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「朝6時半から牛丼食べてる女の運勢なんてたかが知れてる」と言われた日

基本、ひきこもりなので家に居続けるのは苦じゃないつもりだった。ところがリモートワーク生活もはや2ヶ月を過ぎ、さらに外出自粛で家にいる時間がより長くなると、一日一回は外の空気を吸いたいと思うようになった。不思議なものだ。

そんなわけで自転車で20分くらい走って大きめの商店街に行ってみたら、道に人は溢れていたし、マクドナルドには10人以上の行列が出来ていた。これは密じゃないんだろうか。外だから通気はあるしセーフなんだろうか、などと思いながら通り過ぎた。

ふと、月刊雑誌の編集部で働いていたときのことを思い出した。この時20代。

一刻も早く原稿を印刷所に渡さないといけないタイムリミットが近づくと、会社に泊まり込んで作業するのが当たり前という仕事だ。そんな日々を当たり前のように過ごしていたあるとき、同僚が深夜に吉野家の牛丼を買ってきてくれたが、眠すぎて食べずに寝てしまったことがあった。

起きると朝の6時半。お腹が空いたので、牛丼を食べながら社内のテレビが映す「今日のめざまし占い、◯◯座のあなたは〜」という画面を見ていたら、やはり社内に泊まっていた上司(男性、当時30代後半)がのっそりやってきて、

「朝の6時半から吉牛食べてる女の運勢なんてたかが知れてるだろ」

と言って去っていった。あまりに正論すぎてぐうの音も出なかった。

(パワハラ上司感を抱く人もいるかもしれないが、この人とは今でも交流が続いている程度に信頼関係がある間柄なのでご容赦いただきたい)

そう、早朝から会社で牛丼を食べているものの、自宅に帰れる目処はまだ立っていなかった。着ている服が2日目の私に恋愛運や金運がいいとか、ラッキーアイテムは新作コスメなどと提案されても使いようがなく、ただ目の前の仕事をこなす一日が約束されている。納得するしかなかった。

この時は入稿が終われば自由になれた。今は違う。今回のことで大きく人生が変わってしまった人たちが世界中にたくさんいる。朝の6時半に牛丼を食べながら「めざまし占い」を見ていられた私の世界は破壊され、またビルドしなければならない。コロナ後の世界でどう生きていったらいいのだろう。みな手探りで毎日を過ごしている。

余談 画像はRebake(リベイク)という、パンの通販サイトで買ったもの。日本全国の同サイトに参加しているパン屋さんからお取り寄せできるほか、お店で余ってしまったものが買えるという特徴があり、一時期会員登録も順番待ちというほどの大人気だった。画像は長野県の「ぽこ・あ・ぽこ」というお店のパン。普通に過ごしていたら出会うはずのないパン屋さんと出会えるのが楽しい。



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