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IBD患者の今宵の食卓 第一卓

私事ですがクローン病という難病の患者歴40年以上になります。クローン病にとてもよく似た疾患で潰瘍性大腸炎という疾患もありますが、どちらも免疫系が関わっている難治性の疾患で、二つ合わせてIBDもしくは炎症性腸疾患と称せられています。

クローン病にしても潰瘍性大腸炎にしても「食事」というものが、治療にとって薬と同じくらい重要な要素で、私も患者になりたての頃は食生活には大変苦労しました。

現在長い間緩解状態にある私の日常食を紹介することで同じ患者さんやその家族の方々の何かのお役に立てたらと月3回程度のペースでその内容を紹介したいと思います。また、同じ疾患でない方や健常な方にも何かヒントになることがあれば幸いです。

【お品書き】10月28日(夕)
・酢モズク
・サワラの味噌漬け、大根おろし
・イカゲソとピーマンのオリーブオイル炒め
・葉大根の梅干し和え
・蠣の卵とじ吸い物

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酢モズクですが、夏にのど越しがよく食べるようになってから癖になってしまい毎日のように食べています。ポン酢とヤマサの昆布つゆ(3倍濃縮)をミネラルウォーターで割って味付けしています。

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出身が岡山なので、岡山人はサワラが大好きです。関東では刺身にできるようなサワラはなかなか手に入らないので、ハレの日用に年末に3キロ4キロ級のサワラを買って、年末刺身で食べたりおせち料理の使い残りを味噌漬けにしています。
味噌漬けといっても味噌だけではうまく漬からないので容積で言って味醂と味噌1対1程度で漬けています。漬けて1週間位でも食べられますが2か月位漬けたものの方が味がよくなります。取り出して周りの味噌を丁寧に洗い、保存用の袋に分けて冷凍しておけば年中食べることができます。
IBD患者には一般的に魚は身体に良いようで私も自分の好みも手伝うところあってほぼ毎日魚を口にしています。

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炒め物ですが、クローン病の食生活の中でも油は一番神経を使うところです。油脂系はなるべくω3系の多い「えごま油」や「アマニ油」を使いたいのですがこれらは熱に弱い弱点があります。ω3系ではないのですがなるべく控えた方がよいω6系でもないオリーブ油は比較的熱にも強いのでよく使っています。
はじめにマッシュルームとニンニクにオリーブオイルをふり電子レンジ600wで2分加熱します。そのあと刻んだピーマンとあらかじめ茹でて刻んでおいたイカゲソに鶏がらスープの素(私はユウキの「化学調味料無添加ガラスープ顆粒」を使っています)を顆粒のまま加えさらに2分レンジで加熱して混ぜれば出来上がりです。
ニンニクを使う料理の時はマッシュルームが体臭便臭をしっかり抑えてくれるので大体ペアで料理しています。シイタケなど他のキノコもある程度効果ありますが、マッシュルームが一番優れているように思います。
上の写真の量で大体2人前です。

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大根葉を使った料理はスローフードという言葉が一番似合っています。私は自分の家庭菜園で採れた間引き菜で調理していますが、売られている葉付き大根の葉っぱでも同じように使えます。
大根葉はそのまま使わないでぜひ一昼夜外で干して使ってみてください。縮んで冷蔵庫にも入りやすくなりまた調理にも扱いやすくなります。それだけでなく何より食感が映えてきます。
干した葉を洗って電子レンジ600wで5分蒸します。そのあと水に浸してしっかりあく抜きし、絞って刻み再び電子レンジに2分かけます。
刻んだ梅干しと鰹節をからませて出来上がりですが、これにもヤマサの昆布つゆを少し加えると味は整います。(ヤマサに親せきがいるわけではありませんが、この昆布つゆは洋風料理の隠し味にも使えてとても重宝しています)
ただ、大根葉は一度火を通すと変質するのが早く、冷蔵庫で保管していてもすぐに納豆臭がしてきます。納豆菌なら有害ではないと思いますが食感が悪くなるので一両日中には消化してしまいたいものです。上の写真で大体2~3人前です。
こまめに少しずつ作るのが良いというのもスローフード的なメニューといえる所でしょう。

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汁物は生きくらげと加熱用カキを卵でとじたものです。
汁物や煮物はとにかく出汁が大事なのですが、毎日とるのは大変なので私は1週間に一度3~4リットル程度をまとめて作っています。
鍋に昆布をいっぱい入れて小一時間沸騰直前までゆっくり時間をかけて昆布の旨味を出します。沸騰直前に昆布を取り除きあとは即席になるのですがリケンの素材力だし「いりこ」を4リットルに対し4スティック、同じく「本かつお」を3スティック入れて沸騰させあくを取って冷まし、澱だけ鍋の底に残すように静かに上澄みからタッパーに注ぎ入れます。
今回の汁の味付けはタカラ本みりん国産米100%と山近醤油(キッコー一)うすくち醤油を使っています。
蕎麦のつゆの場合は味醂と醤油1:1の割合で作るのが良いとされていますが、この比を普通の汁物に使うと圧倒的に甘くなりすぎるので味醂は気持ち程度にしています。同時に出汁にうまみ成分が沢山含まれ何もしなくても十分味がついているので醤油も控えめにしています。
因みにこの出汁のストックは夏場だと冷蔵庫の中で保管していても6日目あたりから香りが怪しくなってくるので、暑い季節の場合は5日目でまだ残っているストックにはあらかじめ味噌を入れたり、味醂や醤油を入れて保管し一週間で全部使い切るようにしています。

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しばらく「クローン病と食事」というテーマで月に3回ほどのペースで書き続けていきたいと思っていますので今後ともよろしくお願いします。

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