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品田遊『止まりだしたら走らない』の感想文(ネタバレあり)

 ネタバレのない紹介文はこちらから。↑ *以下は、ネタバレありの感想になります。作者への言及もしています。ご注意ください。  純粋でロマンチックな作品、先の紹介文でそう書いた。自分は、純粋な視点からなんとなく感じた懐疑を、わざわざ言語化して人にぶつけはしない。それは、言うほどのことではないという遠慮からだったり、人との適切な距離感を保つためだ。気軽に伝えることができるような他人がいるのなら、すばらしいと思う。  たとえば、『苺に毛穴』のように、些細な思考(に一見思えるこ

    • 品田遊『止まりだしたら走らない』を紹介する

       『止まりだしたら走らない』は、中央線を舞台として、個々の思考を綴っていくオムニバス小説である。ダ・ヴィンチ・恐山としても活躍する小説家、品田遊のデビュー作。  この小説について、ネタバレを避けつつ、以下に紹介する。  そこには、すぐに逃してしまうような感覚や、忘れていた感情が、生々しい質感をもって言語化されていた。年齢も性別も職業も背景もバラバラな人たちが、中央線という一つの軸で少しだけ交わっている。その中心から、著者の視点を通して眺めることができる。そのあまりの細やか

    品田遊『止まりだしたら走らない』の感想文(ネタバレあり)

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