見出し画像

書き留める力(2) コラム法


コラム法とは

コラム法とは、心理学の認知療法の一つで、考え方や思考に焦点を充てた心理療法です。
アルバート・エリスとアーロン・ベックの2人が有名です。
エリスは「心の問題は、出来事ではなく認知(出来事の捉え方)によって変わる」と主張しました。
ベックは「解釈の根底にある思考(スキーマ)が、出来事の捉え方に大きく影響している」と主張しました。
「起こった出来事にどう反応するか」に焦点をあてているのですが、ここでも「書くこと」が力を発揮します。

「私たちの悩みの根本は、身に起きた出来事ではありません。解釈が、苦しみを生み出しているのです。」

アーロン・ベック

出来事→思考→感情

というプロセスで感情が起きているので、この「思考」のところに焦点をあてて修正していこうというものですが、ここでコラム法が登場します。表(コラム)にして書くため、コラム法と呼ばれています。

コラム法の実践

どんな表を書くかというと、下記の通りです

①出来事

②感情(%)

③自動思考

④考えの根拠

⑤考えの反証

⑥適応思考

⑦感情の変化(%)

例えば
①出来事を書きます。―苦手な顧客の相手をしなければならない

②感情 嫌だな(70%)逃げたい(20%)不安(50%)怒り(30%)

③自動思考を書く 自動思考とは自然に頭の中に浮かんでくる考えです。
  「会いたくない」
  「なんであの人はいつもああいう行動をとるんだろう」
  「また、何か嫌なことを言われるに違いない」

④考えの根拠 ※主観ではなくて客観的なことを書きます。
  以前嫌なこと言われた 
  いつもわがまま

⑤考えの反証 ※こちらも客観的なことを書きます。
  今日も嫌ことを言うとは限らない 
  前回まではワガママだったが、それが今回もそうだとは限らない

⑥適応思考 ※よりバランスの取れた状況に適応するための現実的な思考を考えていきます。現実的なマイナス面を書いたあと、「しかし~」「ただ~」を活用して、プラス面を書いていくのがコツです。

   いつもわがまま しかし本当にいつもだろうか?たまたまそういうと    きにあたってしまったのではないだろうか?もしかしたら、どこかお悪いのかもしれない。もう少し注意深く様子を観察しながら接してみよう

   以前、嫌なことを言われた、ただ、今回もそうだとは限らない。何がお気に召さなかったのか観察して、できれば聞いてみよう。

⑦感情の変化 今の気分を書きます。
   不安(20%)逃げたい(10%)少し楽しみ(30%)
   ③の自動思考が誤ったものであると、マイナス感情が減ります。

適応思考が苦手な方もいるかもしれません。その場合、自分はいつも悲観的な未来を考えていないか振り返ってみるとよいでしょう。
そして、周囲にいる楽観的な方を思い浮かべて○○さんならどう考えるだろうか?という気持ちで取り組んでみてください。

以上「書き留める力」②でした。
手書きで書いていると、思考がゆっくりになるので、自己客観視が落ち着いてできるのがよいですね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?