに滅多に出て来ないことから、該当しにくいのだと思います。(そもそも日本女で小紅書を使っている人は少ないというのもあります。)

ふと、YouTubeで見た在日中国人の女性の言葉を思い出しました。それは好きなタイプのインタビューをする動画で、「もし日本人と結婚して子供ができたら、日本語と中国語のバイリンガルに育てたいですか?」という質問に対し(そもそもなんなんだろうその質問?)、「英語を含めたトリリンガルです」と彼女は答えていました。まだ若い学生でした。

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私は、気づかないふりをしていました。実際、私の年代でも、日本にある外資系企業に、日本語が話せる中国人が日本人よりも採用され、高い給与をもらっています。日本企業は新卒で日本人を多く採用する傾向がありますし、いまだに外国人差別や女性差別がありますが、外資系は(企業にもよりますが)コンプライアンスに努め、一定の数の女性を採用する方針があったりします。実際に私が転職活動を行ったときの感触では、日系企業は35歳以上の既婚女性にはうんともすんとも返事がなく、それなりの報酬を求めると外資系企業が選択肢にあがりました。しかし英語レジュメや求めるスキルがやたらハードル高く見え、しり込みする始末。そんな中、実際に外資系で働いている人の話を聞くと、海外大学を出て就職で日本に来た中国人の数の多さを耳にします。外資系理系職に至っては、女性はほぼ中国人しかいません。彼女らは海外大コンピュータサイエンスの学士をもち、流暢に日本語を話します。
大半の職を探している日本人は気づいていない・英語に苦手意識をもって応募していないだけで、日本人の東京ベースの高給ポストはすでに奪わつつあるのです。

脱線しますが、今から15年前…私の出身大学には中国人留学生がクラスに5人ほどいました。彼ら・彼女らはとても優秀で、日本人に混じって日本語で学んでいました。もちろん英語も(周りの日本人学生より)できました。当時、私のいた大学は理系が強く世界ランキングも今ほど悪くなく奨学金もあったため、中国人の留学先として好ましかったのでしょう。しかし、今や私の出身大学はメザマシイ退化を遂げ、中国の有名大学にすら全く届かない順位まで世界ランクが下がりました。(でも留学生自体の数は減ってはいません。中国人留学生もまだまだいます。でも、より優秀な中国人の留学先はアメリカや韓国へ変わり、全体的なレベルが下がったように思います。日本の多くの大学は手ごろな留学先として人気のようです)そして彼ら彼女らは、留学から帰国後の就職先として日本を選んだり、または大学院留学という形で日本にスライドしてきて、日本で就職します。英語圏で就職を勝ち取るよりは容易で、MBAをとるにしても欧米より日本の学費は安いからでしょう。

「幼少期に英語をさせることの是非」は頻繁に議題にあがりますが、多くの人が、英語をつかわずに済む日本で生きているので、言語教育に関する情熱はあまり感じません。AI技術が進んだら英語も要らないと思っている人は多いでしょう。実際に、日本企業であれば「日常会話レベル」の英語で問題ないので、たいしてできなくても困りません。でも、日本語のできる中国人に日本人のポストを持っていかれているということには、どれほどの人が危機感を持っているでしょうか? AIに仕事が奪われるより早いのでは?

我が子は将来この優秀な中国人たちと戦わないとならないのか、と頭を殴られた気になりました。うちの子は恥ずかしながら、ひらがなもよく間違えるし、そもそも書けません。

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30年前、私の親世代でも、中国の若い優秀な学生たちがどんどん世界に進出し、日本は食われてしまうと危機感を覚えていた人はいたでしょう。そのとき気づいていた人からすれば、私が2021年に「頭を殴られた気分」になっても、時すでに遅く見えますよね。わかってます。でも、今まで日本人のInstagramしか見ていなく、私は中国人のママ友もいないので、身をもって実感したのが恥ずかしながら中国版SNSを見たときだったのです。これまで仕事でも中国人と一緒に働いたりしたことがありますが、私は日系企業の世界にいたので、古い考えの上司のもとで日本人として安全に囲われ、盛大な勘違いをしていたようです。視野が狭かった。

さて、20年後の未来はどうなっているだろうか?

まだ答えが出ていないのですが、いずれまた続きを書きたいと思います。


(あとがき)

念のためですが、彼らを悪く言っているわけではありませんし、否定したいわけでもないです。競争社会でこれは自然の摂理だと思っています。今日、英語圏以外でも英語で働ける環境はたくさんあり、インド人の留学生や海外就業者は世界的に見てもどんどん増えています(英語でネットやSNSを検索するたびにインド人のボリュームを日々感じます)。インド人も中国人も、優秀な人はどんどん海外に出ていて、英語しか話せない英語圏の人たちも、今までにない競争にさらされていることを、日本だけの情報に囲まれている私たちはきちんと認識できているのだろうか、という自分への問いかけを兼ねて、このnoteを書いています。