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【LUNA SEA】セルフカヴァ―アルバム『MOTHER』全曲レビュー⑤GENESIS OF MIND

上記に続いて、⑤GENESIS OF MIND書いていきます。

◆GENESIS OF MIND

◆献花式のこと

LUNA SEAのレビューなのに、別バンドのことを書くことは無粋であることを承知で、この曲については、BUCK-TICKの櫻井敦司さんの件を触れずに書くことができないことを最初にお伝えしておきたい。
大変恐縮ながら、ご了承いただきたく思う。

私事ながら、つい昨日12/9に羽田ZEPPで行われた献花式に、友人と足を運んだ。
体調不良でライブが中止となったという一報の後、それが訃報として届いてから数日間は仕事も手につかなかった。私はBUCK-TICKの忠実なファンだったとは言えない。それでも私の人生に影響を与えた曲はいくつもあった。

昨日、12/9は暖かく天気のいい日だった。
羽田空港すぐ近くの羽田ZEPPは、空港から離陸する飛行機、また着陸する飛行機が頻繁に間近を飛んでいくロケーションにあった。
乾燥して澄んだ高い空に、時折轟音が響いて、見たこともないほどの近距離で大きな躯体が頭上を飛び立っていくのをいくつも見守った。

周囲には私たちと同じく、献花の時間を待つ人たちが多く待機していた。
号泣している人はほとんどおらず、和やかな午後が横たわっているように見えた。
事実、私自身、櫻井敦司さんがこの世から失われたということを、情報としてしか受け止めていない。聞いたときは驚き、喪失感から涙が出たり、居ても立っても居られなくなって動揺したりしていたものだが、その驚きに慣れてしまって、飲み込んだわけではない悲しみが静かに色を薄くしていくのをTwitterを眺めながら淋しく思うというのが個人的な状況だった。何十年も間近で応援し、心の支えにしてきたファンの方たちを差し置いて、私のような門外漢が大袈裟に悲しむのも申し訳ないというのもある。
当日、献花の会場現地に着いてみたら、ぼんやり認識していた知識を現実だと理解して、悲しみと絶望が一度に押し寄せるのかもしれないと思っていた。
でもそこには、暖かな祝福のような日差しの午後があった。
私と友人は、いくつも飛行機を見送った。
「近いね」
「どこに行くんだろうね」
「あんなに大きいのにどうして飛ぶんだろうね」
「綺麗だね」

他愛無い会話をしながら、私は帰宅したらレビューを書こうと思っていたMOTHERの5曲目、GENESIS OF MINDの歌詞を思い出して重ね合わせていた。

飛び立つ鳥が青空に消えた
キミが重なるblue blue sky
飛行機雲はキミの足跡

You 遥か夢の彼方 僕の声 届いてるの
You 時がとぎれとぎれ 今は信じたくない

「天気よくて良かったよね」
「あったかいね」
「場所もここで良かった。飛行機が飛んでいくの、旅立ちの場所って感じで」
「見送りだものね」

GENESIS OF MINDは、作詞のRYUICHIが友人の死に際して書いた曲ということを当時読んだと思い出す。
この曲に出会った頃、私は中学生で、人の死を悼んだ経験もなかった。
「こんな気持ちになるのかな」と思いながら聴いていたことを憶えている。

「本来この場所で、櫻井敦司さんの歌った歌になぞらえて、悼むべきなんだろう」と、これらの歌詞を思い浮かべながら考えた。
それは、訃報に際した直後に気が済むまでやって、今はもうちょっと聴けなくなってしまった。
落ち着いたころに、また改めて以前少し書いたBUCK-TICKの好きな曲について詳しく記事を書けたらと思う。

私はこの日の記憶を、GENESIS OF MINDに重ねて一生憶えていると思う。
青空に飛び立ついくつもの飛行機を、旅立ちの祝福の象徴だとして綺麗だと思いながら見送ったこと。

家族や知人。
居なくなるなんて想像もしたことのない人が、ある日居なくなるということ。
そんな経験が、生きていると必ずあるということ。
知ってはいるが納得はしていない事実。
この曲が私の人生にあってよかった。そんな風に思った。

「目覚めれば光り溢れていた」

目覚めればキミは光になり 羽ばたいていた
目覚めれば何が分かるのだろう 見つかるのか

人の死が、こんな形であればいいと思う。
死ぬことに幸せも不幸もないけれど、感謝と祈りと旅立ちの別れであればいいと思う。

You キミは夢の彼方 またいつか逢える日まで
You 何も悲しまないよ グレイな空に泣いただけさ
Ah キミははるか彼方
Ah キミは二度と戻らない
Ah 空を汚してしまった
キミが飛び立った青い空

次回からちゃんとしたレビュー書きます

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